第17話

まずは、高級クラブの張り込みだった。

張り込みと言っても、クラブの入口かエントランスに吸盤状の小型

カメラを付けメガネの映像で松本の登場を待った。

メガネでクラブを監視しながら、愛人を尾行監視した。

しかし、この日は、クラブに松本は現れず、愛人宅にも松本は現れ

なかった。

次の日、山本は昼前まで寝ていた。

昼食を、取りにホテルの中にある中華料理店に入った。

中華料理店と言っても、有名ホテル内に店舗を構える店である。

有名中華料理店に、昼食を取りに1人で入った。

店内は、昼食という事もあり、まばらに客がいる感じで営業していた。

店内で案内された席は壁際の人目につかない席だった。

なぜ、昼食に1人で有名中華を取っているのか?

政治家である松本は、昼食を利用して国家公務員倫理規定を気にする

役職に居る人物と密会することがあるからだ。

国家公務員倫理規定では、利害関係者との会食は禁じられている。

しかし、利害関係という言い方は曖昧で、昼食なら禁止事項から

除外されているのが現状だったからだ。

案内された席で、ランチメニューを取り、追加で時間稼ぎのデザートを

取っていると個室から、スーツ姿の男性2人組が出てきた。

その男性の一人に賢二は見覚えがあった、もう一人の標的に

なるかもしれない千原だったからだ。

千原に関しては、図書館での作業の際に、松本との関係性からこの

人物に関しても、標的になりうると認識していた。

その千原は、会計もせずに店を出て行った。

次に、残ったもう一人が会計を済ませて店を出ていった。

会計を済ませた男と入れ違いで男性2人組が店に入って来た。

1人は店に入ってくるなり、会計をしている様だった。

もう1人は、先ほど千原達が出て行った個室に入って行き、すぐに

出てきた。

そのあとに出てきた男性は四角い顔をしボッテリとした体形の男、

賢二が探している男。

松本だった。

松本は議員秘書を従えて、店を出ていった。

山本は考えを巡らせた。

個室にいたのは三人。

千原ともう1人、そして松本。

千原の身元調査の前に新たな登場人物を洗う必要がでてきた。

しかし今は、千原と新しい登場人物の関係性を洗う事にした。

なぜかと言うと、松本は、国会が始まってから、洗えば松本の行動も

制限されるのでやり易い。

それまでに、千原ともう1人の方の情報収集を片付けたい。

正直、状況によるが、千原を排除する事になると、時間的には

ギリギリになるだろう。

山本は、会計を済ませて千原を追うことにした。

店を出て通路に松本御一行の後ろ姿を確認しながら、外に出られる

別の階段を使った。

千原の車を確認しておきたかったからだ。

山本は、外に出て、まず、黒塗りの高級車が目に付いたがそれは、

松本の使う公用車でだった。

もう少し待ってみたが、千原の乗る、車は確認できなかった。

山本は、有名ホテルをチェックアウトし、電車を使い東京駅から

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