車輪の上のソクラテス

蘇芳ぽかり





 答えなんて口で言えるわけもない。

 結論なんて自分でもよくわからないし、どうしなきゃいけないのか、どうしたいのかということばかり、ぐるぐる回る。軌跡は同じ場所を何度も通る。心の中は迷宮みたいだ。

 だから。

 ……ううん、だからというわけでもきっとないけれど、わたしは君に会いに行くことにした。顔を見に行こう。声を聞きに行こう。

 自分の答えが知りたかったから。



──────

─────────



 車掌のアナウンスに聞き覚えのない地名を聞いた気がした。そんな小さな違和感に、僕ははっと目覚めた。信じられない、いつの間にか眠っていたみたいだ。電車に限らず、乗り物の中で寝たことなんて、覚えている限りないことだ。

 カタンカタン、カタンカタン……と一定のリズムに揺られる。

 目をこすりつつ、向こう側の窓の外を見た。目まぐるしく流れていく街の風景の中で、遠くの真っ青な空と巨大に立ち上った入道雲だけが動かずにあった。今、自分がどこにいるのかがわからない。ここは地図上のどこなのか。車内であるという以上の情報が欲しかった。

 扉の上を見ても、いつもそこについているはずの液晶モニターはなかった。広告のポスターもなにもないが、吊り革だけがシンクロした動きで振り子のように揺れている。結構古い車体だな、となんとなく思った。

 どうして僕がこんな電車に乗ったのだったか。というか僕が自分で乗ったのか? それすらも怪しい。だって荷物もなにも持っていない。手ぶら状態だ。寝落ちする前のことが全く思い出せなかった。それにしてもどこ行きの電車なんだろう。まだぼんやりとしている頭を必死に回転させ始めたとき。

 その声は不意に。


「──起きたみたいだね」


 僕はえっと声を上げた。慌てて体をよじって声のした方を向く。座っている座席のすぐ横の扉の前に──1枚しきりの板を隔てたところに、日比谷ひびや優花ゆうかが立っていた。彼女は僕を見て、片手を上げて見せた。

「やっほう、笹野ささの

 意味不明だ。まだ夢の中なのだろうか。僕は頭を振ってみる。

「……やっほうって、部長。えっと、一緒に電車に乗ったんだっけ」

「そうだと思う?」

「いや、違うと思う……わけじゃないけど、どうだろう」

 どこかから帰ってくるところ? どこかに行くところ? 2人で? ないだろうなと思う。仮にでもそうだったとして、薬でも盛られない限り、部長といるのに僕がおちおち眠り込むとは思えない。それなら偶然会ったのか。最寄り駅がおそらく同じであるぐらいに家が近いというのは、今年彼女から来た年賀状を見てわかったことだ。文面が、文字が弾けるように思い浮かぶ。

 ……でもきっと違う。その答えではこの途方もない違和感が拭えない。

 その答えでは腑に落ちない。この電車に乗る前、僕は本当になにをしていたのだろう。透明でもやもやとしたイメージが頭の中に蜃気楼のように浮かんでいるのを感じた。

 なにか思い出すべきことがあるはずなのに、思い出せない。

「気難し屋」

 もどかしく思う僕に構わず、日比谷はにこっと笑って、反対側のくすんだ赤い布の張られたシートに腰掛けた。狭い通路を挟んで向かい合う形になる。彼女は茶色いローファーを履いた足を無造作に伸ばした。

 その仕草を見ていて、僕はまた2つのことに気づく。1つは電車の、少なくともこの車両には僕ら以外に誰もいないこと。もう1つは……。

「部長、なんで制服なの」

 僕はTシャツに綿のズボンという完全な私服だが、日比谷は制服だった。白い長袖ブラウス、濃いグレーのスカート、浅い水色のネクタイ。

 日比谷は僕の問いかけには答えず、「電車って結構好きなんだよね」と言うともなく呟いた。視線は僕を超えて景色を見ているようだった。

「前ね、駅に貼ってあった鉄道のポスターでさ、写真と一緒にキャッチフレーズ的なのが書いてあったんだ」

「……?」

「〈行こう、どこかに。〉って」

「……どこかって……どこだよって感じだね」

「わかってないなあ、それがいいんだよ」

 日比谷は目をきらっと光らせた。なんか良くない?と言う。

「わたしたちって多分、どこでもないどこかに行きたいんだよ。その〈どこか〉に、電車って連れて行ってくれる気がする。なんかわくわくする。今すぐに旅に出られるほど暇じゃないけど、でもそういう話が書きたいなあって思う」

「文芸部部長としての血が騒ぐ?」

「それもあるけど、なにより人間としての血が騒ぐ! 笹野はそうじゃない?」

 僕は少し考えて、どうだろうとまた答える。ゆっくりと流れる遠くの景色を、目で追う。

「わくわくするっていうのは、理解できる気がする。でも〈どこか〉っていうのがわからない。どこでもないどこかなんてないよ。どこでもないなら一生たどり着けない」

 考えたままに言ってしまってから、またやったと思った。兄から「お前は屁理屈コネ夫だな」とからかい半分呆れ半分に言われるのにも、まったくもって文句が言えない。理屈をこねるのは悪いことだと思わないが、日比谷に不快な思いはさせたくない。

 だが、彼女は気分を害した様子もなく、むしろなぜか嬉しそうに「そうだね」と頷いた。

 今に限ったことではない、日比谷優花は割と変な人だ。クラスにいるような一般的な女子たちとは到底ひとくくりにはできない。ちっとも着崩さない制服、あまり丁寧に整えてられていなさそうな髪、化粧っ気の一切ない顔。僕が原稿提出に日比谷の教室を訊ねるたび、彼女は窓際の1番後ろの席でスマホに小説を綴っている。俗に言う1匹狼タイプというのとはまた違う。他者との馴れ合いを嫌うわけではないのだ。風変わりと言えば聞こえはいいが。

 ……そんな彼女はぴんと人差し指を立てて、まっすぐにこちらを見た。

「わたしたちは今どこかに行こうとしてます」

 その「どこか」が今話していた概念的な〈どこか〉なのか、それともただの不定代名詞なのか僕には判断できない。

 カタンカタン、カタンカタン……。

 その一定なリズムだけ、続いていく。全部同じような、でも違うような街は流れ去っていく。

「どこまで続くんだろう」

「きっとそろそろ街を抜けるよ」

 日比谷の答える声には、迷いがなかった。だから──僕においては珍しいことだが、まあいいや、と思った。どこに行こうとしているのか、あてがあるのかは知らないが、部長が楽しそうににこにこしているから、きっと大丈夫なのだろうと。

 ユートピア、と僕はなんとなく呟いた。

 特に意味はない。どうして今になってその言葉を思い出したのかはよくわからない。だが、考えてみれば〈どこか〉の定義はあいつの言う〈ユートピア〉に似ているという気もした。

 同じことを考えたらしい。日比谷はあははと声を上げた。「塚本つかもとだったら確かにそうやって言うね」

「あいつ、バカだから」

 僕の声に、彼女はまた笑う。

「君たちはいいコンビだよ」

 カタンコトン……。電車は前触れもなくトンネルへと潜り込んで、車内は、僕らの間は透明な闇に満たされる。



     ✵



 塚本照哉てるやは僕や日比谷よりも1か月遅く、つまり高1の5月に突然文芸部に転がり込んできた。僕はあいつが好きではない。というか生きている世界が単純に違うのに、どうしてわざわざこちら側に入ってきたのだろうと不思議でしかない。そういう意味ではエイリアンを見ている気分だ。

 この人と自分は合わない、などというのが、一目でわかる時がある。それがその時だった。

 塚本は軽音楽部を1か月も経たずに退部し、そして文芸部室のドアを開けたわけだ。ノックもなしに入ってきて「ちわーっす」と。

「今日から文芸部に入りまーす。あ、もう顧問に入部届は出しといたから」

 そんなことをぬけぬけと言い放つのも、なんというか癪に障った。

「それで、なんで軽音部からいきなり文芸部に?」

 日比谷の面接試験のような問いかけに、塚本は一切動じなかった。

「俺、歌詞が書きたかったんだよ。なのに軽音だと自分たちで曲作ったりはしねえ、歌うのは既存曲だけだって言うから。そんなのロックな俺には似合わないってわけで、俺のアイデアちゃんと活かせそうなとこに来たわけよ。文芸ってのは詩もアリなんだろ?」

「もちろんありだよ」答えた日比谷に、僕は思わず「部長?」と突っ込んだ。「こんなやつ入れていいわけ?」

「わたしたちが勝手にダメって言うことでもないじゃん。いいと思うよ。文芸部も多様性だよ。3人しかいないけど」

 既に塚本が数に加えられていることに頭が痛むのを感じつつ、「仲良くしなさい」という日比谷の命令で僕と塚本は握手をさせられた。「俺たちこれでフレンドだな」と歯を見せる塚本に、さらなる頭痛を感じた。



 いくら嫌いとは言っても、同じ部に入れば顔を合わせないわけにはいかない。顔を合わせれば、喋らないわけにもいかない。

「お前、次の部誌のやつ書き終わった?」

 次の部誌のやつ、とは文化祭号の原稿のことだろう。部室に来た僕は塚本に唐突に話しかけられて、「だいたいは」と答えた。

「あとは推敲で6回ぐらい読み返して終わりかな」

「6回!?」

 スマホで小説を書いているらしい日比谷が画面に視線を落としたまま吹き出した。「すごい読み返すじゃん」

「誤字があったら許せないからね。後でショック受けるの嫌だし。屈辱だし」

「まあね」

「それで、なんで?」塚本に目をやると、彼は爪をいじりながら「いや、俺全然書けてねえんだよ」と言う。

「ふうん?」

「こうやって書きてえ!っていうイメージがあんのに、言葉にするとなんか違うんだ。いい言葉が降ってこない。理想ばっかり先走りする、ああっ俺のユートピア」

 僕は呆れてため息をついた。元倉庫であるこの部室の窓は、ほうきの柄を使って開け閉めするほどに高い。そこから見える空は青かった。もう初夏なんだな、とどうでもいいことを思った。

「書けないなら理想なんてないのと同じだ」と、僕は言った。

「とにかくなんでもいいから書こうって本気で思わない限り、いいものが作れるわけないよ」

 塚本は軽く驚いたように眉を上げた。変なやつだなあという顔でこちらを見た。「それはちょっと違くないか?」

「違う?」

「俺はなんでもいいものを書きたいんじゃなくて、はっきりと明確に書きたいものがあるんだ。それこそ理想的な」

 僕は少し眉をひそめた。考え方が根本的に違うのだ。

「それが書けないって言うなら、そんな像はある気がしてるだけだ。ものを書くっていうのは、書きたいものを言葉に落とし込んでいくんじゃなくて、言葉を使って伝えられるものを作っていく作業だ。あるかもわからない理想が僕たちに与えるものなんて、寝てみる夢だけだと思うけど」

「お前書きたい像とかなりたいビジョンとかねえの?」

「描くことはある。でも、良いものがどこかから降ってくるなんて都合のいい話はないんだから、自分で良いと思うものを作っていくしかないんだってこと」

「なるほどねえ」塚本は顎の辺りに手をやった。高校生にしては髭の濃い顎だ。もう少し濃くなったら、ぎりぎり無精髭と呼べそうなくらい。わざと伸ばしているのかもしれなかった。でもさ、と彼は言った。

「なんか不動の理想的なのってやっぱある気がするんだよ。そっちに向かいたい!みたいな衝動っていうかさ」

「その向かう先がユートピア?」

「いや、よくわかんねえけど」

 自分でもわかってないんじゃないか、と僕が指摘しようとしたとき。日比谷が突然顔を上げて「なんかいいね」と言った。前触れなく割り込んだその声の透明さに、僕は思わず黙り込んだ。彼女の瞳の表面に窓からの青い光が映り込んでいた。

「君たち、すごくいいコンビじゃん」

 そう、彼女は言った。

「はあ?」僕は顔をしかめた。今の不毛な言い合いをどう解釈すれば「いいコンビ」になるのかわからない。

「部長、意味がわかりません」

「わたしがわかってるからいいのです。理想と現実だよ。君たちはプラトンとアリストテレスだね」

 日比谷は人差し指で、上を指してみせた。天井? それとも空気? なんにせよ注目すべきものなんて特になにもないけど、と思った。

「……?」

「知らない? 哲学者なんだけど。プラトンはね、理想という名の真理が、見えないけれどどこかに必ずはずだって考えたんだ。わたしたちはその絶対的な像に強い憧れを持ってるんだって。それから……」今度は上げていた右手を広げて、さっと前に出す。空中を撫でるように。「その弟子に当たるアリストテレスは、理想の世界なんてなくて、ここに、真理はわたしたちの世界にあるものだって言ったの」

 彼女は塚本と僕を順々に見て、生き生きとした表情で「ほら」と笑った。

「ほら、すごくいい。哲学して生きてる」

 僕は腕組みをした。「すごくいいって言われても……僕は倫理取ってないからわからない」アリストテレスはかろうじて名前だけ聞いたことがある程度だ。

「あ、俺も俺も。政経選択。一緒」ハイタッチ、とばかりに塚本が手のひらを掲げてくるのは無視をする。

 校庭の方から、サッカー部のナイッシューという声が聞こえてきた。冷静になって思えば、外は夏を謳歌するように明るいのに、そんな中でこの狭い元倉庫で騒いでいるのが可笑しかった。

 2人は合ってるよ、と楽しそうに繰り返す日比谷の声ばかり、僕の耳には残る。



     ✵



「ほら、抜けたよ」

 その声で僕ははっと我に返った。

 トンネルから抜け出た電車は、明るい日差しの中を走っていた。真っ青だな、と漠然と感じてから、思考の焦点を合わせていくと、そこは海の上なのだった。ただまっすぐにどこまでもどこまでも伸びる白く細い橋の上を、電車は通っていく。空を舞うカモメが点のように小さく見える。

 座席に座る日比谷の肩に、日が当たっていた。少し毛先の跳ねた髪は、光の当たった部分だけが明るい茶色に染まってきらめきを返す。暑そうだしこっち側に来ればいいのに、と思ったが、僕は口を開こうとしてやめる。彼女はなにも気にせずに、無邪気な顔をして、ガラス越しに僕の遥か後ろを眺めている。

 僕もならって日比谷のずっと向こう側を見つめた。

 空も青いし海も青いのだけれど、その間には明確な境界線がある。長い長い線は無限に続いているようだった。



     ✵



 1度、日比谷に訊いたことがある。

「部長はなんで小説を書くの?」

 あれは──去年の体育祭の後。打ち上げだのなんだのと多くの生徒たちが騒いで、まだ校庭に写真撮影で残っているようなクラスがある中、僕はさっさとジャージから制服に着替えて、部室を訪れた。こんな日にはさすがに誰もいないだろうと思ったのに、日比谷はそこにいた。似たような境遇だったのかもしれない。

 空気は少しひんやりとしていて、ジャージだと肌寒い。ブレザーがちょうどいい。そんな10月。空気の色は季節ごとに違うと思う。今は──穏やかで、なぜだか少し寂しいような秋の色。

 喧騒からはどこか遠いところにあって、落ち着いた光に包まれた部室は、なんというか、美しかった。日比谷は「やっほう」と手を振った。例のごとく小説の執筆をしていたらしい。左手にスマホを握っていた。日比谷は暇さえあればいつもそうしている。だから、ふと気になって訊ねてみたのだ。

「なんで小説を書くの?」

 日比谷は折りたたみ式テーブルの上の手を見つめていたが、やがて「なんか思うのはね」と言った。僕は手に持っていた携帯をズボンの右ポケットに落として、彼女を見つめた。

 研ぎ澄まされた空気。それを感じていたのは、僕だけだろうか。

 日比谷は話す。

「ちょっと大きな話になっちゃうけど。わたしはせっかく生きてるなら、誰かになにか伝えなきゃいけないことがある、なにか伝えたいって思う。手段っていうか、媒体はなんでもいいの。写真でも、絵でも、別にほんとは口で話すのでもいいけど……それはわたしはあんまり上手くないからねえ」

「それで、小説」

「うん。わたしはずっと小さい頃から触れてきた、小説を選んだ。それに物語を書くっていうのは、言ってみれば世界を1つ作るってことでしょ? わたしは世界を作っているんだよ。わたしの見ている世界を、読む人にも見せてあげたい。わたしには多分、このやり方が1番なんだ」

 塚本のいない部室はあまりにも静かだった。今日はきっと、彼はここに来ない。あいつは全力で人混みに混ざって全力で騒いで、それを全力で楽しめる人間だ。いつもずっと喋っているわけではないのに、いないと……こんなにも静かだと思わなかった。本棚も、積み上げられた部誌も、棚に置かれたチェスも、使っていないホワイトボードも、全てが眠っているかのようだった。

 日比谷は軽く目を伏せた。でも、と言う。

「でも、本当に伝えたいことを伝えるって難しいね。それに、なによりもわたしがまず色んなことを知らなきゃね。いいこととか、いいものとか、もっと知りたいことがたくさんある」

「世の中を全部知るなんて無理だよ。1人の人間にできることじゃない」

「それはそう」日比谷は目で微笑んだ。「知りきれないことも伝えきれないことも一杯あるだろうな。未練が残るね。誰かのとこに化けて出ようかなあ」

「それで次の人に託すの?」

「うん」

 あっけらかんと頷いてから、っていうかわたしたちなんの話してるんだろうね、と彼女は笑った。「まあいいや。そうやってわたしはちゃんと生きていこうって思うのです。まだまだこれからだから、努力します」

「頑張ってください、部長」

「うん。頑張る」



     ✵



 カタンカタン、カタンカタン……。

 その一定だったリズムが不意にだんだんとゆっくりになって、やがて完全に止まった。僕が日比谷の方を見ると、目が合った。反射的に1度目を逸らしてから恐る恐る視線を戻したが、彼女はまだこちらを見ていた。なにを考えているかよくわからない表情をして。

[途中停車駅、途中停車駅]

 と、思い出したようにアナウンスの低い声が入る。

[次の出発は、10分後になります]

 ぷしゅー……と気の抜けるような音を吐き出してから、僕の側にある扉がガラガラと開いた。水蒸気と熱気を抱え込んだ空気がもわっと車内に押し寄せて来て、それまでの快適さが消えたことで僕は夏の暑さを思い出す。理由はよくわからないが、電車はしばらくこの場に停まるらしかった。

 とん、と小さい衝撃が足元に伝わって来たと思ったら、日比谷が立ち上がって伸びをしていた。それから、なにしてるの?と言うように僕の顔を覗き込んでにやっと口角を上げた。さっきの、無表情ではないのに感情を読めない顔はどこにもない。挑戦的で楽しそうな笑みだった。

「せっかくだし降りてみようよ」

「えっ、あ、うん」

 僕は彼女に続いて電車から出る。日比谷のスカートの裾が、ひらりと軽やかに揺れる。








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