影の狼は赤ずきんと踊る

五平太

狼、赤ずきんと出逢う

第1話影の狼は赤ずきんと出逢う


暗闇の中二足歩行の猪…人間にはオークと呼ばれている魔物が何かに怯えるように傷を負った足を引きずりながら逃げていた


「ブッヒッッ!!!」


突然オークは転び顔を地面に強くぶつける、オークの足に何がが絡みついている…黒い布のような…まるで影に巻き付かれているかのように


「ブッヒッ…ブッヒッ…ヒッ!!!」


オークは突然何かに請うように頭を地面に擦り付ける…暫くすると地面から黒い何がが出てくる…影そのものが人狼の形をしてるかの様な魔物が六つもある目を紅く充血させ口からは涎を垂らしいる


「ブッヒッ!!!」


「ガルルルル…」


オークの赦しを請う様な声は狼には届かない、暗闇の静寂を切り裂く様に豚の叫び声が響いた


◆◆◆


「……オーク?」


赤い頭巾を被った少女は不思議に思った、この階層ではいるはずの無い魔物の悲鳴が聞こえたのである。

ならばそのオークを仕留められるナニかが来てる

ダンジョンに潜る探索者としては引くのが鉄則だ

だか少女の足は悲鳴が聞えた方へと歩き出していた


「………」


少女はふと足を止める、足に何がが合った様な気がしたからだ


「……?」


たが足元には何も無いただ何も変哲の無い石が転がっているだけだ


「……はぁ…」


少女は背中に背負っていたハルバードを引き抜き足元の辺りを切り飛ばすと黒い何かが移動し少女と5メートル程離れた所に沼地から這い上がるように黒い六つ目人狼が姿を現す…いや這い出したの方が正しいだろうか


「グルルルル……」


人狼は警戒するように少女の周囲を回り始める


「……ねえ」


少女は人狼に問いかける


「お腹空いてるの?」


「グルァ?」


まさかの発言に人狼は困惑の色を示す


「……ほら」


少女は何処からかチョコバーを取り出し人狼に差し出す


「グル…グル…グラァ?」


今までに嗅いだ事の無い甘い匂いに釣られ少しづつ近づき少女から引ったくるように奪い包装ごと口に入れる


「■■■■■■■〜!?」


包装が喉に詰まりかけチョコバーごと人狼は吐き出し怒ったように吐いたチョコバーに砂をかける(食べ物を粗末に扱うゴミ)


「なんで袋ごと食べるの…?」


「知るかッ!!!人間の食べ物の食べ方なんて分かる訳無いだろいい加減にしろ!!!」


いきなり人の言葉を話した人狼に困惑する少女

何故か少女の言葉が理解出来た人狼は固まる

二人の間に謎の沈黙が流れる


「……あのー言葉通じてます?」


人狼が恐る恐る聞くと少女は頷く


「……なんで?」


「私も知りたい…」


魔物と人間がコミュニケーション出来るのは侍従関係を結んでいるかまたは言語系のスキルを持って無くてはコミュニケーションは取れない筈そのような事を考えていた少女に1つの答えが奔る


「分かった…私が多分貴方をテイムしたんだ…」


「テイム?」


人狼は首を傾げ問う


「テイムって言うのは…魔物と人間が侍従関係を結ぶ事」


「……つまり俺は…アンタの奴隷になったって事?」


「奴隷って…言い方…」


人狼の物言いに少し語弊を感じながら仮説を確かめる為に少女は命令する


「【お座り】」


少女がそう呟くと突然人狼はお座りしてしまう


「?????」


「………なんかごめん…」


コレによってテイム説は限りなく黒になってしてしまう…


「い、いや…大丈夫だ…その…解除とか出来るのか?」


「分からない…でも地上に出れば分かる人いるかも…」


人狼は少し悩んだ後覚悟を決めたように


「……ならアンタに着いて行こう…地上でテイムの解き方を教えてもらうんだ」


「うん…責任は取るよ…」


「いやっ!?言い方!?」


「?」


これは一人ぼっちの狼と少女の物語の始まりだった











  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

影の狼は赤ずきんと踊る 五平太 @sukemaru225

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ