日本紛争

@suside

第1話 いつから

 2×××年、西日本と東日本が両断された。

 空には、自衛隊と思われるヘリが飛び、倒壊したビル、家屋があり、様々な所から硝煙を上げている。

 砂塵も止めどなく巻き上がり、呼吸がしにくい。

 口元に、破れ汚れたハンカチを抑え、過去に作られたであろう防空壕へと身を潜める。

「誰か回りにいたか?」

 隣の家で暮らしている同級生の高村は、不安げな表情で問いかけてくる。

「いや、回りには居ないが、ヘリが飛んでいて索敵されてるのかもしれない」

「くそっ!!どういうことなんだよ!」

 1週間、この防空壕へと身を潜め過ごしているが、高村も精神的に限界が近いのかもしれない。

 それもそのはず、食料も日増しに減るばかりで、何より水道が止まっていて、録に水分補給も出来ていない状況だ。

 巻き上がる砂塵によって喉は渇くばかりで、フラストレーションは溜まる一方だ。

 俺は、30歳になるまで自衛隊として働いた経験があり、何とか正常を保てているが、高村はそうではない。

 共に、小中高校と育ってきたが、頭がよかったこともあり、名門大学へと進学を果たし、サラリーマンとして過ごしてきた。

 ならば、ここは何とか俺がどうにかするしかないが、しかし、状況は良くなる事は無い。

 分け与えたペットボトルの水も残り少ない。

 どうにか、状況を変える為に、外を散策してみたが空からの視線によって防空壕へと身を潜めるしかできなかった。

「今夜、近くのスーパーかコンビニに食料を取りに行ってくる」

 まずは、目の前の問題を解決するために、高村へと提案する。

「あぁ、すまない」

 自分の不甲斐なさ、無力な現状に頭を垂れながら答える高村の為には、まずは行動するしか無さそうだ。

「それで、1人で大丈夫か?」

「あぁ、夜なら空からは見つかりにくいだろうしな。動くなら夜しかないだろう」

 時刻は、日が沈み、恐らく22時頃だろうか、ヘリの音は消え静寂の町が訪れた。

「それじゃ、ちょっと行ってくる」

「あぁ、頼んだ」

 行動を開始した。

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