天地計画

森林木 桜樹

1「兄弟」

この家に、双子の兄弟がいる。

とても仲が良いと言えば、響きがいいが、良すぎている。

いつも一緒にいるから、どっちかが離れる時は、珍しいと思われていた。


そんな時、高校受験で、両親と兄弟は学校へと呼ばれていて、進路はそれぞれ違う高校へと行くと決定した。

それには、この先、心配があったからだ。


お互いが一緒にいないといけないと思っているのが、精神的に良くないと思ったからだ。

双子といえど、個々の人間だ。

だから、高校は別の所へと認識をした。


本人達は、納得をして、別々の高校へと歩む。


成績は、小学生の頃、満点を取ってきたりしたが、中学になると次第に難しくなり、中々満点は取れない。

だが、全科目八十五点は取ってきているので、高校受験は人並みに勉強して、二人とも合格した。


そんな別々の高校に行くにしても、仲が良い為、家を出るのは一緒である。


「「いってきます。」」

「いってらっしゃい。」


兄弟の母、天地てんちゆかりが玄関前まで送ると、産まれて来た順に従い兄である温水ぬくみずと、弟である寒水かんすいが、出かける言葉をかけた。


まだ春先で、少しばかり寒さが残っていた。

制服の上にまだコートを羽織っていた。

流石に手袋とマフラーは無かった。


温水の学校は、家から近く、徒歩で五分の所にある。

寒水の学校は、家から温水の学校よりは遠く、一度、バスに乗り、三駅先の所であった。

どちらが近い高校へと行くかには、第一希望と第二希望の高校に合格した後、じゃんけんして決めた。


「寒いな。兄貴。」

「そうだな。でも、良いじゃないか。舎弟は、バスなんだから、まだ暖房が付いて暖かいだろ?」

「兄貴こそ、近くなんだから早めに学校に着けるだろ?」


そんな話をしていると、バス停に付いて、寒水が乗るバスが丁度来た。

他の客はいなく、ここから乗るのは寒水だけだった。


「では、いってきます。」


寒水は、温水に言うと、バスに乗った。

温水は、バスに乗った寒水を手を振って見送ると、自分の学校へ行った。


朝は、こんな行動をして、登校をしている。

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