第10話 やられ役の魔王、裏技に気付く





 突然だが、サキュバスは手先が器用だ。


 一般的にエッチの達人みたいな連中だけど、同時に彼女たちは裁縫のプロでもある。

 サキュバスが身にまとうエッチな衣装は、全て彼女たちの手作りだからな。


 俺は彼女たちの中でも特に腕に自信がある者を集めて、前世のド◯キで売ってるようなエロ衣装を作ってもらうことが多々ある。


 例えばそう、エルシア用に作ってもらった逆バニースーツ。


 例えばそう、マナのために新しく作ってもらった牛柄マイクロビキニ+牛柄ニーソックス&牛柄長手袋。



「あらあら、今日はこの格好なのね。ママ、少し恥ずかしいわ」


「慣れた方が良いよ、お母さん。ディアブロ様はこういう衣装を着せてエッチするのが好きだから」



 はい、大好きです。


 俺の魔剣はすでに暴走状態にあり、準備は完璧に整っていた。


 マナが魔王城に来てから数日。


 俺たちはほぼ毎日、隙を見てはエッチなことをしている。

 エルシアとマナ、交互にすることもあれば、二人同時に美味しくいただくことも珍しくない。


 俺、魔王に生まれて良かったよ。


 まさか絶世の美少女美女の母娘丼を堪能できるとは思わなかった。



「ディアブロ様、キスしてください」


「最近のエルシアは積極的だな。マナに俺を取られるかもと心配しているのか?」


「むぅ、意地悪なディアブロ様は嫌いです。大好きですけど」


「かわいい奴だ」



 最近、エルシアを本気で好きになっている自分がいる。

 ゲームのキャラクターに対して可愛いと思っているのではない。


 一人の女として、愛おしく思っている。


 それはエルシアだけでなく、俺にスイカおっぱいを押し付けてくるマナも同様だった。



「ママもディアブロくんのこと、大好きよ!! だから、ね? そろそろママにもディアブロくんの太くて長くて逞しいモノ、ちょうだい?」


「む、お母さんは昨日最初に可愛がってもらったでしょ? 今日は私が先だから!!」


「欲しがり親子め」



 二人ともサキュバスたちから教わっているためか、そのテクニックは凄まじい。

 しかし、Lv999のスタミナと精力があれば問題ない。


 エルシアとマナが快楽で気絶するまで、俺は無我夢中で腰を振った。



「はあ、はあ、ディアブロくん、激し過ぎぃ♡」


「二人がかりでも勝てないなんて、どんな体力してるんですか、もう♡」


「二人とも、気持ち良かったぞ」


「「……////」」



 あ、ちなみにマナとの結婚式は済ませた。


 マナは正式な第二妃となり、魔王軍での立場は俺とエルシアに次ぐ。


 まあ、マナはエルシアと違って軍を持っているわけではないし、特に任せることもないから自由に過ごしてもらっても構わないのだが……。



「それじゃあディアブロくん、ママお仕事行ってくるわね」



 マナは魔王城の空き部屋を使い、怪我人を治療する医院を開いた。


 今のマナは人間ではなく、堕天族だからな。


 堕天族は元天使族ということもあり、治癒魔法の素質がある。

 あろうことか、マナは感覚的に治癒魔法を習得し、使えるようになってしまったのだ。


 フィーリングで最初から吸血鬼の力を使いこなしているエルシアと言い、この母娘は才能の塊なのだろうか。


 ちなみにマナ病院は好評で、魔王軍関係者の憩いの場となっている。


 たまにマナのナース姿に興奮して馬鹿なことをしようとする知能の低い魔物もいるが、そういう奴らは経験値にしてやった。


 人の女に手を出そうとする方が悪い。


 まあ、そういう奴らがいるお陰でマナを自分の女だと再確認できるから楽しくもあるのだが。



「私も作戦会議に行ってきます」



 マナに続いて、エルシアも寝室を出て行く。


 どうやらエルシア軍でアルヴェラ王国の辺境を襲撃しているらしく、順調に侵略しているそうだ。


 俺は寝室に一人残り、暇を持て余す。


 魔王軍の難しい調整は全てバルザックや他の配下がやってくれるし、俺は書類にサインとかするだけ。


 要はぶっちゃけ暇なのだ。



「久しぶりにダンジョンでも潜ろうかな?」



 もうLv999だけど、レベルが更に上がるのか試してみたい。


 というか、現状はまだ大丈夫そうだが、もしエルシアやマナのレベルが上がったらと思うと少し心配なのだ。


 再三言うが、二人のテクニックは並みのサキュバスと比べても劣らない。

 その彼女たちがレベルアップして体力まで得たらと思うと、ゾッとしてしまう。


 一人の男として、ベッドの上で負けるわけにはいかないからな。


 ここは俺も更なるレベルアップをしたい。


 しかし、俺のレベルは999になって以降、ちっとも上がらない。

 Lv999がカンストなのか、それともLv1000に至るまでの経験値が膨大なのか。


 それは俺にも分からない。


 まあ、999がカンストだったら、レベリングも無意味になるわけだが……。


 何事もチャレンジしてみるべきだろう。



「しかし、そうなるとどこのダンジョンに潜るべきか迷うな」



 ゲーム本編に登場したダンジョンは軒並み制覇してしまったし、俺が攻略していないダンジョンは魔王城のみ。


 流石に配下を皆殺しにするのは無理だ。実力的な意味ではなく、精神的な意味で。



「ダメだな。ダンジョン攻略はやめにしよう」



 どこかに都合良くレベルを上げられるイベントが転がっていないだろうか。


 あるわけないよなあ。



「……あっ」



 と、そこで俺は思い出した。


 大規模な戦争が、もうすぐ始まるじゃないか。エルシアの復讐という名の戦争が。


 思い立ったが吉日だな。



「変装してエルシア軍に紛れ込むか。最前線が良いし、バルザックにこっそり手を回して新兵として参戦しよっと。変装すれば何とかなるよな?」



 実を言うと、魔王軍で俺の顔を知っている者は各軍の軍団長や幹部を除いてあまりいない。


 髪や瞳の色を変えたら誰か分からないはず。


 しかし、多少の変装では鋭い者を誤魔化せないだろう。

 魔王族ともなると内包する魔力の質からして全く違うからな。


 まあ、その問題はすぐに解決できる。


 要は根本的な種族を変えて、魔王族じゃなくなっちゃえばいいわけだ。



「てれてれってれー、転生石ぃ」



 エルシアを人間から吸血鬼へ、マナを人間から堕天族へと変えた魔法のアイテム。


 これを使えば、誰も俺を魔王とは思わないはず。



「種族は適当に……。魔族にでもしておくか」



 俺は転生石を使い、魔王族から魔族へジョブチェンジ。


 ここで言う魔族ってのは、色々な種族をひっくるめた総称ではなく、魔王族のワンランク下に位置する魔族だ。


 少しややこしいが、それはこんな設定にした製作陣に言って欲しい。


 身体の内側にある魔力の質が幾分か下がった。


 しかし、魔王族だった頃とあまり強さが変わらない気がするのは何故だろうか。

 気になって自分のレベルを調べてみると、驚くべき事実が判明する。



「俺のレベル表記が『Lv1(+999)』になってる……」



 どうやらこの世界では、種族を変更したら以前までの種族で上げたレベルも反映されるらしい。


 仮に一つの種族でLvがカンストしたとしても、他の種族でレベル上げをしたら、もっともっと強くなれる。


 そして、その強さは他の種族に転生しても引き継がれるということ。


 ……これ、あれか?



「強くてニューゲームって奴か」



 この裏技は秘密にしておこう。


 転生石は吐いて捨てるほど持っているが、欲しがる者が出てくるかも知れない。


 このアイテムは俺が自力で獲ってきたものだ。


 エルシアやマナならともかく、他の誰にもくれてやるつもりはない。


 前世でネトゲをしていた頃、クレクレプレイヤーが本気で鬱陶しかった時期がある。

 そういう奴らがどこかから湧いてくる可能性もあるからな。


 などと考えながら、俺はバルザックにこっそり手を回してもらい、アルヴェラ王国の辺境を攻めるエルシア軍に紛れ込むのであった。






―――――――――――――――――――――

あとがき

どうでもいい小話


作者「裏技とかどうでもいいからえちちな描写をもっと書け、だと? 俺も書きたいさ。でも運営がそれを許さない」



「エッ」「この魔王、まだ強くなるのか」「神には逆らえない……」と思った方は、感想、ブックマーク、★評価、レビューをよろしくお願いします。

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