第2話、わたくしはお嬢様として育てられました

 なぜ、わたくしがコンビニのレジに立っているのか疑問に思う方もおられることでしょう。

横浜の外国人居留区だった山手で生まれ育ち、女子高、女子大とお嬢さま学校へ通ったわたくしが、沖縄の繁華街に位置するコンビニでバイトをしているのですから、学生時代の同級生たちが知ったら驚くことでしょう。


 わたくしは小さい頃から優雅な動作をするように躾けられました。

優雅というのは、言葉を変えれば「遅い」ということでございます。


バイトをはじめて3か月でございますが、わたくしの動作は一向に早くなりません。早くしようとしてお弁当を落としてしまったこともございますし、コロッケを入れ忘れるという失態を犯したこともございます。


そのたびに、店長のメイリンさまからお叱りを受けてきました。お叱りといっても、メイリンさまは優しい方でございますので、にこやかに微笑みながら「何度失敗してもかまいません。


少しずつでいいですから、出来なかったことが出来るようにしていきましょうね」と言ってくださいます。

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