紀伊半島一周旅 Day3(2024/04/29)

白浜→勝浦と来て、3日目は新宮に宿泊しています。紀伊勝浦と新宮は電車でも2、3駅、ちんたら行っても10分ほどで着く距離感です。なぜここまで細切れに泊まっているかというと、熊野三山へのアクセスのためなんですね。

各大社へは小辺路や中辺路に沿ってバスが出ているので、とんでもなく不便なところはないのですが、一番時間がかかるのが熊野本宮大社。白浜・田辺からだとバスで2時間、新宮からだとバスで1時間。なのに本宮大社の所在地は田辺市という、何かのバグ。田辺市ってもしかしてめちゃくちゃ広い?

本宮大社が当然一番メインで行きたかったのですが、せっかくなら熊野三山全てに行きたい。速玉大社は新宮駅から歩いて行ける(1kmちょいありますが)のでいいとして、那智大社は紀伊勝浦駅からバスで30分、那智駅からだと20分の立地。白浜or田辺で1泊後、本宮大社に行き、そのまま新宮へ抜けるルートも考えたのですが、それだと那智大社に行けなくなります。加えて白浜以南のダイヤが壊滅的なことは前話まででお話ししていますので、海岸沿いをぐるっと、ゆっくり周るルートを通ることにしました。

というわけで、3日目は「熊野那智大社・熊野速玉大社観光」です。


紀伊勝浦駅前には「熊野御坊南海バス」の事務所があり、お得なフリーチケットが買えるのでおすすめです。この会社のバスにしか乗れないという縛りが生まれますが、1時間に1本くらいのペースで運行されているので、そこまで不便にはなりません。ちなみに新宮駅前にも、もうちょい大きな事務所があって、ここでも購入できます。

このバスで勝浦駅前から30分ほどで、終点の那智大社前に到着です。途中大門坂を通った際、人がたくさん降りていったので調べてみると、大門坂バス停から那智大社までは1kmちょいで、比較的お手軽に参詣道を歩けるとのことだったので、帰りに試してみることにしました。


那智大社の素晴らしさはわざわざここで言うことでもないと思いますが、そこそこの段数の階段を上った先にあるので、景色の良さはさることながら、達成感もあります。主に近くに那智の滝があることも影響していますが、熊野三山の中では最も好きな神社でした。

那智大社には神仏習合の名残として、西国三十三所巡りの第一番札所である青岸渡寺が隣接しています。明治に入って神仏分離令が出され、それぞれ別物として扱われている現在では、神社の御朱印をお寺に持っていくと怒られることもあるようですが、こうしてもろに隣どうしに位置していると、確かに昔は一緒くたに考えられていたんだな、というのを感じられます。


青岸渡寺からはさらに坂を下って三重塔、さらに那智の大滝がある飛瀧神社へ。昔から水の流れを見つめるのがどういうわけか好きな私にとっては、ここが今回の旅行のハイライトと言ってもいいくらい、印象的でした。「よし、これで私小説(ししょうせつ)でも書くか」と思うくらいに。近々カクヨムで出すと思うので、よろしければどうぞ。

大門坂の入口は那智大社前のバス停近くにあるので、那智の大滝からは少し上って戻ります。1時間かかるなら……と軽めのお昼を食べて、さあ出発。


で、後悔しました。そもそも今年のGWはやけに雨が多く、外に出るなと言われているかのような天気ですが、雨の山道を下るとか危ない以外の何者でもないんですよね。大門坂の入口に杖があったので一本持って行ったのですが、それでも足が滑る滑る。2回すっ転んで尻餅をつきました。二度と行くかと思いました。あれは晴れの日でないとあまり楽しめないと思います。ただ、その減点を入れても、那智大社と那智の滝での経験はすごく考えさせられるところがありました。本宮大社ももちろん壮観なのですが、アクセス面からも那智大社には人生で一度は行ってみてほしいです。紀伊勝浦駅、那智駅には、新宮まで運転する「くろしお」であれば停車します。


那智大社を満喫した後は那智駅までバスで戻り、新宮駅方面のバスに乗り換えます。待ちは約20分と、考えられているのかいないのか微妙なところですが、20分くらいであれば簡単につぶせます。普段来ないような場所なので、あたりを散策していればあっという間です。


新宮市は和歌山市出身の友人からすると「とんでもねえ田舎」とのことですが、私は新宮市に入って郊外型の家電量販店やスーパーが見え始めた時、「えっ、ちゃんと地方都市じゃん」と感じました。ですが速玉大社前のバス停で下車し、あたりを散策しているうちに、地方都市にしては不便だということを実感しました。確かに大きな建物は点在しているし、ローカルスーパーのオークワがとんでもない規模の建物を構えているし、イオンもあるのですが、そのどれもが新宮駅から絶妙に離れていて、ちょっとずつ歩かせてくるのです。

市の中心部にお店やら何やらが固まっていて、駅は市街地の端っこにあって2〜3km離れているので不便です、というパターンは地方都市ではよくあるのですが。駅を中心として半径○kmの円周上にポツポツとお店があるパターンは経験上初めてで、これでは車社会からの脱却は厳しそうだと思わざるを得ませんでした。車社会から脱却しないといけないとか、車が悪だということではないのですが、これで鉄道に乗ろう!と呼びかけて乗ってくれるかというと、それは駅だけがポツンと離れているパターンとは別の難しさがあるでしょう。


ともかく、速玉大社に参拝したのち、歩いて橋を渡って和歌山と三重の県境をまたぎ、すぐに戻ってきてしばらく散策。速玉大社は那智大社からは一転、町の中にあるちょっと大きめの神社くらいのイメージで、あくまで本宮大社へ行くための足がかりなのだなと感じました。実際、平安時代には速玉大社に参拝後、中辺路を歩いて本宮大社に至り、そこから熊野川を下って速玉大社の方へ戻る、というルートで旅をされていたようです。このあたりは本宮大社近くの資料館で流れている映像や、パンフレットで確認できますのでぜひ。たぶんDay4でも書いていると思います。


ちなみに、晩ご飯は新宮らしいグルメが上手く見つけられなかったので、モスバーガーです。ファストフード店に行くとなると普段はマクドナルドばかりで、モスバーガーなんて何年も行っていなかったので、個人的にはこれで十分でした。にしてもわざわざ旅行先で行くか?とか言わないで。

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