投資について悩んでいたら、女上司との距離がグッと縮まった件
あかせ
第1話 私が力になるわ!
俺、
それぐらいになると仕事に慣れるものだが、そのせいで余計な事を考える余裕ができてしまった。
考える事は色々あるが、一番気がかりなのが将来に関する事だ。巷では新
しかし俺に投資の知識は皆無だ。仮に勉強したとしても、元本割れのリスクが気になる。簡単に手を出せるものじゃない。
とはいえ、このままスルーし続けて良いんだろうか? ネットじゃなくて誰かに相談できたら…。
そんな風に悩み続けているある日。会社に来てすぐ、自分のデスクで取引先から来たメールを返信し終えた俺。
…元々睡眠の質が良くない上に朝だから眠い。パソコンに用はないのに、画面をぼんやり眺めてしまう。
「尾形君。朝からボンヤリしてどうしたの?」
「えっ…?」
いつの間にか、上司の
「すみません、何でもないです」
余計な心配をかけたようだ。
「今だけならその言葉を信じるけど、最近の尾形君ケアレスミスが多いわよ? 問題なく通ってるのは、私が微調整してるからなの」
「そうだったんですか、申し訳ありません!」
知らない間に皆川さんに迷惑をかけていたとは…。
「これから気を付けてくれれば良いわ。でも急にミスが増えると、何かあったと勘ぐっちゃうわよ」
「何かあった訳ではないですが、悩みはありますね…」
つい本音が出てしまった。
「悩み? どんな事なの?」
「気にしないで下さい。自分で解決しますから」
社会人なんだから、それが当たり前だ。
「すぐ解決できる悩みとは思えないけど…」
皆川さんの言う通りだ。すぐ解決できるなら、ミスが頻発する前に事は済んでる。
「できれば話してもらえると助かるわ。私が尾形君の悩みを解決する手助けができたら、結果的に私のためになるんだから」
確かにそうだな。俺のミスのフォローをしなくて済むんだし…。
「そういう事なら、お言葉に甘えて良いですか?」
「良いわよ」
「実は…、将来というか投資について悩んでるんです」
「投資か…。最近は国を挙げて投資を推奨してるわね」
「だから俺も興味を持ち始めたんですが、知識はないし元本割れは怖いから手が出せなくて…」
「その悩みは、すぐにどうこうできる事じゃないわね」
「ですよね…」
「これから昼休みとかの空いた時間に、少しずつ教えてあげる」
「えっ? 皆川さんがですか?」
「そうよ。私は投資してるから力になれると思う。といっても始めたばかりだけど」
だとしても、間違いなく俺より頼りになる。面と向かって話せるから信頼できるし、皆川さんは上司だ。誰よりも相談しやすいだろう。
「それでもありがたいです。時間は何とかするので、お願いしても良いですか?」
「わかったわ。早速今日の昼休みからね」
「そんな急で大丈夫なんですか?」
「ちゃんと予定は把握した上で言ってるわ。心配しないでちょうだい」
上司に余計な心配したな…。
「それじゃ、昼休みね」
「はい」
皆川さんは俺の元から離れていく。忙しい合間を縫って教えてくれるんだし、身になるようにしっかり勉強しよう!
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