過去を生きるということ
下上筐大
第1話
僕は過去を思い出して後悔したり、嬉しくなったりするのが好きです。いきなり何のことかと思うかもしれないが、本当にそうなのだから仕方がない。過去を振り返って未来に活かそう!美しい輝く未来に羽ばたこう!!などという気はあるわけもなくまあ趣味みたいなものだ。好きというのだから過去のことを人一倍覚えているのかというとそんなことはない。(人との比較はそもそも嫌いです)何かアレンジでも加えてみて過去の改変でもするのかといえばそんなことはする訳もない。ただ過去をそのままの形で見返して傷ついたりフッと笑うのが好きなだけなのだ。思い出す過程で後悔が湧いてきて体がむず痒くなって皮膚が浮いてしまうようなひどい感覚に襲われることもあるが、そういったことも含めて過去を想起するということが好きなのだ。
私がいつからこのような趣味を持ったのかは分からない。もしかしたら友達が趣味の重大性を訴えて走り回ってたような時かもしれないし(何のことだかと思うかもしれないが、本当にそういうときがあったのだ。)、私が過去に救いを求めた時からかもしれない。なんせ過去は私たちを苦しめない。ひどい記憶はあるかもしれないがそういった記憶はひどい部分は削ぎ落とされ、自分の気持ちのいいように変えられているものだ。だから僕が過去に思いを馳せる時そういったひどい記憶が僕を苦しめることはない。僕を傷付ける記憶といってもそれは心地のいい痛みだ。本当に苦しい記憶はきっともう忘れてしまっている。無責任に。でも仕方がない。過去は心地がいい。あった出来事は変わらないし僕に都合がいい。過去は救いだ。でも最近悩みがある。過去に救われてきたのは事実だが、やはり後悔を伴う記憶というのはどうしてもときどきしんどい。なぜだろう。やるべきことが分かっていたから?それができなかったから?それとも今からでも変えられるから?まあ色々理由はありそうだ。今を生きて未来に生きよう。今をいきる。まるで人類のスローガンのようだ。僕もそろそろ過去から少しずつ顔を出してもいい頃のように思う。とりあえずは今日外に出てみようかな。まあ向かうところがあるように思うし。
過去を生きるということ 下上筐大 @monogatari
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