単に好きな映像評論集

砂糖鹿目

魔法少女まどか☆マギカ

まず最初にこの作品を語る前に私が一体何に注目して作品を評価しているか説明したい。

私は基本的に物語に目線を向けて評価しています。

正直、映像表現やBGMに関してはそれへの理解が必須な作品でもない限り基本的にはあまり気にしません。

なので私は映画やアニメの映像表現の評価ではなく、プロットに対してのみ評価した物だと思ってほしいのです。


最初に何を紹介しようかと迷いましたが、やっぱり最初はメジャーな方がいいだろうと思い。

私の名前の由来でもある、魔法少女まどか☆マギカを紹介しようと思います。

尚私が見ているのは、アニメ版、劇場版前編始まりの物語、後編永遠の物語のみで、それ以降の叛逆の物語は見ていない。(ワルプルギスの廻天が今年の冬に公開されるので、それまでに見たいとは思っているのだが)

理由としては、私が利用してるNetflixでは視聴ができないからです。(尚、劇場版前編後編も今月で配信終了となる)

なので今回私が語るのは、アニメ版と劇場版前編後編の内容のみとなります。

さて、前立ても済んだ所で早速魔法少女まどか☆マギカの魅力を語りますと、なんと言ってもストーリーのエンタメ性と哲学性の両立があまりに理想的なところにあることです。

数話ごとに各キャラを中心とした話をしながら、ストーリーが文句なく進行していきます。

更に設定が論理的であるが故に、説明パートを短く簡潔にまとめることができている。

ここまでうまくできたプロットを私は今まで見たことがありません。

理論という残酷な現実の法則と感情がぶつかり合う文句なしの傑作です。

さてここから先はもっと深くまどか☆マギカを語るため、ここからはもう既にまどか☆マギカ観た人向けの話をします。

まだ本編を観ていない方は、ここで読むのをやめることをお勧めします。





理論の解説

さて先程も書きましたが、まどか☆マギカは論理的で簡潔に理論をまとめることができていると書きましたが。

実際結構独自な理論なので、中々理解できなかったと言う人もいるかも知れないので。

ここではまどか☆マギカの魔法理論を解説したいと思います。

そうそれは、インキュベーターが言っていたエントロピーがどうたらとかいうやつです。

まずこの世界で説明されるエントロピーというのは、熱力学の概念の特に熱で定義した概念のことです。(エントロピーにも色々種類があります)

「木が燃える事で消費するエネルギーは、木が成長するエネルギーと釣り合わない」

つまりこれで言いたいのは、火が燃えるために必要なエネルギーは木を消費することでしか補えないということです。

例えば火が油が生成される場所の上で燃やすといつまでも燃え続けます。

それは火が燃えるエネルギーより、油を生産するエネルギーの方が燃えるエネルギーを上回っているから実現できるのです。

ですがそれが木の場合は木が成長するだけのエネルギーでは物足りず、木を消費する事でしか火を発生させることができない。

結果、木は最終的に燃えない灰になります。

つまりこの世界でのエントロピーというのは、「代償が釣り合わないと必ず消費(消滅)する」ということです。

これをインキュベーターは、宇宙に例えて


この宇宙の生物が生きるために必要なエネルギーは、宇宙のエネルギーと釣り合わない。=宇宙が消費(消滅)する。


ということになるのです。

それに気づいたインキュベーターは、熱力学の法則に捕らわれない新しいエネルギーを探していました。

結果見つかったのが、魔法少女の魔力です。(つまりこれはエントロピーにも縛られないので、何かを消費することなく使えるエネルギーということです)

更にインキュベーターは、知的生命体の感情をエネルギーにする技術を発明。

だがインキュベーター本人は感情を持っておらず、それで探した結果見つかったのが人間。

人間が生み出す感情エネルギーは、人間が生まれてから死ぬまでに消費するエネルギーよりも大きいのだ。

なのでインキュベーターはその中でも感情の起伏が激しい少女に限定した上で、熱力学の法則に縛られない魔法を利用し、少女に奇跡を一つだけ叶えさせ、その元々あるはずのない奇跡から生じる絶望が魔法少女を魔女させる。

その瞬間のエネルギーを回収してそれを宇宙のエネルギーとして利用する。

というのがこの世界の魔法理論及び、インキュベーターのプロセスです。

それだったら結局魔法とか使わなくても良くないか?とか、感情を操ればいいだけなんじゃないか?とか別に奇跡で絶望しないこともあるんじゃないか?とか色々聞かれそうですが、細かく説明すると私が疲れてしまうので、解説はここで終了です。(どうしても気になる方はコメントください)






まどか☆マギカの思想

魔法少女の理論がこれだけ論理的だと、それに抗うにはそれを覆す力が必要です。

それで登場するのが主人公である、鹿目まどかです。

鹿目まどかは子供向けアニメの典型的な優しくて自分の犠牲を厭わない、憧れるような主人公です。

そのまどかには色々な事情があって(ここは説明しなくてもわかりますね)史上最強の魔法使いになれる資格を持っています。

だがしかし、それは同時に史上最悪の魔女になることを意味しているはずでした。

ですがまどかは、本来条理に合うはずのない奇跡を達成してしまいます。

その彼女の願いは


「全ての魔法少女を魔女になる前に救うでした」


彼女は誰一人として、少女達の祈りを絶望させたくなかったのです。

そして彼女は全ての魔法少女の希望となり、全ての魔女を消滅させ一つ上の存在(概念)としてこの宇宙の法則を変えてしまったのです。

ですが魔女がいなくなっても、人間の悪は形を変えて人々にとり憑きます。

が、また彼女に変わって救われた魔法少女達がこの世界にいるのです。

これは二元論の思想です。

光があるから闇がある。

正義があるから悪がある。

つまり正義がある限り、悪は絶対的に存在するのです。

ですがまどかは少女達が絶望し、魔女という悪役にシフトするという法則を排除し、ただ彼女らは魔力がなくなると消滅するという世界になったのです。

そう魔法少女は、絶望しなくてもよくなったのです。

圧倒的な力を持った善人が多くの人を救うというのは、古来多くの宗教の聖人や神様に共通します。

とりわけまどかがやったことは、キリスト教の救済に一致しています。

まどかは大げさでもなんでもなく言葉通りの神様(イエス)なのです。






最後に

皆さんどうでしたでしょうか?

魔法少女まどか☆マギカは、魔法というファンタジックな設定を守りながらも論理的な理論を作り上げ。

それに見合った壮大な思想を持ち。

なおかつ、物語をつまらなくしないストーリーの巧みさには感服しかありません。(私もいつかこんな話作ってみたいなぁ)

真っ先に私が全ての人にお勧めするダークファンタジーの最高傑作です。

また観たくなってくれたら幸いです。

気になることがありましたら、コメントをくださるとありがたいです。

これからも頑張りますのでよろしくお願いします。

ここまでありがとうございました。

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