第50話:殲滅

 俺は、一人この場に待機。


 皆が魔物を引き連れて戻ってくるのを静かに待ったのだった。


 そして待つこと約五分後。


「エレン! 結構数が多いよ!」


 まずはリヒトが戻ってきた。


 剣を持たない左手には、しっかりと黄色の旗が握られている。


 そして、リヒトの後ろには想定していた通り、五十体を超える大量の魔物。


 さっき見たウルフの魔物以外にも、ネズミ型やコウモリ型の魔物などバラエティに富んでいる。


「俺の後ろまで来てくれ」


 リヒトに誤爆してしまわないよう、安全な場所で避難したことを確認してから『火球』を放った。


 ドゴオオオオオオオンンンンッッ‼︎


 どうしてさっきから『火球』しか使っていないのかというと、必要十分であることに加え、あまりにも強い魔法を使うと味方を巻き込んでしまうからだ。


 と、それはともかく。


 これで大半の魔物は蹴散らすことが出来た。


 残った魔物はリヒトに任せておけばいいだろう。


 そして、このタイミングでユリア、シーシャ、ティアの三人も戻ってきた。


 ユリアが赤の旗を、シーシャが青の旗を、ティアが緑の旗を持っている。


「エレン、大丈夫か? さっきの軽く三倍はいそうだけど」


「任せておいてくれ」


 さっきの三倍と言うと……百五十体から二百体くらいか。


 リヒトは心配するが、この程度なら何の問題もない。


「そのまま俺の後ろまで来てくれ」


 さっきと同様の指示を出し、三人が安全な場所まで避難したことを確認して、三方向の魔物の大群に『火球』を放った。


 ドゴオオオオオオオンンンンッッ‼︎

 ドゴオオオオオオオンンンンッッ‼︎

 ドゴオオオオオオオンンンンッッ‼︎


 みんなが引き連れてきた魔物は、俺が魔法で空けた穴を通ることでしか来ることが出来ないため、動きが大幅に制限される。


 おかげで、殲滅は簡単だった。


「すごいな……本当に」


「まさか、エレン一人であれだけの魔物を倒してしまうなんて……!」


 褒めてくれるのは結構だが、旗を集めるだけじゃなく俺たちは出口を目指さなければならない。


「上手く行ったのはみんなのおかげだよ。そんなことより、出口に向かおう」

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