らら子さんはお土産を買って帰ります。観光地をめぐります♥
popurinn
第1話
エレベーターを降りた途端、叫び声が聞こえた。
「ほっといてって言ってるでしょ!」
ののかだ。
歌っていた頃から、よく通るソプラノだったから、叫び声も半端なく響き渡る。
ドツン。
案の定、マンションの七〇三の扉から、車椅子に乗ったののかが飛び出してきた。
「待って、ののちゃん」
頼りない声で車椅子を追いかけてきたのは、ののかの姉のらら子さんだった。
おろおろと車椅子に手を伸ばすが、ののかの動きは早くてらら子さんは間に合わない。
勢いよくこちらに向かってくるののかを、隆之介は大きく両手を広げて遮った。
「ここまでだ!」
「どきな!」
「どかない」
ののかは車椅子を方向転換させようとしたが、隆之介が両足でタイヤを抑えたせいでびくともしない。
横を向いたののかは、すぐに諦め顔になった。隆之介に捕まっては、身動きできないとわかっているのだ。
「すみません、先生」
走り寄ってきたらら子さんが、情けなく笑った。
もう何度、こうして暴走するののかを抑えただろう。そして、薄い笑顔でらら子さんが謝る顔も何度見たかしれない。
「さ、戻ろう」
隆之介が車椅子を七〇三に向けると、案外ののかは素直に従った。こうして爆発するのはストレス発散のためで、深い意味があるわけじゃない。
爆発の原因は些細なことだ。
らら子さんが出した飲み物の味が気に入らないとか、ネット動画を眺めていて、気に入らないセリフを耳にしたとか、そんなどうでもいいことなのだ。
素直に隆之介にしたがったものの、家の中に戻ってからも、ののかの機嫌は直らなかった。ののかをベッドに横たえ、隆之介は閉まったままだったカーテンを開ける。
「ちょっと寒いけど、いい天気だよ」
窓の向こうには、重なって続くビルの上に東京タワーが見えた。青空の中にタワーの先端の三角形が朝日に輝いている。
夜になるのが楽しみだな。
もうすぐクリスマスが来る。その頃には、タワーの照明がケーキのように華やかになる。隆之介はこの季節が好きだ。
「窓を開けたかったんですけど、ののかがどうしても嫌だって。それで言い合いになってしまって」
ののかの代わりに、部屋に入ってきたらら子さんが隆之介に応えた。どうやら、今朝のののかの爆発は、窓を開ける開けないが原因だったようだ。
「で、調子はどうかな」
ののかに身体を向けると、ののかはただ隆之介を睨みつけただけだった。射るような視線を向けてくる。
人を逸らさない魅惑的な目だ。まだ朝の十時前だというのに、ののかの顔はフルメイクが施されている。
茶がかった大きな目に淡いピンク系のアイシャドウ。長いまつげにぼったりとマスカラ。
形のいい唇には艶のあるルージュがひかれている。
ほぼ金色の髪は腰まである。先がくるりんとカールされ、人形の髪のようだ。
着ているのは、部屋着の白いスエットの上下だというのにおしゃれに見えた。首筋の金色のチェーンのせいだろうか。
華やか。ののかを一言で表現するなら、この言葉がぴったりだ。上半身だけ見れば、脊椎損傷で寝たきりになっている二十九歳の女性とは思えない。
それもそのはずで、ののかは二年前に事故に遭うまで、女性ファッション雑誌のモデルをしていた。その上、モデルという仕事から飛び出して、歌も歌いユーチューブではダンスもっ披露していた。フォロワー数は二十万超え。
事故に遭ったのは、どこかのレコード会社からアルバムを出すという話が来た矢先だった。
「痛みは?」
上半身に比べて極端なほど細い両足に手を置く。
「痛いよ、痛いに決まってるじゃん」
「だな。でも、がんばろう」
週に一度、隆之介はらら子さんから連絡を受け、ののかのマッサージに来ている。
マッサージでは脊椎損傷した身体を根本的に治すことはできないが、血流を良くするのは大切なことだ。
マッサージを始めようとした隆之介の手を、ののかが乱暴に払った。
「やめて、意味ない」
「ののちゃん!」
らら子さんが、ベッドの脇にしゃがみこんだ。
「なによ、その顔」
ののかの怒りの矛先がらら子さんに向かった。いつものことながら、血流をよくするために行うマッサージを嫌がるののかは、らら子さんに当たる。
「無駄だってわかってるじゃない? お姉ちゃん、強制して楽しんでるんでしょ」
「そんなわけない……」
らら子さんが、ベッドの柵を強く握ったのがわかった。キシッと音が響く。
隆之介はここを訪れるたび、らら子さんの献身さに胸が塞がれる思いがする。一人で車椅子に座れないののかの世話は、すべて姉のらら子さんが担っている。去年、世話をしていた母親が不運な交通事故で亡くなった。父親はもうずいぶん前に離婚しているからあてにはできない。すべてはらら子さんの手に委ねられているのだ。
はじめの数週間、らら子さんは図書館の司書の仕事をしながら妹の介護をしていたが、ある日、すっぱり仕事を辞めて介護に専念することに決めた。隆之介のマッサージ店にらら子さんが話をしに来たのは、介護に専念するようになって半年ほどたってからだが、訪れたらら子さんを見て、隆之介は同情を禁じ得なかった。
自分と二歳しか違わない三十四歳だというらら子さんは、まるで老女のようなやつれ方だった。
日々痛みを訴えるののかから、どうにかして苦痛を取り除く方法はないだろうか。
らら子さんは悲壮な表情で隆之介に訊いたのだ。
あれから、そろそろ半年がたつ。
残念ながら、一部のアスリートたちから神の手技と言われる隆之介をもってしてでも、いまだののかの痛みを取り除くことはできない。それでも、隆之介は諦める気はないし、らら子さんだって望みを持っている。
問題なのは、本人のののかが投げやりなのだ。今のののかは、一言で言えば絶望している。未来への希望が、ののかから消えてしまっている。
それは、ののかの身体を触っているとわかる。なんと表現すればいいかわからないが、ののかの絶望、憎悪、孤独が掌を通じて伝わってくるのだ。
それを感じるときが、ののかと接していていちばん辛い。
「おつかれさまでした」
施術を終えて、ののかの部屋を出ると、いつものように居間へ通された。
テーブルの上には、紅茶の入ったカップから湯気が出ている。
「ありがとうございます」
椅子を引いて座り、カップを手に取ると、らら子さんが部屋の壁際に置かれたソファに座った。
めずらしいこともある。いつだってらら子さんは忙しく立ち働いていて、隆之介がいる間にいっしょに飲み物を飲んだりすることはないのに。
「お疲れみたいですね」
ふうとため息をついたあとカップの紅茶を飲んだらら子さんの眼鏡が、一瞬で曇った。
「らら子さんにも施術が必要なんじゃないですか」
「まさか、わたしなんて」
この人の口癖は、『わたしなんて』だ。このらら子さんという人は、自己肯定感の低い人だと思う。妹のののかの影でひっそりと生きているような印象がある。
ののかが事故に遭う前、きらびやかに人生を謳歌している頃、らら子さんは今よりもっと身をすくめるようにして生きていたんじゃないか。
対照的な姉妹。よく見ると容姿は似ていなくもないが、人というのは雰囲気によってほんとうに印象が変わる。
「ごちそうさまでした」
と立ち上がろうとしたとき、ふたたびらら子さんがため息をついたので、隆之介は思わず椅子に座り直した。
「何かあったんですか」
戸惑った目が、隆之介を見返してきた。
「僕でよかったら話してください」
らら子さんから介護の愚痴は聞いたことがなかった。隆之介はほかにも数人、リハビリを兼ねた訪問施術を行っている。患者は老いた夫婦の片割れだったり、息子が母親を看ていたり、その反対もある。
訪問回数が増え、気心が知れてくると、誰もが隆之介相手に愚痴をこぼし始める。
無理もないと思う。隆之介の知る限り、介護をする者は誰でも、優しさや思いやり、そして使命感を持って介護をこなしている。それでも、ときどきやりきれない思いが溢れたり、癒しようのない疲れにため息が出ることもあるだろう。そんなとき、ふと隆之介に声がかけられるのだ。
「ーーののかがどうしたいのか、ときどきわからなくなって」
隆之介は頷いた。
「あの子の希望を叶えてやるのは、わたしなんかじゃ無理だと……」
家族は介護の専門職ではないから、車椅子一つ動かずだけでも相手の思い通りにはできないだろう。介護するほうは頑張っていても、されるほうには忍耐が強いられている場合が多い。
「世話をしてくれる姉がいて、ののかさんはしあわせだと思います」
本心だった。姉になら、ののかさんも言いたいことが言える。それは精神的な自由が確保されていることだ。
らら子さんが、大きく首を振った。
「わたしには、ののかの望みは聞けない……」
どうやら、何か特別な要望を出されているようだ。
「ののかさんはどうして欲しいと言ってるんですか」
膝の上で握り締めた両手を、らら子さんはじっと見つめた。
「旅行に出たいって」
「旅行?」
なんだそんなことかと、隆之介は安堵した。もちろん、ののかの場合、行先は検討しなくてはならないだろう。バリアフリーのホテルがある場所、何かあった場合に病院が近くにあるかも重要だ。
それでも、旅行に行くのは決して無理じゃない。要介護の人たちが、旅行を楽しんでいる例を、隆之介は何件も知っている。
旅行。
いい思いつきだ。違う景色を見ることはののかにとっていい気分転換になるだろう。
だが、らら子さんは沈痛な面持ちだ。
「何か、問題があるんですか」
「あの子の目的が……」
「旅行のですか」
「ええ」
「何をしたいと言ってるんですか」
「それが……」
らら子さんは、両手で顔を覆った。
「旅先で死んでしまいたいって。それをわたしに手伝って欲しいって」
カップを握り締めたまま、隆之介はかける言葉を失った。
ののかはそこまで追い詰められているのか。
最近頓に、ののかの態度が投げやりなのは隆之介も気づいていた。絶望がののかを蝕んでいるように見えた。
そのせいか、もともとワガママをぶつけていたらら子さんへの態度がひどくなっていた。自分の苦しみをらら子さんに押し付けているみたいに見えた。
ののかの寝室で、かたりと音がした。施術のあと眠りについたののかが目を覚ましたのかもしれない。
「お姉ちゃん!」
ののかの怒鳴り声が響いてきた。
立ち上がったらら子さんが、慌ててののかの寝室へ向かう。隆之介もあとに従った。
ほんとうなら施術を終えたらすぐに引き上げるのだが、たった今らら子さんから聞いた言葉に衝撃を受けている。ののかと話がしたい。
寝室に入ると、ののかはベッドの上で枕を背に半身を起こし、こちらを睨みつけていた。
「お茶、ないじゃない!」
サイドテーブルの上には、常にお茶が入れられた水筒が置かれている。
「マッサージが終わったら、喉が渇くってわかってるでしょ!」
ののかは水筒を掴み、らら子さんに向けて投げつける。
「あっ」
水筒はらら子さんの肩に命中し、らら子さんが小さく叫んだと同時に、隆之介は怒鳴ってののかに近寄った。
「なんてことするんですか!」
「いいんです、だいじょうぶですから」
らら子さんがおろおろと水筒を拾う。水筒から液体がにじみ出て、フローリングの床に楕円形の水たまりができた。
「いいかげんにしなさい!」
隆之介はののかを見据えた。
「らら子さんがどれだけ君のことを考えてるかわかってるのか!」
もう、客を目の前にしていることは忘れてしまった。言わずにはいられない。いくらなんでもののかの態度は悪すぎる。
「あたしのことを考えてる? お姉ちゃんがこうなったあたしをどう思ってるか知ってるわけ?」
「辛い状況だと思ってるよ。だから、少しでも君の苦痛を取り除こうと」
「そーんなの嘘、嘘なんだから」
「嘘って、なんてこと言うんだよ」
もともとののかは、わがままで自己中心的な性格だった。それが身体の自由がきかなくなってからというもの、猜疑心に溢れ、そして何よりも人を信用しなくなった。隆之介は以前のののかを写真や動画でしか知らないが、らら子さんから聞いた覚えがある。
人を疑い始めたののかは、まず、姉の善意をすべて逆に取り、その上、困らせて喜ぶようになった。母親が他界してから、頓にひどくなったようだ。頼れる存在を失ったことが、ののかを自暴自棄にさせているのかもしれない。
「早く飲み物、持ってきて!」
「お茶でいいの?」
らら子さんが怯えた声で訊く。
「アップルティにして」
「アップルティ? 今、うちにないわ……」
「それしか飲みたくないの!」
「ののかさん!」
隆之介はふたたび声を荒らげた。
「わがままはそこまでだ。今、僕がキッチンからお茶を持ってくる。それで我慢してもらう」
「あんたの持ってきた飲み物なんか飲まない!」
まるで子どもだ。
「子ども帰りしてるんですよ」
以前、らら子さんは、そんなふうにも言っていた。
「母親がいなくなったさびしさを紛らわしているんだと思うんです」
だから、我慢して付き合ってやらないと。
そうだろうか。
そのとき隆之介は意を唱えなかったが、ほんとうはののかの態度は間違っていると思う。いや、間違っているだけじゃなく、ののかのためにならないと思う。
ののかはきっと心の底でわかっている。らら子さんを罵倒する言葉は、ほんとうは自分に向けていると。
だからこうしてらら子さんを罵倒している今も、ののかは心の奥底で自分を罵っている。自分の運命を呪っている。
「もうやめましょう」
らら子さんとののかが同時に振り向く。
「一旦、ここで終わり!」
自分でも何を言おうとしているのかわからなかった。ただ、これ以上、二人が傷つくのをみていられない。
「らら子さんは、ののかの世話をするのをやめるべきです」
「そんな……」
目を見開いて龍之介を見返すらら子さんとは対照的に、ののかは憎しみのこもった目を向けてきた。
「あたしに死ねってこと?」
「そうじゃない」
「ううん、そうでしょ。あたしがお姉ちゃんの助けがなくて生きられないってわかってるでしょ!」
「ちょっとの間、です」
自分が何を言おうとしていたのか、隆之介には見えてきた。
「らら子さんは休暇を取るべきだと思うんですよ」
「休暇?」
らら子さんの目が丸く見開かれる。
「そう、休暇です。あなたは少し休むべきだ。ののかさんの世話からちょっと離れて、リフレッシュすべきだ」
「……リフレッシュ」
「仕事を辞めてののかさんをつきっきりで世話するようになった。らら子さん、そうなってから、一度も休暇を取ってないんじゃないですか?」
「そんな、休暇なんて。ののかの世話をできるのはわたししか……」
「不可能じゃないですよ。代わりの人を雇えばいいんだ。そう、それがいい。代わりの人に世話をされれば、ののかさんだってらら子さんの有り難みがよくわかるでしょう」
「有り難み?」
ののかが低く呻く。
「あたしにはお姉ちゃんの本心はわかってるのよ。妹の世話なんかしたくないって。ううん、それだけじゃない。ほんとは、あたしがこうなっていい気味だと思ってるのよ」
「ののか、そんなこと!」
らら子さんが悲痛な叫び声を上げた。
「お姉ちゃんがあたしをうらやましがってるって、気づいてないとでも思ってたわけ? 昔っからそうだった。お姉ちゃんは地味であたしは華やか。同じ姉妹なのに、あたしとお姉ちゃんは光と影みたいだった。それが、あたしの事故で逆転した」
「そんなふうに思ったことなんかない……。ののちゃんはすごいなあって思ってきたのよ。ののちゃんには人の注目を浴びるオーラがあって、それは特別な才能だもの。そんなののちゃんを自慢こそ思っても、うらやんでたり、ましてこうなったのをいい気味だなんて思ったことない」
「お姉ちゃんは偽善者なのよ」
歌うように言ったののかの表情は、醜く歪んでいた。整った美しい顔であるだけに凄みが増す。
「決定だ」
隆之介はののかに挑戦するように、言い放った。
「何が決定なのよ。大体、なんであんたがそんなこと決めるわけ?」
無視した。このままでは、この姉妹は潰れてしまう。
「僕には仕事柄伝手もあるし、ののかさんを数日世話をするいい人が紹介できると思います。その段取りが組めたら」
隆之介はらら子さんに顔を向けた。
「旅行先の計画を立ててください」
戸惑った表情で、らら子さんははいともいいえとも言い兼ねている。
「大げさに考える必要なんかないんですよ。ののかさんを捨ててしまえって言ってるわけじゃないんです。ほんの数日間、ここじゃないどこかで、妹を心配するのを忘れてゆったり過ごすだけのこと」
らら子さんの目の中に、数日休暇を取れる喜びがちらつくのを隆之介は見逃さなかった。
限界にきていたのだ。
もっと前に提案すべきだった。後悔が隆之介の胸をよぎる。
「ののかさんは要介護5だから、介護保険を使えば大抵のことは手配できるはず」
隆之介の患者には、ののかのほかにも介護保険を使っている者が数人いる。そのおかげで、隆之介も詳しくなった。
そもそも、この姉妹には使い切れないほどの貯蓄があるはずだ。ののかがモデル時代に稼いでいた金はかなりの額だと評判だったし、姉妹を残して先だった母親は、娘たちのためにこのマンション一棟を残した。
七階建ての小ぶりな建物だが、麻布十番駅や芝公園駅まで徒歩十分以内に建つおかげで、賃貸料はかなりの額になる。
だからこそ、らら子さんも、仕事を辞めて妹の介護に専念すると決心できたのだ。
この点、二人は恵まれていると思う。隆之介の患者の中には、生活のために仕事を辞められず、介護との板挟みで苦しんでいる人たちが大勢いる。
「さ、どこへ行くか決めましょう」
大げさなほど勢いよく、隆之介はらら子さんを鼓舞した。
「ちょっと!」
ののかが叫んだ。
「行っていいなんて許可出してないよ!」
隆之介は無視した。らら子さんはののかの奴隷じゃない。必要なときに休みを取る権利がある。
「わたし、旅行なんかに出なくたっていいです」
怯えた声でらら子さんが呟く。
この声も無視した。状況を変えるなら今しかないと思う。
と、ののかがふふっと笑い声を漏らした。
「いいよ、旅行に行ってくれば? あたしのことなんか忘れて、思いっきり羽根を伸ばしてくればいい。だけど、条件があるわ」
「条件?」
そう言ったらら子さんを、ののかが見据えた。
「そう。お土産を買ってきて」
「そんなこと」
当たり前だしなんでもないことだと、らら子さんは続けた。うんうんと、隆之介も頷く。
ののかだって鬼じゃない。ほんとうは自分の世話をしてくれる姉に感謝しているのだろう。だが、いっしょに行けない自分に、せめてお土産が欲しい。ささやかな願いだ。
が、次に発したののかのセリフに、隆之介はののかの底意地の悪さを知ることとなった。
「普通のお土産じゃだめ。あたしの言う条件に合ったお土産を買ってくること」
口元を歪め、不敵に笑うののかは、悪企みを思いついた喜びで歓喜しているように見えた。
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