★0 【けもみみランドフル回転!】どうやら俺はお狐様に魅入られてしまったようだ。


タイトル:【けもみみランドフル回転!】どうやら俺はお狐様に魅入られてしまったようだ。

キャッチコピー:狐娘とのラブコメディメロドラマ!🦊⛩❤

作者:覚醒冷やしトマト

URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330662267112641


評価:★0


【あらすじ】

 本作の主人公である瀧ケ崎時哉たきがさきときやは夏の猛暑の昼下がりに神隠しに遭ってしまう。どうしたものかと手をこまねいていたら、怪しげな神社にて狐朱こあけと名乗る狐娘と出会う。

 それからというもの、あれよあれよと彼女が住む屋敷へと連れて行かれそこでも様々な狐娘と遭遇する。幸運なことに狐娘と尻尾が大好きな主人公はこの世の楽園に辿り着けたと感極まる。

 まさしくこれはもふもふと癒しに溢れたストーリー。人類史最高の体験談であろう。

 しかし、彼はなんの変哲もないただの人間……だというのにどうしてこのような状況に恵まれたのか?

 それは単純に運が良かったなどという言葉では片付くものではなかった……。



【拝読したストーリーの流れ】

 本作のエピソードタイトルには「第1モフり」「第2モフり」とナンバリングがされていましたが、本批評内では「第1話」という風に呼称させて頂きます。



 狐娘に性癖を見出すオタクの主人公「瀧ケ崎時哉」は、新刊本を買った帰りで道に迷ってしまう。

 周囲は見覚えがあるような無いような不思議な風景で、おまけにスマホは圏外だ。次第に「神隠し」を疑い出す「時哉」の前には、街中にはある筈の無い「山」がそびえ立っていた。


 不審と恐怖を感じながらも山の麓まで来ると、そこには無数の鳥居がある階段があり、階段を上った先には稲荷神社が……。

 そこで狐娘の「狐朱」と出会ったのだった……、といったお話でしょうか。



【タイトル・キャッチコピーの批評】

 タイトルですが……、【けもみみランドフル回転!】のワードパワーが凄まじいですね。本企画に参加頂いた多数の作品の中でも、特に際立っていると感じました。

 正直、この1文だけで目に止める読者は多いと思います。


 難を言えば、後半が霞んでしまって全く印象に残らない事ですね。

 しかしこれは前半で「読者をキャッチする」という役目が果たされていると思いますので些細な問題でしょう。



 キャッチコピーですが、ただジャンルを並べただけですね。

 「タイトルでキャッチは十分」だという考えならば、これもアリだとは思います。


 ただ「ラブコメディメロドラマ」は区切りが無くて非常に読みづらいので「ラブコメディ&メロドラマ」など、間に何か1文字を入れた方が良いでしょう。



【キャラクターの批評】

 キャラクターですが、まず主人公が問題だと感じました。

 本作では地の文が一人称で語られ、常にテンションの高い主人公の「1人芝居」が繰り広げられております。


 恐らくですが、この主人公のキャラは一般ウケはしないと思います。

 主人公は1人芝居で(恐らく)読者を笑わせにきているのですが、それが第1話の冒頭から始まる為、いきなりこのノリについて行ける読者は少数だと思います。


 そして第1話からいきなり「言動不一致」なのも良くないと思います。

 主人公は異変を感じ、自身を「ビビり」と評しながら、自分の意思で「怪しいと思いながらも」神社へと足を踏み入れます。

 冒頭でこの様な事をしてしまうと、読者からは「理解不能な主人公」と思われてしまうと思います。


 また、その後も「作者の都合に流されるまま」なのも良くないですね。

 狐娘が好きな主人公が実物を目の当たりにしてテンションが上がるという所までは理解できますが、その後も「当たり前の様に」狐娘について行き、「さしたる疑問も抱かずに」旅館(?)に泊まるのはやり過ぎです。

 警戒や葛藤を入れる事でテンポが悪くなるのを嫌ったのかも知れませんが、私の感想としては「主人公は、まともな人間の思考をしていない」と感じました。

 つまりは「作者の操り人形」ですね。


 主人公以外の問題としては、序盤からキャラが多すぎますね。第5話までの間で、狐娘が5人も登場します。

 そのおかげで、1人1人はキャラ紹介くらいしか出来ていません。

 キャラの性格付けなどはしっかり分けられているのですが、流石に5人ともなると読者も把握が困難ですし、もっとゆっくり、1人1人丁寧にキャラを出した方が良いのでは、と思います。



【文章・構成の批評】

 文章自体は読み易いのですが、問題が大きいですね。


 まず「誤字と誤用が多い」ですね。

 「男子校に通い続けるこの俺に女性への粘液はなく」という誤字には笑わせて頂きましたが、これらは直した方が良いでしょう。


 次に「同一キャラが連続して喋っているのに「 」が2つに分かれている」です。

 これは主人公の心の声の( )が特に多かったのですが、連続しているのなら1つにまとめた方が良いでしょう。2つに分けたいのなら、1文だけでも間に地の文を挟む事をお勧めします。


 そして、こちらは深刻なのですが「文章のセンスが悪い」と感じてしまった事ですね。作者である覚醒冷やしトマト様には、誠に申し訳ございません。

 いくつか「センスが無い」と感じた文章を引用させて頂きます。

――――――――――――――――――

「このような経験ができるのは、この世界に存在するどんな聖人や富豪が望もうとも決して経験することも叶うことも無いとさえ言える経験を俺は今しているのだ!」


「トキメカせながら」


「そうして扉が開かれると、そこに広がるのは赤黒い長机とセットで椅子が規則的に幾重にも置かれており、床は木のフローリングや扉の近い方に石床と二分化されており、その部屋の奥には全面にびっしりと硝子が張られ、その先には苔に満ちた石や木があり灯籠と少しの池があった。

 しかしその隣には夜景で紅葉の木やそのほか新緑の木が下からライトアップされていた。この日の時間や季節を無視した光景には所謂、異世界感というものを感じざるを得なかった。


 そのプレミアム感に俺は目を奪われた。」

――――――――――――――――――

 最初の文章は「前後の文脈が繋がっていません」。「経験」という言葉をを2度使っているのも良くないと思います。

 2つ目は「トキめかせながら」の方が良いと思います。元々「時めく」と「~かせて」の2つを組み合わせた言葉ですので、「トキメカせ」は微妙に感じます。

 そして3つ目ですが、「説明文がくどい」ですね。それを締めくくる「プレミアム感」という言葉にもセンスを感じません。


 これらは全て「私の主観」です。人によっては感想も変わると思いますし、私の見方がおかしいという方もおられるかも知れません。

 ですが私には、無視できない程に本作の言葉選び・文章構成が悪いと感じてしまいました。



 次は構成に移りますが、「導入とキャラ紹介しか出来ていない」というのが問題に感じました。特に第3話~第5話の間はキャラの紹介しか出来ていませんね。

 一応、主人公が気絶したり夕食を摂ったりといった出来事などもありますが、キャラ紹介も兼ねている為に非常に薄味です。キャラ紹介も人数が多い為に深堀はされず、本当に「紹介をしただけ」に映りました。


 ストーリーとして、特に重要な出来事は何も無い話が続くので、個人的には「退屈」でした。



【ストーリー・設定の批評】

 大まかなストーリーラインは悪くないと思います。神隠しにあった主人公が、その先で歓待される。……雰囲気は違うと思いますが「浦島太郎」みたいな話ですかね。


 ただ先程も申し上げましたが、ストーリーラインに乗せる為の流れが「雑」です。主人公が「言動不一致」「作者の操り人形」と申し上げた件ですね。

 ここが適当に流されては、良い話も良くは見えませんね。



 設定に関しては「主人公と狐娘たちには、過去に何かがある」という伏線が張られています。

 ですが、上記の様にストーリーの流れが雑なので期待は出来ませんね。



【総評まとめ】

 総評ですが「良いのはタイトルだけだった」ですね。

 特に致命的なのは「主人公のキャラ」と「話の持っていき方が雑な事」、そして「文章に問題点が多い」の3つだと思います。


 あまりにも主張の激しい主人公のキャラは、読者の1話切りを誘発する可能性が高いと感じます。

 雑なストーリーの進め方は、今後の展開……ひいては作品そのものへの期待感を失います。

 文章の問題は、作品全体の評価に関わります。


 残念ながら、本作には問題点が数多くあると感じました。

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