美しい星

雨世界

1 恋をすること。

 美しい星


 恋をすること。


 広い海が見える。

 青色の海。

 朝の時間。晴れ渡っている空。

 少し歩くと道路の先に果てしない海が見えた。

 その風景は本当に綺麗だった。

 ずっと忘れていたなにか。

 感情。思い出。やりたかったこと。

 そんないろんなことをたくさん、たくさん思い出した。

「きてよかった」

 思わずそんな言葉が口から出た。

 こんな素敵な場所にあなたは住んでいるんだ。羨ましいな。と思うのと同時にとてもあなたらしいなと思った。


「こんにちは」

 声をかけると古い家のから「はい。どうぞ」と明るい声で返事が聞こえた。

「久しぶり。元気だった?」

「元気よ。そっちはどう? 元気でやってる?」

 里はにっこりと笑って言う。

「もちろん。元気よ。元気。私はいつだって元気いっぱいだったでしょ?」

 里に負けないようににっこりと笑って美星は言う。

「さあ。あがって、あがって。長旅で疲れたでしょ? まずは家の中でゆっくりして行って」

「どうもありがと。お邪魔します」家の中に足を踏み入れながら美星は言った。

 なんの気兼ねもいらない関係。本当に中学生時代に戻ったみたいだと思った。

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