不遇能力パーティー

夢時間

第1話 神授を与えられたんだよな?

10歳になると得られる能力、神授。

その神授は、あたえられる神によって違う。

「いやぁ~、超楽しみだねぇ!」

白髪にうっすらと青のグラデーションをした少女、リルは言った。

だが、独り言ではない。

リルは、とんでもなく長く神秘的な廊下を歩く、2人の少年に言った。

「まぁ、失敗する可能性ももちろんあるけどね」

「うわ、ロマン無いなぁ」

リルに一番最初に返事したのは目が見えないほど前髪の長い黒髪をした少年、アルタ。

続いて。

「失敗する可能性もあれば、成功する可能性もあるんだから、前を向いていこうよ」

金髪碧眼の少年、ユウは言った。

「あ、扉が近付いてきたよ。」

「……いよいよだね、張り切っていこう!」

「そうだね、ユウくんは違うけどリルみたいなアホでも神授はもらえるんだから」

「アルタ、一言多いんですけど」

__ギイィときしむ音を立て、扉が開く。

すると、一斉に拍手が起きた。

「う、うるさい……」

少し歩いた所には、神授を得るための水晶が置かれていた。



_____その水晶が、一番の敵だったのかもしれない。



一通りの儀式を済ませ、リルが水晶に手をかざす。

すると、白磁色の光が水晶から飛び出してきた。

「な、なにこれ!」

白から青、青から水色へと変化していく光に、目を奪われる。

………その瞬間、奥にいた神父が顔をしかめた。

___水晶がひび割れていく。

パリンッっと心地の良い音が鳴るのを聞いたが最後、リルたちの意識は途切れた。


______________________________


リル達が目覚めると、そこには煌びやかな教会はなく、

新緑や小鳥のさえずりを感じられる、森だった。

「……え、?」

「えっと、ねぇユウくんこれどういうこと?」

「い、いやまだ僕も何がなんだか…」

三者三様に感想を口にしていく。

すると、一番浮かない顔をしていたリルが、はじけるように顔を上げ。

「っ…そうだ、神授は?!」

すると、リルの首にポゥッっと光が灯る。

「神紋だ、神授は授かっているんだな…」

「ユウくん、ユウくんの手のこうにもついてるよ」

「え、嘘?!何でだろう……?アルタにもついているし、どういうことだ?」

リルには灰色の光が、アルタには薄茶色ベージュの光が、ユウにはみどりの光が。

それぞれの光をまじまじと見つめ、考えついた結論は。

「……多分だけど、あの水晶、壊れてたんだと思うんだ。」

「なんで?」

「だって、手をかざした、つまり神授を与えられたのはリル一人なんだ。なのに…」

「オレ達も与えられているってこと?」

間髪入れずにすらすらとユウが答える。

「そう。その時点でもうおかしい。だからコレは事故だと思うんだ。それに……」

「「それに?」」



「見たこと、ないんだ。こんな光。どの図鑑にものっていない光なんだ」

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不遇能力パーティー 夢時間 @nekokurage0

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