第46話:地下ダンジョン
◇
地下を歩くこと約十分で《ポータル》と呼ばれるダンジョンの入り口近くに到着した。
《ポータル》の見た目は時空の裂け目のようになっており、青く光っている。
なお、《ポータル》は一か所だけではなく、合計で六か所あった。
それぞれのパーティが別の入り口からダンジョンに入ることになるらしい。
「じゃあ、ルールをおさらいするぞ」
《ポータル》を背にしたオスカ先生が、説明を始める。
「例年に倣って、今年のオリエンテーションもいわゆる競走形式だ。魔物を倒しながら四本の旗を集めてゴールを目指してもらう。ここに戻ってきた順に順位をつける」
オスカ先生はこほんと咳払いを挟んで説明を続ける。
「パーティごとに別々の《ポータル》からダンジョンにに潜入してもらうのだが……転移場所はバラバラだ。要するに、ダンジョン自体は繋がっているが、独立したエリア《バトルコース》を攻略してもらうことになる。それぞれの《バトルコース》の難易度はどれも同じ。そこに有利不利はない。ここまで大丈夫だな?」
チラッと生徒の顔を見て、ルールを理解できていない者がいないか確認するオスカ先生。
問題なしと判断したのか、生徒から目を逸らした。
そして、意味深にニヤッと笑う。
「……と、ここまでは周知していた通りだが、ここで特大サプライズを発表しよう」
勿体ぶった言い方をした後、ポケットから十枚の紙を取り出した。
「優勝パーティの五名には、なんと三日外出券が与えられる。準優勝パーティにも一日外出券を進呈しよう。この券を使えば、なんと定められた期間だけ自由に学院の外に出ることができる! 需要も免除だ。好きな時に休暇を満喫すると良い」
生徒たちからおおっという声が上がった。
俺はリヒトから聞いて知っていたので、驚きはない。
とはいえ、正式に景品として発表されたことでモチベーションは高まった。
秒速で終わらせて、三日外出券を持ち帰るとしよう。
「では、始めよう。整列してくれ」
パーティごとにそれぞれの《ポータル》の前に集合し、開始の合図を待った。
と、その時。
「おい、そこの庶民。エレン、お前だ」
隣の《ポータル》のユリウスから、どういうわけか声を掛けられた。
「ん?」
「今度こそ立場の違いを分からせてやる。お前が優勝することは天地がひっくり返ろうとありえないということだ。覚悟しておけ」
はあ……。
どうやら、ユリウスは俺と勝負をしているつもりらしい。
「えっと……うん。楽しみにしておくよ」
面倒くさいので、俺は適当にあしらったのだった。
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