第27話 要塞都市アガル

俺はアリアがどうすれば俺の干渉が少なく助かるかを考えた。


アリアは蜘蛛が攻めてきてもクーリッヒから逃げない。ならばクーリッヒに勝ってもらうのが生存の確率を上げられるだろう。だが、そのためにはクーリッヒの戦力では心許ない。

と言うか無理だ。確認したところナクアは自身の右腕のとも言える部下に自身の最大戦力であるAランクモンスターを10体率いさせてクーリッヒを一気に滅ぼす気だ。

明らかに過剰戦力だろう。それには理由がある。

99階層の蟻達だ。蜘蛛と蟻は抗争している。

もしも、ニンゲンに戦力を割いていることを蟻に知られれば、蟻は蜘蛛に総攻撃を仕掛けるだろう。

ナクアは蟻達にニンゲンと戦っていると知られる前にニンゲンたちとけりをつけたいのだ。

しかし、そこは蟻が上手だった。

蟻は上の階層にまで偵察兵を密かに放っており、蜘蛛の軍勢が以前ニンゲンと戦ったところを確認し、すでに総攻撃の準備を整えている。おそらくニンゲンにもう一度攻撃を仕掛けたタイミングで総攻撃を仕掛ける気だ。

そうすれば、ナクアはすぐにニンゲンに差し向けた軍勢を引き上げ防衛に回さなければならない。

つまり蜘蛛の攻撃には時間制限がある。99階層の蟻達が蜘蛛に総攻撃を仕掛ける間の時間耐え切れば人間の勝利と言えるだろう。


そのためにはクーリッヒに新たな戦力を投入する必要がある。それはこの戦いの発端である勇者パーティーに担ってもらおう。


勇者パーティーには早々に魔王アルモルドの軍勢を打ち破りクーリッヒに向かってもらう。


そして俺は急いで要塞都市アガルに向かい、着いた。


「疲れはしないが、ずっと走ってたからつまらなかったな。さてと入り口は…あそこか。」

俺はアガルの入り口に向かう。


「こ、これは。聖騎士団の方でしょうか?」

門番に通してもらおうとするとこう話しかけられた。

…やっぱり鎧やりすぎたのかな。


「いや、冒険者だ。なにか力になれることがあると思ってな。」


「そうでしたか。失礼致しました。では身分証を拝見します。…Eランク?」

カードをみて門番は絶句した。それはそうだろう。こんなにいい装備をしていたらそれは高ランク冒険者だと期待するだろう。残念、下から2番目だ。


「この間冒険者登録したばかりなのだ。」


「な、なるほど。今はどんな方でも戦力が必要です。救援感謝します。どうぞ入場してください。」


あぁ、ありがとう。

俺は要塞都市アガルに足を踏み入れた。


要塞都市アガルはかなり大きな街だった。ほんとに今攻撃を受けているのかというくらい賑わっている。


「なぁ、今戦争中じゃないのか。なんでこんなに賑わっているんだ?」

俺は近くのご飯屋さんに入ってオムライスをつまみながらおばさんの店員に聞いた。


「あぁ、あんた冒険者かい?アガルは今、確かに戦争中だよ。でもね、軍隊やら聖職者やらがたくさんきてね、沢山物を買ったりご飯を食べたりするからね、アガルの一般市民は好景気なのさ。まぁ、上はどうか知らないけどねぇ。あはは!」

店員はそう言って仕事に戻る。


そうか、聞いてた噂と実際は違うのか。さて、勇者パーティーはどこにいるかな。



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