第13話 アッシュを懲らしめよう
パシッ!
アッシュは差し出してやった俺の手を払い、切り分けたステーキを地面に落とした。
「はっ、いらねーよ。俺はテメェより強いからもっと強い魔物を倒してもっといいもん食ってるんだよ。ゴブリン野郎の食べかけなんて食うかよ。」
うん、こいつ一回懲らしめよう。
「躾がなっていない犬がいるようだな。俺が躾けてやる。表でろ。」
「ははは!F級のゴブリン野郎が俺を躾ける?いい装備してるからって調子乗るんじゃねぇーぞ!?」
「いいから出ろ。俺が負けたらこの装備もくれてやるよ。」
残りのステーキを一口で食べて立ち上がる。
もったいないからね。
「言ったな?お前を殺してその装備売ってやるよ。」
「ま、待ってください。アッシュさん相手はF級ですよ!?やめてください。」
騒ぎを聞きつけた受付嬢が駆けつけてくれた。
「なにいってんだ。こいつから先に表出ろっていったんだぜ?」
にやにやしながらアッシュは言う。
「それでもです!そもそもアッシュさんは問題行動が多すぎます。いくら奇跡の剣のメンバーだとらしてもこれ以上ギルドとして目を瞑ることは…!」
「大丈夫だ。しっかり躾けてやるから。」
「え?ジ、ジンさん?」
俺はそう言ってギルドの前の広場に出る。
俺たちの周りを見にきた冒険者達が囲んだ。
「おいおい、またアッシュかよ。」「あいつやりたい放題だ。」「奇跡の剣はなんであんなやつを…」「あいつ、ゴブリン狩りの騎士様じゃねぇーか!かわいそうに、アッシュに目をつけられるなんて。」「いくらいい装備をつけてたってF級がA級を倒せるわけねぇ。」
おいおい。周りの奴ら結構好き勝手言うな。
俺がゴブリンばっか狩ってたのはまだF級でゴブリンくらいしか討伐依頼がねぇーからだ。
「後悔するなよ。」
にやにやしながらアッシュが言う。
大衆の前で自分の力を誇示できるのが嬉しいのであろう。これから無様な姿を晒すとも知らずに。
「お前にはもともとむかついてたんだ。さっさとかかってこい。」
俺がそう言うとアッシュは駆け出し俺に殴りかかってくる。
俺はひらりとかわす。
その後も連撃を繰り出すが全て見切る。
「ムカつくんだよ!!」
あの時のように小手に魔力を流しスピードが上がる。
「それが全力か?」
アッシュはさらにムキになり攻撃を繰り出してくるが、攻撃も雑になってくる。
「まぁ、こんなものか。」
俺は動き回るアッシュの顔面を掴み、地面に叩きつける。
アッシュはそれだけで体の力が抜けて地面に横たわる。
俺はアッシュの顔面を離さず持ち上げて、もう一度地面に叩きつける。
俺はこいつがアリアにしたことを実はまだ許していない。少しきつめに仕置きしてやる。
「お前程度、剣を抜くまでもない。」
「がぁ、あ、」
俺はアッシュの首を掴み、さらに殴る。
「なんで俺に勝てると思ったんだ?よくその程度の力で人に喧嘩を売れるな?」
「ぐふぅ!」
「謝ってくれないか?俺は仕事後のステーキを味わっていたんだ。」
「す、ずみません。ぐぅ!」
俺はさらに殴る。
「声が小さい。」
「ご、ごめ、あぁ!」
「気持ちがこもってない。」
同じような問答を繰り返しながら俺は殴り続ける。もちろん死なない程度にだ。
圧倒的に強いはずのAランク冒険者の醜態に、いや、そのAランク冒険者をボコボコにしている俺を見て周りの冒険者は静まり返る。
「た、だすげ、、」
「あんまり見苦しい姿をみせるな。」
バコン、バコン。
「そこまでだ!やめろ!」
奇跡の剣リーダー アルドが駆けつけた。
「アルドさんだ!」「S級冒険者のアルドさんがきてくれた。」
周りの冒険者もアルドの到着で歓喜の声、安堵の声を上げる。
「アッシュ!大丈夫か!?」
アルドはアッシュに駆け寄る。
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