前編③ 奇妙な心の疼きの巻

前編③ 奇妙な心の疼きの巻


 高2の夏、僕は友達の二ノ丸君、麻美と夏フェスが開催される野外会場に向かう為、同じ目的の人達でごった返している海岸通り脇の歩道を歩いている。

麻美の姉でもある、担任の先生は来ていない。まあ当たり前である流石に生徒と夏フェスは教師として問題があるのだろう、その事は置いといて、後と一つ僕は特命を帯びている、それは麻美と二ノ丸君を二人っきりにして良い感じする事だ。まあ男の友情かな、麻美が好きな二ノ丸君の気持ちを組んで僕から持ちかけた話しだ。二ノ丸君も、ちゃんと返事はしなかったが、断る事も無かった、照れ隠しの暗黙の了解を得たと判断し。今夜は途中で僕だけ抜けるつもりだ。


 周囲が暗くなり始めた七時、フェスは始まり、大陸からこの島国に来た有名歌手達が歌い始めた、でも本当の所、僕は歌はあまり聴かない、だからどうでも良い感じだった、反面、僕とは違い麻美はノリノリで手を振って歌手の会場を盛り上げる鼓舞に乗っかり声を出している、二ノ丸君は一応は麻美には、合わしては居るが落ち着きが無い、まあ当然かな、これから勝負に出るんだから、頃合いを観て僕は二ノ丸君の背中を人差し指で刺し合図を送る、二ノ丸君はわかったと軽く背中を越しに頷いた。

僕はそのまま帰る事にした。


 帰り道、御飯は食べて来たけど何故か僕は空腹感を感じ、前に父さんと釣りに来た時に入った、海岸通り沿いのバーガーが美味かった、BARの様な喫茶店の前を通ったら、開いていたので寄る事にした。

ドアを開けたら《カラン》とドアベルが鳴る、その音に反応し一瞬お店の中に居る客が無意識に僕の方に顔を向ける……その顔の中になんとカウンターに座る先生の顔があった!

先生も僕と同じ白いシャツとデニム姿だった。

その姿が、なにか同い年に見えたw。

「あ、仙身君」

「あ、先生何故? フェス観に来たの?」

「観に行くけど目的は違うわよ、見回りよ」

「見回り、なんの?」

「仙身君が不良にならない様にね」と先生はニッコリした。

「不良? 僕そんな喧嘩強く無いし、不良なんかには、成れ無いですよ」

「それもそうね、でっ、仙身君もこれからフェスかな?」

「フェスはもう帰りで、お腹空いたので」

「フェスまだ始まったばかりでしょ、もう帰るの早くない?」

「飽きたんです、僕は元々音楽に興味余りないんで」

(最近は女の子の身体ばっかり頭に浮かべてます、はい)

「妹には遭わなかった? フェス友達と行っくって言ってたけど」

「えっ! えーと、あって無いかな」

(理由はわからないけど今日の事は先生に麻美は隠してるなと思ってとりあえず合わして惚けておいた)

「先生は一人ですか?」

「もう一人、男の先生も来てるわよ、今トイレに行ってるわ」

少しして体育会系の先生が来たので僕は適当に挨拶して先生達と少し離れた所で注文したバーガーセットを食べていたら《カラン》とドアベルが鳴って客が入って来たその客は……麻美と二ノ丸君だった、麻美は僕を見るなり、「あれーどこに、行ってたのよー 探したわよー」

「あ、え、ごめん」としか言えなかった同時に先生にも嘘が言った事がバレた!

麻美の後ろで二ノ丸君は首を横に軽く振った、どうやら今日はこれ以上の作戦遂行はあきらためと言うか無理らしい……(以外に気が小さい、僕も人の事は行けないけど……)

すぐに麻美も先生に気付き何やら空気が少しギクシャクした雰囲気になったけど、とりあえずは別に悪い事はしてないので、先生の妹である麻美が場にいる事から違和感なく先生達と自然に相席に成り五人同じ席に座り仲良く雑談しつつバーガーを食べ、先生達もフェスには見回り目的で行く事には、なっていた事から一緒に行く事になった。僕も流されてと言うか、何か先生が気になり再び、フェス会場に行く事にした。僕達の前を男の先生と雑談しながら並んで歩く先生の姿に少し何か微妙な、良くわからない気持ちが湧いた、それは嫉妬だったと気付くのはフェスが終わり、それぞれの家へと帰り道が別れる交差道で麻美と先生を見送った時、男の先生と先生が離れた事に安心した時だった。


前編④へ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る