第3話 カフェで昼休憩は甘くないものが食べたい

 昨日、韓国風イケメンに話を聞いてもらったおかげで、今日は大方すっきりとした気分で目覚めることができた。


 失恋の想いに浸る。それもまた良いものであった。


 バーから帰宅した後、家でちびちひと白ワインを嗜む。

 溢れ出てくる感情をそのままに、「つらい……、苦しい……、好きだった……!」と言葉にすると、お酒がなくなる頃には眠くなってきた。


 ……そして起床。少し気持ちが落ち着いていた。


 さて、今日も仕事に行くか。


◇◆◇

 

 昼休憩。

 私は同僚の佳南かなと社外に出て、いつものカフェで昼食を食べていた。


「佐久、今日はミートグラタン?」

「うん。佳南は……あいかわらず甘党だね」


 私は熱々のミートグラタンをスプーンにすくいながら、運ばれてくる佳南のフルーツサンドを見て、口をへの字にした。

 甘味をごはん代わりにするとは。……甘いものを積極的に食べない私からしたら、ありえないことだ。


「佐久、また目が死んでるよ。そんなに甘いもの嫌かねー? 美味いよ!」

「やだ……ぜったいいやだ……」


 そんな会話をしていると、佳南のフルーツサンドを運んできた店員さんが、


「ご注文は以上でしょうか?」


 と問いかけた。


「はい。ありがとうございます」


 私がそう言葉にすると、緑のエプロンを付けた清潔感のある黒髪の男性、店員さんがお辞儀をして去っていった。


 はて。いつもいるあの店員さん、銀色のピアスなどしてたっけ? なんか違和感が……。


 今日もその店員さんは、きっちりと料理を配膳し、私達が食べ終わると、丁寧にお皿を下げてキッチンに戻っていった。


「おいしかったー! 佐久、そろそろ戻ろ」

「そうだね、し、仕事……? うっ(嫌なこと思い出した)」

「あー(失恋の痛みか……そっとしておこう)」

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