創作活動とは違う、未体験の新しいなにかをしよう。このエッセイはそう思い立った奈良ひさぎが実際に行った新しいことを綴り、その中で考えたことを語るものである。
というわけで、奈良さんが今年に入ってから新しく経験したことを記したエピソード集です。興味深いのはこれがただのレポートではなく、そこから思い起こした別の内容やお話に関係するご自身の過去について、果てはなんとも締まらない失敗などまで、幅広い話題が詰められている点。
著者さんの人となりが見えることこそがエッセイの醍醐味ですし、それだけでなく、いろいろな角度からご自身へ切り込んでいただけることで読者も著者さんを理解し、経験を追体験できます。それをこうもさらりと描き出せる奈良さんの筆はもう、お見事のひと言。
創作のためでも、ただただ気分転換のためでも、新しい経験をすればかならずなんらかの発見ができるもの。本作は家にいながら発見できる機会をもたらしてくれると同時、そこへ踏み出すためのきっかけになってくれますよ!
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=高橋剛)