大好きだった幼馴染に振られたので、正義の味方を目指します!

熟睡マネージャー

第0話 プロローグ

「あのね、優君。今から大事なお話があるの」

 

僕は悟った。この子―――僕の幼馴染であるアキ……浮和秋音は、愛の告白をしようとしていると。

 

思えば、今日まで長かったな……。幼稚園に入る前から出会った僕らは、長い間家族のように過ごしてきた。ご飯を食べるのも、登下校も、休日を過ごす際も一緒だ。そんな関係性で長いこと過ごしてきた幼馴染相手に、好意を抱かないはずがない。アキも……もちろん僕も。……あっ、でも。最近のアキは、休日の日中は僕と別行動をしているな。今考えると、それも告白の準備であったのだろう。可愛いね僕の幼馴染!


「聞いてください、優君……吉田優介君! 実は私は―――」


 来た! なんて答えよう? もちろん僕も好きだったよ? ありきたり過ぎるか。なら、僕と同じ墓に入って下さい? いや突然これは怖いか。


 どうしよう、返事の仕方が決まらない。ここを乗り切れば僕が長年夢見てきた幼馴染とのイチャラブ生活が待っているというのに。


 よし! もう勢いで僕の気持ちをそのまま伝えよう!


「―――私は昨日から、一つ上の先輩……梶本啓太さんとお付き合いしているの!」


「うん! 毎日僕のために味噌汁を―――ってえ?」


 イマナンテイッタ? カジモト? オツキアイ? 何語それ?


「あ、今紹介するね! 啓太さん、これが優君! 私の幼馴染」


「うぃー、優君。俺、アキちゃんの彼氏ね」


 突如僕の目の前に現れる色黒で大柄な男。誰この人? アキちゃんの彼氏? 趣味悪いな、そのアキちゃんって人。


「聞いて優君! 啓太さんってね、ラグビー部の部長さんなんだよ! 運動が得意で優しくて……私、すごく好きになっちゃったの」


 へえそうなんだラグビー部なんだ運動が得意なんだ優しいんだそれなら今すぐにアキを返してくださいお願いします! というか優しいって本当かよ。見た感じ、普通に性格が悪そうな体育会系って感じだけど。


「おいアキちゃん。あんまり言うと、優君? への嫌味になるよ。まあ確かに俺、その辺の奴とは出来が違うけどね」


 はい確定、この人は優しい人ではない。


「フフッ、相変わらず啓太さんは面白いですね。ねっ! ねっ! 優君! 優君もそう思うでしょ? 私の彼氏だし……優君も仲良くしてくれると嬉しいな」


 ぜぇぇぇぇぇったいに嫌だ!!!!!! 


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る