普通のサラリーマンが選んだ、非日常の戦い
越知鷹 京
若き獅子たち
沖田総司は、普通のサラリーマンで、日々の生活に疲れていました。
時折、浮かんでは消える「話さないで」という言葉が 頭から 離れません。
それは、彼が若かった頃に出会った 初恋の人 からの言葉でした。
ある日、彼は突然、謎の生命体に出会います。
「僕と契約して、魔法少女になって欲しいんだ」と言われ、彼は驚きます。
しかし、彼はその提案を受け入れ、魔法少女に変身します。
謎の生命体は、この事は「週刊文春にも咄さないで」と言いながら、
執拗に ストーカー行為 を繰り返してきます。
さすがの沖田もこれには辟易です。
周りの人々は、そんな彼を心配してくれました。
…が、何かを隠していることにも気づき始めてしまいます。
日に日に、悪の結社【だめで☆ごりらー】の脅威が地球に迫りくる中――。
2人は、魔法少女に変身して敵と戦ったりと、壁ドンとか、顎クイとか、
なんやかんやで、とても親密になりました。
そこで、沖田は 謎の生命体に 悩みを打ち明ける決心をしました。
それは、初恋の人 との甘酸っぱい思い出でした。
***
ある日、初恋の人 から部屋に来ないかと誘われました。
隣は両親の部屋なので 大きな声で「話さないで」と、注意されたときに猜疑心が生まれました。それは、この娘が『一番 好きな人は 自分ではない』のではないか?という純粋な疑問でした。
そう思うと『なんだか悔しくて』たまらなかったのです。
彼女がお手洗いに行っている間に、父親の下着を盗んでしまいました。
『いつか返そう』と思っているうちに、進む学校が別々となり、疎遠になってしまったこと。未だに『大切』に保管していることを打ち明けるのです。
***
沖田は同じ秘密を共有することで、繋がりが欲しかったのです。
名前すら教えてもらえない関係が辛かった。
ふたりの関係を変えたかった。ただ、それだけだったのに……。
彼の『秘密』は徐々に周囲に広がってしまいました。
謎の生命体は、日本語の受け取り方を間違えたのか? と疑問に思っていると、
――突然、
……背後から抱きしめられたのでした。
力強く、そして懐かしい匂いが、彼の目頭を熱くさせたのです。
沖田の 初恋の人 もまた、
会社の人と同様に、彼の秘密を知ることになったのでした。
すべてを知ってしまった彼女が「離さないでいいから!」と、マウント気味に言ってきます。謎すぎる状況ですが、がっちりとホールドして逃げられそうにありません。
「あ、これ通報されるヤツだ」
そんな気がした、そのときです!
謎の生命体が、沖田に手を差し伸ばしてきたのです。
「さぁ、手をとって」「僕たちトモダチだろ」「さぁ、放さないで」
沖田は、その言葉に勇気リンリンです。
渾身の力を振り絞って、謎の生命体に手を伸ばしました。
***
沖田総司、24歳。思えば、後悔ばかりの人生でした。
学生時代、なにも考えずに進路を決めたこと。あの時にもっと勉強しておけばよかった…。仕事選びや転職に失敗した。どうして、10年先のことを考えなかったのか。
これからは、親孝行できるよう努力したいと思っています。
***
悪の結社だと信じ込まされてきた【だめで☆ごりらー】は、実は銀河ポリスだったのです。薄々は気づいていたのです。
自分ばかりが『秘密』を打ち明けている。
これで俺たち、付き合っている、と云えるのかな?
「もう、別れよう」と沖田は切り出しました。
しかし、謎の生命体は「心を燃やせ」と沖田に言い聞かせ、こちらの主張をまったく聞いてくれません。しまいには「お前はもう死んでいる」と宣言し、社会的な窮地に追い込まれました。
【宇宙人をラブホテルに連れ込む、ド変態】
【変態王子、父親のパンツを盗む】などなど。
ありとあらゆるメディアからの『
「こんなところで、くたばるのか?」と布団の中で、悔し涙を流しました。
しかし、現実はもっとも惨い仕打ちをしてくるのです。
【犯人隠避】【不純異星行為】その他、いろいろ。
――で、銀河最高裁判所から出頭命令が届いたのです……。
この戦いが終わったら「笑えばいいと思うよ」と沖田は言い残し、彼の周りの人々は彼の勇気に感動します。初恋の人からも「あたし、ずっと待ってるから!」と微妙なフラグを立てられます。
だけど、ここで折れるわけにはいかない。「逃げちゃだめだ」
「美しく最期を飾り付ける暇があるなら 最期まで 美しく生きようじゃねーか」と彼は宣言し、沖田総司の人生は新たな章を迎えます。
◇ 了
※フィクションです
普通のサラリーマンが選んだ、非日常の戦い 越知鷹 京 @tasogaleyorimosirokimono
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