第2話 人間

すぐに最下層に1番多いトゥルーゾンビと彼らは会敵した。


「くらえ!ホーリーソード!」

「ファイヤーフレイム!」

「浄化しなさい、祈りの光!」

「ドラゴンフレイムソード!」

「いくぜ!身体強化!うぉー!」

それぞれが攻撃を繰り出し、トゥルーゾンビに攻撃を加える。

がしかし、トゥルーゾンビの再生の方が上回り、トゥルーゾンビの攻撃が勇者に当たる。


「ぐぅ!強すぎる!」


「いきなりこんなにレベルがあがるの!?きっとこいつただの雑魚じゃないわ!おそらくラスボス手前の強敵よ!」


「そ、そんな…」


「くそ!逃げるぞ!このままじゃジリ貧でやられちまう!」



えっ、弱くない?そいつ雑魚モブですけど。そいつうじゃうじゃいますけど。

待って、勇者のステータスって


名前:ルーカス

レベル:52

職業:勇者

HP: 5200

MP:3600

攻撃力:530

防御力:480

敏捷:500

精神:380

スキル:勇者 身体強化Lv6 神聖魔法Lv4 魔法Lv6 鑑定 

特記:神聖王国の勇者。


よっわ!これトゥルーゾンビにも絶対勝てないじゃん。むしろよく戦った方だわ。

よし!話しかけよう。


「なぁ!お前たち。ちょっと話を…あ!」 


勇者達が変な石を取り出し始めた。あれ迷宮脱出するためのアイテム的なやつか!?

俺は逃さまいと駆け出して、僧侶っぽい女の子の手を掴んだ。


「え!?」


シュン!と勇者達が消えてしまった。

俺が掴んだ僧侶の女の子を残して。


「えーー!!!」

女の子が困惑なのか悲鳴なのかわからない声を上げる。

あー、多分俺のスキルの絶縁魔体の影響だな。俺の身体魔法を無効化するから脱出の魔法も無効化したんだろうなぁ。


「あ、ごめん。」


「あなた、誰ですか!?」


「俺か?俺の名は…」


「う、後ろ!ゾンビが迫ってます!」


言われた通り後ろを見るとトゥルーゾンビがこちらに迫っていた。邪魔だなぁ。

俺はお気に入りの剣を抜きゾンビの首を飛ばす。ゾンビは黒い炎に覆われて消えカスとなった。おっ!呪いの黒炎か、あたりだな。


「い、一撃で…それもこれは最高位クラスの呪い…貴方はいったい。」


「俺も聞きたいことがいっぱいあるんだ!」



この可愛らしい少女はクロード・アリルちゃんと言うらしい。なんと聖女だとか。

実力は勇者と同じくらいだった。

俺はここの中ボスであることを教えてここの階層の魔物だったりトラップだったりを教えた。代わりに外のことを色々教えてもらった。

ここは死の迷宮は最難関ダンジョンだったようだ。なんでもラストダンジョンと呼ばれているとか。


「嘘ですよね、あのゾンビがうじゃうじゃいるなんて…」


「いやほんと。あれ1番弱いやつ。よかったね出会ったのがあいつで。他のやつだったら殺されてかもよ?」


「さっきまでの階層とはレベル差がありすぎる…それで貴方は中ボス?と言うものなの?」


「うん、そう!ラスボスに挑むには俺が持ってる鍵を手に入れる必要があるってわけ。」

そう言って俺は首にぶら下がっている鍵を見した。


「貴方は私達の…敵なの?」

恐る恐る僧侶ちゃんが聞いてくる。


「いやいや、敵じゃないよ!やっと人間に会えたんだ。殺すわけないじゃないか。」


「よ、よかったぁ。あの、ここから地上への帰り方わかりますか?私もう帰還の石持ってなくて。」


「普通に地上まで登っていくしかないんじゃないかなぁ。あとはラスボスを倒すとか?」


「ラスボスは絶対無理ですよ。僧侶の私ひとりじゃ地上まで上がって行けるわけないし。あの、地上まで一緒に着いてきてくれませんか?お礼なら地上に帰ってからいくらでも持って来ますから。」


「ごめんな。俺は最下層から出られないんだ。そう言うものらしい。」


「そうですか…。」


「まぁ、仲間が迎えに来るまで待ってるしかないんじゃないか?」


「たぶん迎えに来ません。というか、来られないと思います。正直、このダンジョンは難易度が高すぎて、この階層まで来るのでギリギリでした。回復役の私抜きの勇者パーティーでは、この階層にたどり着くのは難しいと思います。レベル上げと箔付のためにこの迷宮に入ったのですが、大幅に時間をロスしました。魔王を早く倒さなければならない勇者達はまたここまで来れる時間的余裕もないと…思います。」

あーあ、泣いちゃったよ。そりゃそうか。こんなに若い子が実質死んだも同然なんだから。

あー、可哀想だな。


「あと少し待ってくれれば俺が出してあげられるかもしれない。」


「えっ!」


「俺はラスボスを倒そうと思っている。あと少しで勝てそうな気がするんだ。あの扉の向こうから漂うあの強者に。」


「ラスボスに戦いを挑むと言うこと?」


「そう言うこと。あいつを倒せば自由になれる気がするんだ。」


「確かにダンジョンコアを壊すとそのダンジョンにいる魔物はダンジョン内から出てきますけど…」


「やっぱりそうなのか!?よし、やっぱり倒そう!」



あれから1ヶ月間、俺は最後の追い込みでダンジョンの魔物達を食いに食いまくった。自由になれると言う俺のモチベーションは凄まじく、凄まじい早さで俺は強くなった。まぁ、もともと数十年ここで食べまくっているから誤差と言ったら誤差であるが、その誤差で勝敗が決まる時があるのだ。

そして今日、俺は扉の前にいる。


「絶対に死なないでくださいね。神の祝福!ストレングス!クイック!ラック!せめてバフだけでもさせてください。」


「ありがとう。行ってくる。」

少し調子が良くなったかな?まぁ、少しでもありがたい。


俺は最初から全力で行くために形態変化を使い第二形態に移行する。

身体から出る触手に包まれ、出てきたのは黒い外骨格に包まれ、背中からは無数に触手が生えている3メートルを超える化け物だ。

触手も黒い外骨格で覆われて至る所に鋭い歯が無数に並んだ口があり唾液を垂らしている。


へたりと僧侶が座り込む。

あっ、見せたのはじめてか。そりゃビビるかこんな化け物。

ちなみに終末と名のつくモンスター達はこの第二形態でやっと押し切れるかどうかというところだ。

この十数年の間に何回か戦ったことがあるが、あいつら強すぎるんだよ。だからあいつらとは戦わないようにしている。


「じゃあ、行ってくる。」

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