第4話 休憩

「し、質問ですか?」



「ええ、まず一つ目。あなたはこのゲームをやったことがある?」



「今日が初めてです」



ユカが目を細める。



「そう。では二つ目。他のクランの人間と接触した事は?」



「いえ一度も、、、、あ、エレンって人には会いましたけど」



ユカの目がより一層細くなる。



なんか、、、、疑われてないか?物凄く不安だ。



「エレン、、、、『プライマル』クランの副長よね」



ユカが後ろに控えている男に尋ねる。



「恐らく。何か話したのでしょうか」



「ハナサギくん、エレンとは何か話した?」    



「いや、特には」



後ろからミネー達がやってくる。



「ユカ、俺が誘ったんだ。怪しいやつじゃないさ。俺が神に誓ってやる」



ミネーが俺の肩をガシッと掴んで親指を立てる。



コイツ、いい奴すぎる!俺が女なら惚れてるぞ!



「そうだけど、、、、いくらなんでもおかしいわ。初日に赤蛇を撃退したのよ?チートを積んでるとも思えないし、やっぱり経験者としか、、、、」



「もしくはS(シンギュラリティ)、とか?」



俺以外の全員の表情が凍り付く。



と、特異点?俺が?誰か説明してくれ。



「もし、もしそうだとしたら、、、、ハナサギ君」



ユカが少し震えた声で言う。



「S(シンギュラリティ)について知っている事は?」



「何も知りません」



「結構遡らなきゃだけど、、、、」



ユカの話しを要約すると、四年前に『スペースウォーリャーズ』がリリースされてから少し経った時、金色と銀色のエリアルアーマードスーツが一機現れたらしい。


その金銀のエリアルは形態を変え、今より殺伐としていたスペースウォーリャーズの世界でメキメキと頭角を現し、いつしかそのエリアルは『エリアルS(シンギュラリティ)プライマル』と呼ばれるようになった。


エリアルSプライマルのパイロットは『プライマル』クランを結成し、スペースウォーリャーズ最強の座に着いた、、、、とのことだ。



「えと、それで俺がS(シンギュラリティ)である根拠は、、、、?」



「そのプライマルの戦績がね、赤蛇の単独撃破、黒蛇の単独撃破、第二回イベントからずっと一位キープとか言う化け物具合。赤蛇単独撃破なんて彼と君だけなんだから」



「黒蛇?赤蛇より強いんですか?」



「強いし珍しい。目撃例が極端に少ないし、とんでもないほど強いみたいよ。第二イベントについてはそのうち話すわ」



「君が黒蛇と遭遇し、それを単独撃破できたら君はS(シンギュラリティ)として認められることになる。全プレイヤーにね」



ユカが一区切り置く。



「とりあえず今は歓迎するわ、ハナサギ君。疑ってごめんなさいね」



「いえ、気にしないでください」



よくわからんが疑い?は晴れたみたいだな。と言うかプライマル。そんなやばい奴がいるのか、、、、あんまり関わりたくないなぁ。



「ハナサギ、お前のエリアルヘロンの武装って初期のやつだよな」



ヨッシーが尋ねてくる。



「多分。装備にも色んな種類があるのか?」



「あったりまえだろ。ちょっと休憩したらブレイクコロニーに行って素材集めるか」



ヨッシーの提案にユカが頷く。



「ヴァリュート達にもハナサギ君を紹介しないといけないしね」



「ヴァリュート?」



「私達と同じクランのパイロットよ。いまブレイクコロニーでジャンク漁りしてるのよ」



次から次へと知らない単語が出てくる。頭がパンクしそうだ。



「もう、、、、説明は良いや、、、、」



⭐️⭐️⭐️


 


件のブレイクコロニーにて。



金と銀のエリアルアーマードスーツがアステア連邦の艦隊に向かっていく。



少し後ろにエリアルフェンリルが控えている。



「エレン、お前は艦隊をやれ。アーマードスーツは俺が相手しよう」



「了解した、プライマル」



エリアルフェンリルが馬鹿でかいレーザーキャノンを構えて、所定の位置につく。



エリアルSプライマルの元に数多のアステア連邦のアーマードスーツが迫る。



赤蛇も混じっているようだ。



「赤蛇か、、、、もう俺の相手ではないな。全機落とす!」



エリアルSプライマルのパイロットが不敵な笑みを浮かべる。



敵のアーマードスーツが間合いに入った刹那、エナジーブレードが唸りを上げる。



彼はエリアルSプライマル、カガリ。



『スペースウォーリャーズ』史上最強のパイロットである。

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