第21話 やられ役の魔王、色仕掛けで落ちる




「ふぅー、スッキリした」


「お兄様しゃまぁ♡」


「んお゛っ♡ やっべ♡ 頭バカになっちまう♡」



 青空の下でするエッチというものは解放感があって素晴らしい。


 自由とはこの事だろうか。



「今度エルシアやマナともやってみようかな」



 リュクシュやミーシャに聞こえないよう、小さな声で呟く。


 マナはノリノリで付き合ってくれそうだし、エルシアはお願いしまくったら渋々でもやってくれそうだしな。


 次に会った時が楽しみである。



「ん?」



 街道を誰かが歩いてくるのが見えた。それもアルヴェラ王国方面から。


 つまりはアルヴェラ王国人だろう。


 王国の人間なら容赦無く殺すよう命令されているため、早急に始末せねば。


 と思ったら……。



「あ、あれは!?」



 こちらに向かってくる人物を見て、俺は思わず驚愕してしまう。


 俺はその人物に見覚えがあった。


 その『聖女と五人の勇者たち』に登場するキャラクターは、ネットを中心に大きな物議を醸した。


 キャラクターのデザインが問題だったのだ。


 まず注目してしまうのはマイクロビキニという刺激的な格好だろう。

 外套をその身に羽織り、トンガリ帽子を被って眼帯を着けた黒髪黒目の幼い少女である。


 彼女の名はナリア。


 エルシアに魔法の使い方を教える師匠であり、恋愛相談に乗ったりする、いわば友人兼お助けキャラである。


 そのあまりにも性的なデザインで自称フェミのアンチ集団から袋叩きにあったキャラだ。


 一応、肌の露出面積を増やすことで魔力の回復を促進するという設定であるため、意味のない露出ではないが……。


 ナリアのキャラデザを担当した絵師さんはロリキャラに定評のある人物だった。

 その絵師さん、幼女特有のぷにぷに感を色彩で表現するテクニックが半端ではないのだ。


 『聖女と五人の勇者たち』が売れた一因でもあるだろう。


 一人だけ格好がエロゲだからな。


 まあ、ナリアのバックストーリーが思わず泣きたくなるほど良い話だったのもあるかも知れないが。


 まさか生のナリアに会えるとは。


 っと、いかんいかん。

 ナリアは長年にわたってアルヴェラ王国を守ってきた存在だ。


 警戒はせねばならないな。



「リュクシュ、ミーシャ。二人は本隊に戻ってエルシア様にマイクロビキニの幼女が来たと報告を」


「お、おう!!」


「お兄様、気を付けて?」



 リュクシュとミーシャが駆け出し、その場から立ち去る。


 俺は一人でナリアと対峙した。



「止まれ。何者だ?」



 流石にナリアを知っていたら不自然だからな。


 ここは彼女のことを知らないフリをして、目的を探ってみよう。



「……お主、魔王ディアブロか? 何故ここにおる?」


「え?」


「ん?」


「え?」



 え? え? なんで一瞬でバレた!?



「……ふぅむ。さてはお主、儂のことを覚えておらんのか?」


「会った覚えはないが……」


「あぁ、あの時の儂は未熟じゃったからのぅ。数百年前、勇者や聖女がそなたを封じた際に同行していた魔法使いじゃ」



 そこまで言われてハッとする。


 前世の記憶ではなく、魔王ディアブロの記憶が反応したのだ。


 数百年前に人類を滅亡寸前まで追いやった際、俺を封印しようと魔王城まで突撃してきた聖女がいた。


 それが前世のエルシアだ。


 そして、前世のエルシアと共に俺と戦ったのが王国の初代国王であり、勇者だった。

 魔王の記憶を漁ってみると、そこにもう一人いたのだ。


 その人物こそがナリアだった、と思う。


 思うというのは、俺を封印したのが前世のエルシアであり、そのエルシアを守り切ったアホみたいに強いのが当時の勇者だったから。


 ぶっちゃけて言うなら、昔のナリアは当時の俺の脅威足り得なかった。


 だから完全に忘れていた。


 しかし、たしかにナリアなら俺の顔を覚えていても不思議ではない。



「どうやら思い出したようじゃな」


「……ふむ。俺とやる気か?」


「見た目こそ変わらぬが、儂は昔ほど無鉄砲にはなれん。エルシアか、お主か。どちらでも良いが、交渉がしたい」



 そう言うナリアからは、たしかに敵意を感じない。

 どうやら交渉がしたいというのは本心からの言葉のようだ。



「分かった。今、部下がエルシアを呼びに行っている。しばらく待っていろ」


「ではそうしよう」



 ナリアがその場に腰を下ろす。



「……」


「……」



 うーむ、気まずい。


 いくら数百年前の出来事とは言え、一度は戦った仲だからな。


 ましてやナリアの格好だ。



「……ごくり」



 ナリアは小柄なミーシャよりも、更に一回り小さい身体をしている。


 抱きしめたら折れてしまいそうだ。


 おっぱいは小さいが、それが逆に背徳的な上、マイクロビキニが堪らなく俺の魔剣と興奮を煽ってくる。


 クッソエロい。


 最近は頻繁にミーシャを抱いていたからか、俺は幼い少女の魅力を知ってしまった。


 ロリコンとまでは言わないが、ナリアほどの少女をエロい目で見てしまっている俺がいるのも確かである。



「……お主、何故儂の身体をじろじろ見ておるのじゃ」


「別に見ていないが」


「いや、儂の胸をガン見しておったじゃろ」



 はい、見てました。


 でも合法ロリのマイクロビキニは誰だって見ちゃうと思うよ。



「……ふむ、魔王よ。お主、雰囲気が変わったな」


「そうか?」


「うむ。昔のような苛烈さと無情さが無い。代わりに性欲が見え隠れしておる。やたらと人間臭くなったのぅ」


「ギクッ」



 す、鋭い。鋭いぞ、このマイクロビキニロリ。



「……ふむ。魔王よ、一つ儂と取り引きせぬか?」


「む、取り引きだと?」



 そう言うとナリアは静かに立ち上がり、俺の方にすたすたと近づいてきた。


 一応、警戒はする。


 しかし、ナリアは作中の人間キャラでは一番強いみたいな扱いを受けていたが、今の俺には遠く及ばない。


 仮に攻撃されたとしても、容易く制圧することはできるだろう。


 そう思っていたら。



「どっこいしょ、なのじゃ」


「な、何の真似だ?」


「うん? お主の膝の上に座っただけなのじゃ」



 それは見れば分かる。


 何を思っての行動か分からないが、ナリアは俺の膝の上に座った。


 ナリアの小さくて柔らかい可愛いお尻が、ズボンの中で暴走し始めている魔剣にぐりぐりと擦り付けられる。


 我慢だ。今は我慢せねばならない。


 最近の俺は魔剣に脳を支配されているのか、日々性欲が強くなっている気がする。


 今は我慢して後で発散しろ、俺!!


 と、我慢する俺の耳に囁くような声でナリアが話しかけてきた。



「儂はのぅ、命乞いのためにここへ来たのじゃ。どうか王国を許して欲しい、とな」


「そ、そうか。しかし、それは無理だぞ。エルシアはお前たちを滅ぼすつもりだ」


「じゃろうな。交渉はほぼ間違いなく決裂するじゃろう。だが、そうなったら儂はあやつに殺されるかも知れん。儂は、死にたくない」



 膝の上に座るナリアが顔を上げ、俺を真っ直ぐに見つめてくる。



「儂は死にたくなくて不老の魔法を作った。死にたくないから、国の守護者という立場に収まっておった」


「……そうか。寿命の短い人間は大変だな」


「まったくじゃな。しかし、その国は今や滅亡の危機にある。かつての友と想い人のために義理は果たすが、このまま国と心中するような愚を犯すつもりはない」


「ならばどうすると?」



 俺の問いに対し、ナリアは何も言わなかった。


 代わりに俺の手を軽く握り、あろうことか自らの身体を触らせてきたのだ。



「な、何を……」


「有り体に言えば、色仕掛けじゃ♡ 儂の身体を好きにして構わん♡ どうか命だけは助けて欲しいのじゃ♡」


「……ごくり。ず、随分とぶっちゃけるな。王国のことは良いのか?」


「良くはない。友と想い人が作った国が滅び行く様を見るのは心苦しい。可能ならば、王国を守りたいのは本心じゃ」


「でも死にたくもない、と」


「うむ。交渉が決裂し、その場で殺されるなど真っ平なのじゃ。だから儂は儂の身体を対価とし、命乞いをする。全力で媚びる。殺さないでっ♡ お願いしますっ♡ 何でもしますのじゃっ♡ とな」



 俺は納得した。



「つまり、抱かれるから俺にエルシアから守って欲しい、と」


「うむ。魔王の生贄となったはずのエルシアが実は生きていた。魔王ディアブロ、お主が何を考えてエルシアを食わなかったのかは分からんが、少なくともお主はエルシアに命令できる立場なはずじゃ」


「……そうだな。その通りだ」



 確信めいた瞳で俺を見つめ、ナリアが言う。


 ゲームでのナリアは困っているエルシアに助言したりするキャラだったが……。


 今、俺の目の前にいるナリアからは必死さのようなものが伝わってきた。

 ゲーム画面からは分からない、生に対する執着心だろうか。


 意外な一面だった。



「最初はどう助かろうか考えておったが、エルシアに会いに来たら先に魔王と会い、しかも数百年前の人間殺戮装置のような様子とは程遠い、普通の性欲を持った男になっていた。しかも、儂のちんちくりんな身体にも興奮するロリコンときたのじゃ♡」


「……俺はロリコンではない」


「なんじゃ、認めぬ気か? まあ良い。とにかく――何でもするから助けて欲しいのじゃあ♡」



 ナリアが猫撫で声で言う。


 そして、小さな身体を必死に動かして、全身ですりすりしてきた。



「頼むぅ♡ 儂は死にたくないのじゃ♡ お主の、いや、ディアブロ殿の性奴隷にでもなるのじゃ♡ だから助けて欲しいのじゃあ♡」


「ふぅー、すぅー。本気、なんだな?」


「うむっ♡ まあ、こんなちんちくりんな身体、興奮できる部位は少ないかも知れんが……。お願いなのじゃあ♡ 守って欲しいのじゃあ♡」



 ナリアは自分をちんちくりんで男が興奮できないと言ったが、それは大きな間違いだ。


 たしかにナリアは小さい。


 幼い少女の身体そのものと言って良い。

 しかし、ナリアのつるぺたロリボディーは禁断の色気で満ちている。


 その証拠に――



「お、お主のぅ♡ デカすぎじゃろ♡ 儂の身体をぶっ壊す気満々ではないか♡」


「何でもするって言ったのはお前だぞ。安心しろ、エルシアには俺から頼んでやる」


「おぉ♡ それはありがたいのじゃ♡ 助かっ――おお゛っ♡」



 俺は今や向かうところ敵無しとなった魔剣で、ナリアの小さな身体を貫いた。


 その時だった。



「何をしてるんです? ディアブロ様」


「……あ、えっと、エルシア、これはその、だな」


「ん、ん゛お゛っ♡♡♡♡」



 ナリアが腕の中で女の子が出してはならない声と見せてはならない顔をしていた時、俺の背後にエルシアが立っていた。




―――――――――――――――――――――

あとがき

どうでもいい小話


作者「どうせ今回も許されるんだろうなあ!!(クソデカ声)」


エ「ふふっ、あとでディアブロ様から根こそぎ搾り取りますから。頑張ってくださいね?」


デ「……はい」



「マイクロビキニのじゃロリ最高」「エッ」「まだ修羅場になる可能性はある!!」と思った方は、感想、ブックマーク、★評価、レビューをよろしくお願いします。

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