第51話 道中
俺は大きな豪華な馬車をダンジョンポイントで購入して召喚した。
ヘビーナイトタラテクト2体をナクアに借りて馬車を引かせる。馬車の御者はファントム2体に任せる。
まぁ、ナクアの命令で蜘蛛たちは動いているので、ファントムたちは綱を握っているだけだが…
「気になっていたのだが、隣のゴーレム?はなんだ?配下か?」
ナラがAG-02を指差して言う。
「あぁ、かなり強そうだな。私より弱いがナラよりは強いな。」
ナクアがAG-02をよく見て言った。
そうだな、こいつの強さはそんなもんだろうな。
しかし、ナクアはかなり正確に相手の力を読むことができるんだな。ゴーレムの強さなんて鑑定がないとわからなくないか?
ちなみにそれを聞いたナラはぷくっと頬を膨らませた。
…こいつらだんだん表情が豊かになって来ているな。人化になれて感情が表情に出て来ているのだろう。
「私はマスターの忠実なしもべです。AG-02と申します。よろしくお願い致します。」
「話せるのね。」
ナラがAG-02をつつきながら言う。
「ちなみに、魔王会議はこんな短いスパンで開催するのか?」
「私も参加するのは二回目なのでわからないが、三大王とかいう大魔王3人の気まぐれで毎回開催するらしい。とくに、あのカエルの魔王がよく開催したがるとか。」
「カエルの魔王っていうと、大魔王ルー・チャルロイドか。今回の会場はどこなんだ?」
「今回は三大王の1人始祖の吸血鬼 大魔王バーバルの居城だ。」
「バーバルの国というと、夜の国か。バーバルの力で一年中夜らしいな。」
「そうらしい。吸血鬼達の国だ。その国では、世界中さまざまな生き物の生き血が飲めるらしいから楽しみだ。私は生き血も好む。」
ナクアがペロリと唇を舐めた。
あー、蜘蛛って獲物を溶かして体液を啜るんだっけか?
いや、こいつらガツガツ食ってた気がするから、まぁどっちでもいいのか?
「族長、では、夜の国に着いたらまず食事だ。もう腹が減って来た。ハシャさんは好きな生き血はあるか?と言うか食べるのか?」
「俺はいらない。」
食べられたとしても、生き血はいらない。
そんな会話をしていると馬車が急に止まった。
「こんな豪華な馬車が大した護衛も付けずにのうのうとはしってるなんてなぁ!」
「強そうな蜘蛛のモンスターに馬車を引かせれば大丈夫だと思ったのか?」
「金目のもん置いていきな。あと、命もなぁ!ひゃひゃ!」
外から下品な声が大量に聞こえてくる。どうやら山賊に襲われたようだ。
「おぉ、ちょうど腹が減ったところだったのだ。」
「族長、でも、不味そうかも。この間の豚も比べるとあんまり食べるとかなさそう。」
そう言って2人が馬車の扉を開けて降りようとした。
「おいおい!こりゃ上玉だぜ!」「たっぷり楽しませてやるからなぁ。」「やることやったあとは俺たちの金になってもらうけどな。いや、アジトでずっと飼うのもありだなぁ!この間飼ってた女を殺しちまったんだったわ、ゲヒヒ!」
ナクアとナラの姿をを見た盗賊たちが盛り上がる。
おいおい、こいつらほんとに下品だな。
「ここは俺が対応しよう。一応お前たちには今回お世話になる。護衛くらいはしよう。ファントム。」
「はっ!ここに。」
ファントムが御者を降りて馬車の扉に来て膝をつける。
「全員殺せ、1人も逃すな。」
「御意。」
命令を受けたファントムたちは剣を抜き、盗賊たちにゆっくり向かっていく。
もちろんそこからは一方的な虐殺である。
そもそも、なぜこんな強そうな蜘蛛に引かせている馬車を襲おうと思ったのか。
勝てるとでも思ったのか?ヘビーナイトスパイダーだけでも、Cランクモンスターだぞ?盗賊程度が勝てる相手ではない。
バカとは怖いものである。
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