月の悪魔の影。偉大な英雄の伝説

第7章

ティフォン王国

首都：サンセット

宮殿: ゴールデン・エイジ

誕生日、それは素晴らしい祝日だ。誕生日が嫌いな人がいるだろうか？ほとんど誰もいない。ティフォン王国のプリンセスは昔から誕生日が大好きなタイプだったが、今年は違った。

サンセットの美しい首都は暑い一日だった。宮殿では、メイドたちが朝早くから彼女の誕生日を祝う準備をのんびりと進めていた。この日はすべてが完璧でなければならなかった。周囲はすべて派手な花や模様で飾られ、片隅に置かれた愛着のない鎧さえもドレスアップされていた。

しかし、どれも彼女を喜ばせるものではなく、彼女の気分を高揚させるものでもなかった。

日以上、少女は部屋から出ず、誰ともコミュニケーションを取らなかった。

- エスミン、娘よ、パパのためにドアを開けてください。

ヘンリー王は数時間、娘を寝室から追い出そうとしたが、すべて無駄だった。

- 一人にしてくれ！今年の誕生日はないって言ったでしょ。何か悪いことが起こるはずだ

ドアの向こうから小さな声がした。

- 娘よ、せめて中に入れてくれ。何日も閉じこもっていて、話もしない。食欲もないし、やせ細っているに違いない。どうしてそんな態度をとるのか知りたいんだ。私はあなたの父親で、あなたを助けたいのです。あなたが苦しんでいるのを見るのはつらい。笑顔でいてほしい。あなたに...

父が言い終わる前にドアノブが倒れ、5歳の子供ほどの小さな生き物が顔をのぞかせた。その顔は涙ぐみ、怯えていた。

男は娘の部屋に入り、二人の会話が聞こえないようにドアを閉めた。

- お父さん、こんなことをしてごめんなさい ......。

王はお気に入りの娘のところへ歩み寄り、か弱い娘を抱きかかえ、大きな肘掛け椅子に娘と一緒に座った。彼女の大きな白い四柱式ベッドは完全に化粧されており、彼女の身長では手が届かなかったであろうことがわかる。椅子の上にはベッドカバーが積まれ、その横には画用紙、本、ビスケットの皿が置かれていた。

王はエスミンの寝室の小さな散らかり様を見て、大きくため息をついた。

- 教えてくれ、わが竜女よ。何を悩んでいるんだい？

ヘンリーは冷たく白い頬に大きな手をやり、悲しみと憧れに満ちた灰色の瞳を覗き込んだ。男は一刻も早く彼女の悲しみの原因を知り、彼らを滅ぼして王国から消し去りたかった。結局のところ、彼は常に、自分は大王国の王ではなく、何よりもまず父親であると考えていた。

- パパ、今はこんなこと楽しめないよ。誕生日に誰かに殺される夢は初めてではない。物音にたじろぐのも今日が初めてじゃない......。間違いなく予知夢だ。間違いない。前にも同じことがあった

エスミンは言い終わることができず、黒い燕尾服に身を包んだ父親の胸に全身を押し付けた。

- シー、言いたいことはわかるよ。でも、お父さんの強さはご存じでしょう。それに、私たちには優秀で忠実な衛兵がいる。こう言っておこう

父親は娘を脇に連れて行き、茶色の髪を撫でた。

- 大きなごちそうを食べずに海に出よう。そんなに心配なら、お前と私と小さな衛兵だけでいい。