ささくれの電話から

矢斗刃

ささくれの電話から

人指し指の所から皮がむけたようになっている。

それを取ろうとしてぴゅっと引っ張ればさらにひどくなっていたかったりする。

「痛い。」と思わず言葉にするくらいだ。


ささくれは気付けば出来ていてなんでできるんだろうと考えたけど、やはり自然と出来てしまうものなのかもしれない。


昔はささくれが出来たら親不孝者と言われていたらしく、そんな事を考えて実家の親に連絡をしてないなーと思う今日この頃。


さっそくスマホを取っ手連絡をしようとするけれど、中々久しぶりに掛けようと思っても気が進まなかったりする。


「また彼女出来たとか?結婚は?」とか聞かれたりすると溜まったものじゃない。

「一人で何が悪いんだー!」と思わず行ってしまいそうになる。


「くっ。」と親に連絡するにも勇気がいる。

何気なく連絡できないのは親不孝者だからだろうか?


いや、彼女を作って結婚をして子供を見せたいと思う中々いい人がいない、こればかりは縁だから・・・仕方ないと自分に言い訳をする。


「うん、一応努力はしている。」出会い系のアプリに登録をしたりしている。

それでもやはり中々噛み合う出会いというものは難しい。


ピンと来てこの人と思ったりするとき。

大抵は彼氏や結婚をしていたりする。

残念でならない、いやもしかしたらそう言う人を選んで好きになって、フラれる言い訳を作っているのかもしれない。


年齢を増すごとに焦りはあるだけど・・・こう言うのは慎重にことを運ぶのがちょうどいいのだ。


「はぁー。」とため息をついてスマホを片手に連絡を試みる。

出るな出るなと念じながらも・・・


「あっ、元気ー。」と言う母の声がする。

中々いい年に差し掛かっている。

「うん元気でやっているよ。」


「それならよかった。どう彼女出来た。」

「まだまだだよー。」

「早く作りなさいよー。」はい、プレッシャーはいりました。


それからとりとめのない話しが続き。


「よかったらお母さんが女の子紹介しようか?」

「いや流石にそれは・・・遠慮しときます。」一体どんな人が来るかわからない。


「そう、でもはやくはやく彼女見つけて連れてきなさい。」

「あーもうわかったって、じゃあね。」

「あー。」プツン。


「はぁーできるかね。できないかねー。」と一番の悩み事。

正直彼女とか面倒で、自分の時間さえ確保出来たらいいのに・・・


「はぁー。」ささくれを触って痛さを感じる。

生きているのだろうが・・・この痛さが証である。


「俺はどうしたいのだろうか・・・?」少しセンチな気分だった。


ピンポーン。


「うん、なんだ。」そう思ってゆっくりしていたが立ち上がって玄関を開けるそこには・・・


可愛い女の子がいた。


「・・・誰?」

「あのお母さんから紹介で来たんだけど?」


「母さん?誰の?」

「貴方の!何も聞いてないの?」

「知らん!」

「じゃあ確認して!」


連絡を再び入れる。


「ああ、母さんなんか知らに子が家に来たんだけど・・・えっなに面倒を見ろ?ふざけるな!おいあっ、切りやがった。」

「よろしくお願いします。」と言って無理やり部屋の中に入ってくると部屋の掃除を始める。


「どうなってんだ?」

まさに今、ラブコメ的展開だった。

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