勇者パーティーを追放された魔法少女、幼女と共に変身する

メロンストーン

第1話 魔法少女、追放される

「イナミ、あんたみたいな役立たずはクビよ」


 突然の出来事だった。


 私たち勇者パーティーは今日の戦いを終えて街を見つけ、宿に泊まっていたところ、突拍子もなく、魔法使いアリシアに呼ばれた。


 部屋にはアリシアだけではなく勇者パーティー全員が揃っていた。


 魔法少女の私は、役立たずだからクビを言い渡される。


「どうして!?私なにかやっちゃったかな?皆、いつも一緒に協力してきたよね!?」


「なにかとかじゃないわよ。あんたはこの勇者パーティーで1番の役立だずだからクビにするのよ」


「そ、それは…」


「はぁ?今更になって言い訳する気?こうやって言われるまで気付かなかった自分が1番悪いのによくあれこれ言おうとできるわね?」


 容赦なく私をクビにしようとしている。


「ですよね。全く役に立ってません」


「あぁ。全くだ。人手不足だったからと言え魔法少女は雇うべきではなかったのだ」


 ヒーラーと勇者も私に対して厳しい意見を述べてくる。


 皆。今まで私をこんな風に見てきていたのか?


「じょ、冗談でしょ?パーティー...だよね?仲間だよね?私たちは...」


「ふざけてる?あんたなんか仲間でもなんでもないわよ!名前すらも呼びたくないわ!」


 向こうは本気だ。

完全にここにいる全員は私を仲間として見ていない。


「そんな…私は皆の役に立ちたかったのに…」


「役に?私より弱いくせによく言えるわね。魔法少女は魔法使いには敵わない。それぐりいは昔から知られているんだし知ってるでしょ?今まで雇ってもらえたこと自体に感謝しなさい」


 アリシアの指摘は正しい。何故なら私は魔法関係の職業のくせにアリシアより魔法は強くないし、何よりアリシアみたいに前方では戦えず、ほぼ後方で戦ってるので肝心な場面で役に立ててないのだ。


 私の職業、魔法少女は同じ魔法関係の魔法使いよりも強くないことは昔から知られていて勇者パーティーには本来向いていなかったのだ。


「…分かった。じゃあ明日には出て行くから」


「明日?今からこの宿から出て行きなさいよ」


「え?」


 人数分取ったはずだから本来は私は泊まれるはず。

なのにどうして退出を要求されるのだ?


「あんたの部屋には今からイケメン沢山呼ぶからに決まってるじゃない」


「…」


 意味が分からない。


「そうですよ。私たちは今から戦いを楽しんだのでその分のご褒美を楽しむのです。そこに貴方がいれば邪魔も同然。さっさと出て行ってもらうのが良いに決まっているでしょう」


「その通りだ。私たちの邪魔をしないでもらいたい」


 ヒーラーと勇者もアリシアに同感している。

完全に皆は私を邪魔としか思っていない。


 今まで私は皆を大切な仲間だと思って冒険してきたのだが、そう思っていたのは私だけで皆は私を邪魔としか見ていなかったということになるのだ。


「逆によく今まで生きてこられましたよね。アリシア様とは違い、魔法も弱いくせにましてや敵が出ても大きな活躍を出してこないくせに…このパーティーに入ってなかったからどうなってたと思いますか?」


「…」


「そしてあの格好…恥ずかしいと思わないのか?連れて歩くこっちが恥ずかしい」


「…」


 ヒーラーと剣士の意見には何も言い返せない。


 ここで会話の最中に魔法使いと魔法少女の違いについて疑問を持つ者も現れるだろうから魔法使いと魔法少女の違いについて説明しよう。


 魔法使い、古代から伝わる魔法の職業で魔法の杖を使い、火魔法や水魔法と様々な魔法を放って敵と戦っていく職業だ。

勇者パーティーの中に魔法使いがいるとそのパーティーが強くなるのでどこのパーティーも魔法使いは歓迎される。


 で、魔法少女とは何か?

魔法使いと同様、古代から伝わるが魔法使いの魔法の杖とは違い、マジックステッキと呼ばれる長くて派手な見た目をしている杖を使って魔法を放って敵と戦っていく職業だ。


 ここで魔法使いと魔法少女はどう違ってくるのかというと魔法少女の場合、マジックステッキは変身しないと魔法を発動できないのである。

変身した姿は衣装はヒラヒラでキラキラで派手、髪も色もカラフルになり髪型も変わる。

そして声も高い声に変わるので変身すれば目立つも同様、恥ずかしいったらありゃしない。


 で、現状は魔法の威力も魔法使いの方が強いので職業としての人気は魔法使いの方が高いのである。


 なのでこういったところもあるからか魔法少女は勇者パーティーでは歓迎されない風潮がある。


 大昔、私が生まれる前はある魔法少女が世界を救って皆から尊敬されていたと言われるが生まれてない頃の話なのでそこはよく知らない。


 ここでだ。どうして私が魔法使いではなく魔法少女になったのかというと。

単に魔法使いとしての素質がなかったからだ。


 昔、魔法の杖を使って何度も魔法の練習をしたが上手く魔法が扱えずにいた。

それもそうだ、魔法使いは誰でもなれる訳ではないからだ。

この世界において魔法の杖を使うには素質がいる。


 だけれど魔法少女の場合、マジックステッキがあれば誰でも変身できて私でも魔法が使えるので私は泣く泣く魔法少女を選んだ、


 これがこの世界における魔法使いと魔法少女の違いだ。


 では、話に戻るとしよう。


「じゃあ…出ていく…」


 私はもうここには居場所がないと知ったので宿から出ていくことにした。


「そう。あんた同性愛者だったわよね?女の子によしよし〜って慰めてでももらったら?助けて〜って甘えても良いわよ」


 私が同性愛者なのは子供の頃からそうなのだが、このパーティーには知られている。

以前、街で綺麗な女性を見かけて私が気にしていたところをアリシアに見られていたからだ。


「そうですね。こんな泣き虫みたいな魔法少女はそれがお似合いかと」


「あぁ」


 全員で私を責める。

もうここに私に居場所はない。


「…さようなら」


 そうして私は宿から出ていくのだった。

 

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