本屋

次の信号

本屋

とある本屋

優しいBGMを遠くにゆっくりと本を物色している人達

入口の所でエプロン姿の若い女が男に仕事を教えている


「あんまりあれするとあれしちゃうんで」

「あー」


そこへ男が一人やってくる

待合せまでの時間潰し


「無い時は無いんですか?」

「その時は言ってもらえれば」

「あ」


男は女性誌をざっくり見渡すと文庫の前で立ち止まる


「膨らむ」「隣から来た人」「正しい余韻の浸り方」「知ってる殺人」

「竹藪」「そっち」「怪人滑滑」「婦人と洞穴」「?」


テンガロンハットを被った男が棚の向こうを通り過ぎる

ほんの一瞬

なんか今ライフルを構えていたような


「これ読みました?」

「読んでないです」

「面白いですか?」

「自分もまだ読んでないんですよ」


男は手元の文庫を元に戻して消えて行った先の後を追う


「すみません」

「はい」

「花言葉の本てあります?」

「あー」


曲がった曲がった先の棚の隙間をちらりとさっきの男が通り過ぎる

テンガロンハットのカウボーイ

今度は確実にライフルを構えていて、何かに狙いを定めている


「ご自由にどうぞ」

「それはどうかしら」

「だとしたら?」

「それもそうね」


小さいモニターに流れる予告編

男は再び見失って、そう言えばとスマホで時間を確認する



終わり











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