第4節『奮闘!裏路地の魔法具店』

 翌朝7時少し前。


 昨日の雨とはうってかわって、美しい秋晴れの一日となった。明け方までは雨が降り続いていたのだろう、あちこちにできた水たまりには、高く抜けるような青空が映っている。石畳から蒸発する水の香りが感じられた。


 昨日の約束通り、教授からの密命を実行すべく、仮初の謹慎処分を迎えることになった4人の魔法使いは、ゲート前に集合していた。めいめいそれなりの荷物を抱えており、さながら学園を追われる『野良魔術師』の小集団といった井出達である。


 野良魔術師とは、アカデミーの過程を途中でドロップアウトした者のことで、特に低学年時に他科の学徒との実力差を見せつけられるウィザードにそうなる者が多いことから、魔法社会では一般に、野良魔法使いではなく、野良魔術師と呼ばれていた。しかし、野良になるのはなにもウィザードに限ったことではなく、様々な事情を抱えてそこに身を落とすものは存外多い。魔法の勉学と教練を途中で放棄しているため、実力が十分でないことが多く、就ける職が限られているため、魔術・魔法を使う大道芸の一座に属したり(といってもたいていはその一座の下手間くらいしかできない)、見世物小屋で働いたりすることが多いようだ。その収入は一般に不安定で、生活は決して楽なものではなかった。また、場合によっては、盗賊や、それこそ『裏路地の法具屋』の店員など、非合法な世界に身を沈めざるをえない者たちもいた。


 一方で、同じアカデミーの落伍者でも、本物の実力を身に着け、自らの意思でアカデミーを抜け、魔法社会で暗躍することを選ぶ者もいる。そうした者たちの多くは、在学中、不正にアカデミーの禁忌にアクセスしており、不相応な位階において禁忌術式や究極術式を巧みに操ることができるようになっており、こうした優れた力を持つ落伍者は『裏口の魔法使い』と呼ばれ、野良魔術師とは区別されていた。


 いずれにせよ、正規の職に就くことが甚だ難しいこうした落伍者たちは、その日の必要を賄うために職を転々とすることが多いのだ。今まさに、彼女たちはそうした事情を抱える野良魔術師の一団として、例の路地裏の法具屋を目指していくのである。


 教授が指示した通り、マーチン通りを北に向けて『サンフレッチェ大橋』を目指していく。


「おい、これほんとにうまくいくのかよ?」


「あら、もう作戦は始まっているのよ。乙女は根性なしでいけないわね。」


「うっせぇよ。」


 ウィザードとソーサラーがいつぞやの月下のやりとりをあべこべに再現していた。


 やがてサンフレッチェ大橋に差し掛かる。


「ここからね。」


 そう言うとウォーロックはみなを橋の右側の欄干側に寄せた。


「ガーゴイルの像があるところまで、右側通行よ。」


 そう確認してから、4人は歩き始める。晩秋の日差しが心地よく彼女たちを照らしていた。あたりは明るく、橋の下から川の流水の音が聞こえる。


「ここだな。」


 ウィザードがガーゴイルの像を見つけた。


「それでは、ここからは左側通行ですね。」


 ネクロマンサーは、昨日教えられた手順をなぞる。


 石造りの大きな橋は、昨日の雨でまだ湿気っていた。ところどころには水たまりが残されている。両脇の欄干には等間隔に、実にさまざまの動物や魔法生物、架空の生物に至るまでが石像として立ち並んでいた。


「これが鳳凰像ね。」


 そう言うと、ウォーロックは鳳凰の頭を撫でる。


「あとはど真ん中一直線だぜ。」


 ウィザードのそんな声が聞こえたあたりから、つい先ほどまで美しい秋の晴天に包まれていた周囲が俄かに霧に覆われ始めた。どうやらここまで、正しい暗号を実施できてきたようである。


「いきましょう。」


 ネクロマンサーの促しに従って、3人はその大きな橋の、通路のちょうど中央部分をまっすぐに歩き始めた。橋を渡り切るまでには、ちょうど全長の半分くらいの距離が残されている。進むほどにあたりに霧は濃さを増し、朝の街の喧騒が遠ざかって、やがて白い静寂に包まれていった。橋の終わりにいよいよ差し掛かると、ちょうど橋の欄干の末端の左手側に、それは姿を現した。


 アーカムや P.A.C. 商店とは異なり、その『裏路地の法具屋』は瀟洒な人気カフェのようなたたずまいを深い霧の中に沈めている。箒を持った痩身で背のひょろ高い男が店先を掃除していた。


「おはようございます。」


 ウォーロックはその男に声をかけた。


「こちらは…。」


 彼女がそう言いかけると、それを遮るようにして男は挨拶を返してくる。


「あら、おはよう。これはまたずいぶんとかわいらしいお客様ね。うちのお店に御用かしら?」


「はい、こちらを訪ねてきました。」


「それはそれは。神秘の魔法具店『スターリー・フラワー』へようこそ。」


 その男は独特の語り口で自己紹介した。


「あたくしは、ここの店長のリリー・デューです。今朝はどんな御用で?」


「突然にすみません。御覧の通り、私たちはアカデミーを追われてその日暮らしをしている者です。働くところを探しているのですが、アルバイトとして使ってもらうことはできませんか?」


「まぁ、そうなの?若いのに大変なことね。」


 そう言うと、リリーは4人の足の先から頭のてっぺんまでなめるように眺めまわして値踏みした。


「なかなか使えそうじゃない?それで、あなたたちはどこまで進んだの?」


「『熟練:Adept の第1学年』です。」


 『熟練:Adept』というのは、中等部の正式な位階名で、魔法社会の公式な場面で身分を明かすときには、そのように言うのがならわしであった。


「そうなの。じゃあ魔法も中等くらいはいけるわね?」


「はい、何かとお役に立てると思います。」


 リリーとウォーロックは交渉を続ける。


「そうねぇ、このお店はあたくし一人で十分といえば十分なのだけど、あなた達がいてくれれば、朝っぱらからこうして箒を持つ必要もなくなるわけよね。それも悪くない話だわね。」


「雇ってくれよ。」


 そう身を乗り出しそうになるウィザードをソーサラーが慌てて静止した。ここはウォーロックに交渉を一任した方が確かに思えたからだ。


「はい、掃除、洗濯、食事の準備から、品出し、接客、会計、帳簿の記帳に至るまでなんでもできます。」


 いや、自分たちには、そのうちの半分くらいしかできない…。他の3人はそんな顔で互いに見合わせる。ウォーロックはいったいどこでそんなことを覚えたのか?


「そうなの。まぁ、お嬢ちゃんたちかわいいし、男性客に受けそうだわね。賃金はそんなに出せないけど、それでもいいかしら?」


「はい、全くかまいません。雇っていただけるだけで感謝です。」


 ふたりの交渉は続いた。


「それで、厚かましいお願いなのはわかってますが…。」


「4人全員雇って欲しいって言うんでしょ?」


「はい。」


「いいわよ。そのかわり支払う賃金は4人で2人分の週払い。休憩はお昼に1時間、3時に15分。ただし、お客様がいらっしゃるときは、休憩は返上してもらうわ。朝は8時から、夕方6時まで。残業代はなし。それから、あたくしのことはリリーお姉さまと呼ぶこと。この条件を飲めるなら雇ってあげるわ。」


「もちろんです。それで…。」


「今日から働きたいのよね?まあ野良魔術師は日銭仕事だから、その事情はわかるわ。いいわよ。ただし…。」


 リリーが俄かに語気を強めた。


 4人に緊張が走る。


「このあたくしを『社長』だの『店長』だの、色気のない呼び方したら即刻クビにするからね。おぼえといてちょうだい!」


 なんだ、そんなことか…。4人は内心胸をなでおろした。


「それじゃあ、店内に入ってちょうだいな。」


 リリーに促されて、4人は入店した。


 神秘の魔法具店『スターリー・フラワー』と紹介されたその店内は、『アーカム』の神秘性とも P.A.C.ストアの不気味さとも異なり、明るい照明に彩られた華やかで活気のある、清潔で美しい内装だった。やはり店内は魔法で空間的に拡張されているらしく、外観よりもずっと広い。店の中央には、舞踏会でも開けそうな、200人くらいは収容可能と思われる広いホールがあった。商品の陳列台は、そのホールの手前の小部屋に整然と並べられており、その内装はプロフェッショナルな感じのする洗練されたものであった。やはり様々の術具や魔法具が並んでいるが、若い女性が好みそうな占いアイテムや開運グッズといった類の商品をことさら多く取り揃えているようだ。


 また、ホールの向こう側に見える別室には『Jewelry Division』という標識がかかっており、法石類の取り扱いもあることがうかがわれた。その場所を、ホールのさらに奥に配置しているということは、おそらく VIP ルームのような性質を持たせているのであろう。


 リリーの後に続いて、ホールを抜け、その VIP ルームに入っていく。案の定、そこには魔法的な光を放つ法石群が、ところせましとショーケースに収められていた。その陳列センスは実に見事で、各法石の美しさを殺さないように、よく考え抜かれた配置がとられていた。その VIP ルームの横手には、「乙女のひ・み・つ」と書かれた暖簾で遮られた一角がある。


「あそこは何を取り扱うところですか?」


 ソーサラーが尋ねると、


「あらやだ、あれよ。ア・レ。あと、ソレとかね。その歳ならわかるでしょ?」


 リリーは意味深な表情をして見せた。なぜかそこでネクロマンサーが顔を赤らめている。


 VIP ルームを抜けた先には従業員用と思われる小部屋があり、その奥が店長、もといリリーの私室につながっていた。


「かけてちょうだい。」


 リリーは4人を従業員室の長椅子に並んで座らせる。


「面倒くさいけど、これをよく読んでサインして頂戴ね。」


 そういってめいめいに1枚ずつ用紙を渡した。それには連絡先と簡単な学歴・職歴の記入欄があり、まあ簡単に言えば身上書の類であった。用紙の下欄には就業条件が小さな字で細かく書き連ねられていて、一番最後はその就業規則等への同意を示す署名欄となっていた。4人は荷物から筆記具をとり出し、それぞれの情報を記入していく。


「最近はね、ここみたいな違法店でもいろいろ事情があって、書類をそろえておかないといけないのよ。世知辛い世の中になったものよね。」


 そういうと、リリーは魔法タバコに火をつけてそれをゆっくりくゆらせた。赤紫色の怪しい煙がふっとあたりに充満する。


 書類を書き終えた4人は、順にそれをリリーに手渡した。


 リリーはそれらの書類にしばらく目を通してから、4人の役割を指示していく。このリリーという男、仕事の仕方はきちんとわきまえているようだ。


「それじゃあ…。」


 そう言って、各々の役割を伝えていく。ウォーロックは品出しと在庫の補充、ウィザードは店内及び店先の清掃・掃除、ソーサラーは接客、ネクロマンサーは会計係と決まった。その従業員用小部屋には戸棚があり、そこにある制服に着替えたら、ホールを戻って、最初の展示台のある部屋に集合するようと命じてから、リリーは一足先にそちらに向かった。


 4人はいそいそと着替えを始める。


「うまくいったな。」


 上着を脱ぎながらウィザードが言った。


「そうですね。でもびっくりしました。あんなに交渉がうまいなんて。」


 スカートのホックを外しながら、ネクロマンサーが続く。


「こういう経験があるの?」


 用意された制服の、上着を身に着けながら、ソーサラーも訊いた。


「まぁね。人生いろいろよ。」


 そう言うと、ウォーロックはエプロンのひもを後ろ手に結んだ。


「さぁ、なんにしてもこれから2週間、私たちはここ『スターリー・フラワー』の店員となるわけよ。一生懸命働きましょう。もちろん例のこともしっかりやりながら、ね!」


 ウォーロックが檄を飛ばす。


 それから4人はリリーが指示した売り場へと戻っていった。


「なぁ、あの『乙女のひ・み・つ』ってとこ、何売ってるんだろうな?」


「たぶん、知らない方がいいと思います。」


 ウィザードとネクロマンサーの間にそんなやりとりがされる。


 売り場に4人が到着すると、リリーは彼女たちを1列に整列させ、朝礼らしきものを始めた。それは「乙女とは何たるか」という内容に重きが置かれたもので、事務連絡というよりは、リリーの矜持と信念を表示する一種の演説のようなものであった。女性の言葉を話すその男声は、なにやら不思議な魅力をたたえていた。


「それでは、今日も一日、ご安全に!」


 4人が呼応するように頷くと、リリーが言った。


「ここで、『リリー・オー!』でしょ!当店の従業員の結束を確かめるおまじないよ。さぁ、やって!」


 4人は気恥ずかしそうにしながらも声をそろえた。


「リ、リリー・オー!」


 こうして初日の勤務が始まる。


 * * *


 早くも一週間が過ぎ、今日までに提出した報告書は2本にのぼった。執筆はウォーロックが担当しており、それに目を通したパンツェ・ロッティは、いちいち満足という面持ちであった。教授の執務室を定期的に訪問しながら、毎日スターリー・フラワーに通う、奇妙な生活が続いていた。


 4人はそれぞれ仕事にも慣れてきたようで、その手際は最初に比べるとずいぶんよくなってきた。リリーとも良好な関係が続いている。3日目に、うっかりリリーを店長と呼んだウィザードをクビにする、しないのすったもんだがあったほかは、実に平穏であった。


 ここは、違法店といっても、クリスタル・スカルやケレンドゥスの毒のような、危険な魔法具を扱う店というよりは、法石と、それからいわゆるパンツェ・ロッティやその取り巻きがいかにも好みそうな、そして、かつてネクロマンサーが、人為のロードクロサイト欲しさに果敢に冒険を犯した類の、そういう商品を主に取り扱う、異色の法具屋であった。怪しいといえば大いに怪しく、非倫理的といえばその通りだが、禁忌魔法具のおぞましさとはおよそ無縁の、少々変わり種の『裏路地の法具屋』で、このようなニーズも市場にはあるということなのだろう。


 ただ一つ、Jewelry Division の中央に位置するひときわ大きなショーケースに展示されている、他とは別格の神秘的な輝きを放つ法石だけは特別で、清掃係のウィザードもそこだけは掃除をするなと厳命されていた。そのショーケース周辺は、常に、リリー本人が細心の注意を払って管理している。


 客受けがよかったのは接客担当のソーサラーで、高貴な貴族令嬢である彼女の態度・仕草はいちいち洗練されており、接客を受けた客はその応対にすこぶる満足して帰るようであった。彼女のその適性を、あの短い面接だけで見抜いたリリーの経営手腕はどうにも確かなようである。


 仕事においてひときわ手際の良さを見せていたのはウォーロックで、手慣れた様子で倉庫からの品出しと在庫補充をこなしていた。彼女もまた、リリーから、例の法石周辺のことだけはしなくてよいと言われているようだ。


 ネクロマンサーは、ここでも客の心をとらえたようで、さながら看板娘となっていた。彼女と話し込む客が多くて会計が滞って仕方がないという苦情がリリーによせられたりもしたそうだが、まじめで実直な彼女の仕事ぶりは堅実で、リリーは安心して仕事を任せているようであった。


 ウィザードもまた、持ち前の向上心と真面目さで丁寧な仕事をしていた。広い店内を、例の法石の展示場所を除いて、隅から隅まで、徹底的に清掃してまわっている。ときどき彼女の苦手な、破廉恥な商品を見つけては、顔をしかめつつも、それでもやはり丁寧に埃を取り除いていた。ただ、彼女にとって『乙女のひ・み・つ』の内部の掃除だけはどうにも苦手なようで、仕事の後にはいつもげっそりした顔でその暖簾の奥から出てくるのが日常となっていた。


 忙しくはあったが、アカデミーで講義をうけ、魔法の教練を行う単調な日々とはまた違った充実感がそこにはあった。密命の方も順調に進んでおり、その日の夜には3通目の報告書を書き上げようという、そんなある日のことであった。


 * * *


 その日は少々怖さを感じるような土砂降りの雨で、晩秋の寒さが際立っていた。4人が、肌寒さを仕事の熱気で上書きしながら、いつものように手を動かしているそのときだった。開店間もない店の戸がおもむろに開いた。雨音が一気に大きくなって、冷たい風が店内に吹き込んでくる。ソーサラーが接客に向かうと、何とも形容しがたい、おそらくは人物というべきなのであろう不気味な存在が店内に立ち入ってきた。


 それは一見すると、若い女性の魔法使いのように見えたが、その関節や節々は、あきらかに人間のそれとは違う様相を呈しており、例えるならば球体関節人形のそれのようであった。しかし、各関節や節々の詳細は、そこに身につけられた様々の装具や呪印によってカモフラージュされており、本当のところそれらが実際にどうなっているのかを視覚的に確かめることは難しかった。


「店長はいるか?」


 不気味に震える乾いた声で、それはソーサラーに尋ねた。


「はい、おります。」


「呼べ。」


「かしこまりました。」


 そう言うと、ソーサラーはリリーの執務室に彼を呼びに行った。


 ほかの3人も来客に気づいたようで、戸口に視線を送っている。その不気味な存在はあたりを見回すでもなく、ただ静かに立ち尽くしていた。ネクロマンサーが入り口を閉めると、雨音は小さくなり、冷たい風はやんだ。しかし、そうした人間的な営みについて、それは全くの無関心を貫いている。


「リリーお姉さま。」


 そう呼ぶソーサラーの声が遠くに聞こえる。しばらくしてリリーとソーサラーがホールの向こうからやってきた。


「いらっしゃいませ。あたくしに御用で?」


 その声を聴いて、それはリリーの方に向きを変えると、口を開いた。


 揺れ乾く不気味な声が言葉を紡ぐ。


「『ガラドリエルの恵み』を出せ。」


「せっかくでございますが、あれは非売品ですのよ。悪しからず。」


 リリーがそういうと、それはずんと一歩リリーに迫り、その胸ぐらを乱暴につかんだ。


「なによ、あんた。いきなり…。」


「もう一度言う。『ガラドリエルの恵み』を出せ。」


「わかんない人ね、あんたも。あたくしそういうの嫌いよ。あれは非売品なの。おととい来て頂戴!」


 リリーがそういい終わるが早いか、ソレは彼を掴んでいるのとは反対の手に短刀を握って、リリーに振り向けた。


「あぶねぇ。」


 近くで掃除をしていたウィザードが、さっと飛びかかり、その手から彼を救出する。ネクロマンサーもその場に駆けつけて、声をかけた。


「リリーお姉さま、大丈夫ですか?」


「あんまり大丈夫ともいえないけど、おかげで助かったわ。」


 リリーは苦しそうに咳きこんでいる。


「おい、てめぇ!いきなりめちゃくちゃじゃねぇか!何しやがる!」


 その声を聴いたソレは、揺れるように体を動かして、店内の一角に集まる格好となっていた3人の方に向きを変えた。この動きには見覚えがある!ネクロマンサーの脳裏にかつての記憶がよみがえっていた。


 ちょうどその時、ソレの背後に鋭い電撃が襲いかかる。ウォーロックだ!


 電撃は、大ぶりのローブを着込んだその背中に直撃し、異形は大きく前のめりになった後、およそ人間のものとは思えないぎこちない動きで姿勢を戻すと、ホール入り口そばの展示台近くに立つウォーロックを見据えた。


「『ガラドリエルの恵み』を出せ。」


 壊れたレコードのように、それは同じ言葉をおぞましい音調で繰り返す。


「あなたが問答無用なら、こちらだって容赦しないわよ!」


 そう言って、ウーロックは身構えた。


 リリーをひとまず会計台の裏に避難させてから、3人もそれと対峙する。やるしかない!4人は意を決した。


 リリーはカウンターの裏から顔の上半分だけを出して、震えながら成り行きを見守る。


『火と光を司るものよ。水と氷を司るものとともになして、わが手に力を授けん。火と光に球体を成さしめて我が敵を撃ち落とさん!砲弾火球:Flaming Cannon Balls!』


 詠唱とともに、ウィザードの手から複数の火球が異形をめがけて繰り出された!ソレは火球の方に向きこそ変えるが避けるそぶりはみせない。全弾が命中した。


「いっちょう上がりだ!」


 そう声を上げるウィザード。


 異形は一度大きく上体をのけぞらせた後、その反動で前方につんのめり、そしてまた壊れた操り人形のような動作を連続させて、元の姿勢に戻った。


「なっ!?効いてねえのかよ!?」


 火球は確かに全弾命中した。ソレは特段の防御障壁を展開していたというわけでもない。全くの無傷ではないが、しかし損傷らしい損傷もほとんどなかった。


「へっ、やるじゃねぇか。ならこれでどうだ!ずたずたにしてやるぜ!」


『天候を司るものよ。水と氷を司るものとともにしてわが手に雲を成せ。空気を振動させ、風を巻き起こせよ。周囲を飲み込め!竜巻:Tornado!』


 今度は『竜巻:Tornado』の術式を繰り出すウィザード。店内に巨大な竜巻が発生し、周囲の陳列棚もろともその異形を中空に巻き上げ、帯電する気流と空気圧で圧倒する。そして、その体を中央の商品棚に思い切りたたきつけた。轟音ともに商品棚は壊れ、その響きを後から増し加えるように竜巻で巻き上げられた様々の品々が、けたたましい音を立てて石造りの床に打ち付けられた。


「いやぁぁぁぁぁあぁぁぁぁあ!あたくしのお店がぁぁぁあぁぁあぁぁ!」


 会計台の裏でリリーが狂乱の声を上げている。さもありなん。それほどにウィザードの竜巻は強烈であった。そのままリリーは失神する。今度こそやったであろう。そう思った時だった。


 壊れた陳列棚のガラスがバキバキと音を立てる。金属のフレームをゆがめる音を奏でながら、その異形はなおも立ち上がった。


「が、が、が、ららら、どりえるの、の、の、恵みを出せ。」


 さすがのウィザードが慄いている。


 ウォーロックはさっとその異形の前に踊り出て、間髪入れずに高出力の『衝撃波:Shock Wave』の術式を繰り出した。


 異形の体は大きく吹き飛び、ホールの奥の方に滑り込む。


「ここではだめよ。お店が壊れてしまう!」


 そう言ってウォーロックは3人にホールに移動するよう促した。その異形はなおも不自然な動作の奇妙な連携を駆使して、よろよろと立ち上がる。


 4人はホールに駆け込むや、それとあいまみえた。ここからどうする?ソーサラーの氷刃の豪雨は切り札に残しておかなければならない。この場面で彼女が魔力枯渇を起こすことは、すなわち全員の死を意味していた。


 その時である。その異形の周囲に不気味な色の光が満ち、床に大小さまざまの魔法陣があらわれた。


「冗談じゃねぇ!」


 ウィザードが声に恐怖の情を載せている。


『呪われた者どもよ、わがもとに集え。その穢れた力を用いて我が敵を滅ぼせ!Summon of Enhanced P.A.C. Type-Blue!』


 詠唱とともに床の多数の魔法陣から、青白い光をはなつ人型の異形の集団が姿を現した。その数は40前後におよぶ。


「あいつ一人でも手を焼くというのに!」


 ウォーロックが焦りを見せた。


 その時だった!


『水と氷を司る者よ。我は汝の敬虔な庇護者也。わが手に数多の剣を成せ。氷刃を中空に巡らせよ。汝にあだなす者に天誅を加えん!滅せよ。氷刃の豪雨:Squall of Ice-Swords!』


 ソーサラーが、おそらく最大出力と思われる『氷刃の豪雨:Squall of Ice-Swords 』の高等術式を繰り出した。数えきれない数多の氷刃が敵の集団に襲い掛かる。


 氷刃は目にもとまらぬ速さでその青白い人型を幾重にも切りつけていった。しかし、おかしい…。その人型は氷刃を浴びるたびに怯みはするが一向に効いている気配がないのだ。一通りの騒乱の後で、人型の群れはゆっくりと歩みを進め始めた。


 ソーサラーの体からぼぅっと残留魔力が押し出される。まずい、魔力枯渇だ!高等術式を最大出力で繰り出したことで、ソーサラーは体内の魔力を一気に使い切り、弱々しくその場に座り込んでしまった。ウィザードがとっさにその体を支える。見ればあの天才の黄金の瞳に驚きと恐怖の色がにじんでいた。


 どうすればいいのか?人型と異形がゆっくりと迫ってくる。もう駄目だ。そう思った時だった。


『慈悲深き加護者よ。我が祈りに応えよ。その英知と力をその庇護者に授けん。我が頭上に冥府の門を開き、暗黒の魂を現世に誘わん。開門せよ!暗黒召喚:Summon Darkness!』


 これは死霊術の高等術式だ。繰り出したのはもちろんネクロマンサーである。彼女もまた高等術式を修得していた。その頭上には青白い冥府の門が描き出され、夥しい数の悪霊の類が呼び出されてくる。彼女もまた、死力を尽くして高等召喚魔法を行使したのだ。その場に片膝をつきながらも、声を絞って悪霊に命じる。


「契約のもとに、我が敵を滅ぼせ!」


 やがて両ひざをつき、肩で息をするその体から残留魔力が押し出されていった。彼女も魔力を使い果たしたのだ。


 しかし、召喚されたその死霊の軍団の効果はてきめんだった。数で互角かそれ以上、広いホールで死霊の群れと人型の群れが戦場さながらにもみ合う。耳をつんざくような死霊の声が響くたびに、その人型は引き裂かれ食いちぎられ、その場に死屍累々となっていった。その後死霊は、ついにあの異形の魔法使いもどきをも取り囲んだが、一瞬まばゆい閃光が走ったかと思うと、たちまち胡散霧消してしまう。敵は対アンデッド術式もこなすようだ。強い!


 これまでの相手とは完全に別格だ。こちらはすでに2人が魔力枯渇を起こしている。ウィザードに残る魔力も少ない。


 3人をかばうようにウォーロックが前に出て、その恐るべき異形と対峙する。ウィザードが心配そうにそれを見守っていた。


「しくじっても恨まないでよ。」


 ウォーロックが笑って見せる。


「さぁ、私が相手よ!」


 そういうとウォーロックは聞いたことのない術式の詠唱を始めた。


『閃光と雷を司る者よ。その胸中を開き、神秘に通じる秘術を授けたまえ。我は汝の敬虔な庇護者なり。天空の意思を我に知らせよ。閃光と雷を裁きの剣となさん!』


 なんなんだ、この術式は!?ウィザードはそれを見たこともなかった。詠唱するウォーロックの全身を、閃光を伴う焔のような魔力の渦が取り巻いていた。まさか!?いや、そんなこと、この歳でできるはずがない。


『今、天界の裁きをこの手でなそう。秘術!(制限付)裁きの雷光:- restricted - Lighting Laser of Divine Judgement!』


 ウォーロックの両手の周辺に形作られる巨大な魔法陣の中に浮かんだ一塊の雲から、まるでそれ自体が光の剣であるかのように、閃光と稲妻がかの異形に向かってほとばしった。刹那、あたりは目を開けていられないほどのまばゆさに包まれる。雷の轟音とともにその光の剣の群れは各々一直線にその異形の体を貫き、薙ぎ払う。先ほどまで、彼女たちの放つあらゆる魔法を受け付けなかったその体は、光の剣によって引き裂かれ、その裂け目から閃光とともに真っ赤な炎を上げている。やがてその炎が異形の全身を包んでそれを焼き尽くした。後には墨とも灰ともつかない燃え滓だけが残されている。


 彼女の体からも残留魔力が押し出される。そのまま前のめりに倒れて動かなくなった。


「あたしは今、一体何を見たんだ!?」


 初めて、ソーサラーの『氷刃の豪雨』を見た時以上の衝撃が彼女を捉えて離さなかった。


 * * *


 その後ろから、意識を取り戻したのであろうリリーが、打撲して痛めた頭をさすりながらホールに入ってきた。


「まぁ、ずいぶん派手にやってくれたわね。」


「すまねぇ。」


 ウィザードがうなだれる。


「いいのよ。あんたたちがいてくれなきゃ、とっくにあたくしは彼岸の彼方、感謝してるわ。」


 そう言うと、ウィザードと手分けをして、魔力枯渇した3人をホールの客席に運び、そこに座らせてやった。


「ねぇ、この子達大丈夫なの?」


 リリーが心配そうに訊ねる。


「ああ、どうということはねぇ。ただの魔力枯渇だ。」


「あいつにやられたわけじゃあないのね。」


 そう言うとリリーは立ち上がり、派手に壊れた陳列棚を何やらごそごそやっている。


「これを飲ませてやんなさい。」


「いや、でも…。」


「心配ご無用。禁忌の魔法具屋のどこもかしこもが、毒や呪いばかり扱っているわけじゃないのよ。人に夢を与える乙女チックなお店だって中にはあるわ。一週間以上も働いてそれに気づかないなんて、ずいぶんと不真面目な従業員もいたもんだわね。」


 ウィザードの懸念は見事リリーに見透かされていた。彼の手には急速魔力補給用の秘薬があった。それはかなり高価なものだ。


「いいのか?」


「命の恩人から金をとるほど落ちぶれちゃないわよ。」


 そういって、リリーは半ば押し付けるようにその薬瓶をよこした。


 ウィザードは3人に順にそれを飲ませていく。ほどなくして3人の体には魔力が戻ったことを知らせる薄明かりが灯った。


「大丈夫か?」


「ええ、不覚だったわ。まさか水と氷に耐性を持っていたなんてね。」


「でも、なんとか撃退できたみたいでよかったです。」


 ネクロマンサーも体を起こした。最後にウォーロックがウィザードの腕の中で目を覚ます。


「おい…。」


 ウィザードが何か言いたそうにした。


「あれは絶対に秘密よ。報告書にも書いたらだめだからね。バレたらほんとに退学だから。」


「じゃあ、やっぱり。」


「な・い・しょ、ね?とどめはあなたが火と光の魔法で刺した、そういうことにしてちょうだい。お願い。」


 ウォーロックは愛らしくウィンクして見せる。


「お、おう、わかったぜ。」


 そう言うとウィザードはウォーロックをきちんと椅子に座りなおさせてやった。


 4人がどうにかこうにかひとごこちついたところへ、いつのまにか姿を消していたリリーが戻ってきた。


「あなたたちのおかげで命拾いしたわ。ありがとうね。お礼にこれをあげるわ。あたくしよりもあなたたちの方がきっとこれをうまく使えると思うから。」


 それは、Jewelry Division の特別の展示台に鎮座して、リリー以外の干渉を許さなかったあの法石だった。


「それは…?」


 ウォーロックが問う。


「これが『ガラドリエルの恵み』よ。生命と霊性に関する神秘の力を高濃度で秘めた真石のね。」


 真石とは、法石のなかでも、天然の魔が凝縮することによってできた、極めて魔法特性の高い法石のことであり、恐ろしく貴重で高価な代物である。かつて幼いネクロマンサーが一風変わった自己犠牲によって入手した人為のロードクロサイトなどは、錬金術と魔法による一種の人工的なもので、ある程度の量産が可能な代物である。一方、こちらは下手をすると、生涯にわたって本物を見る機会を得られないかもしれないという、正真正銘の希少貴重な本物の法石であった。


「そんな高価なものいただけません。」


 ウォーロックが拒む。


「あたくし、こうみえても人を見る目はあるの。あなたには間違いなく大きな運命的可能性を感じるわ。だから…、そうね。こうしましょう!これは贈与ではなく、投資。あなたの将来に対するあたくしの投資よ。そういうことなら文句はないでしょ?」


 そういってリリーはその真石をウォーロックに両手で握らせ、その上から、自分の手を覆って固く握手した。


「本当に感謝しているわ。命の恩人の小さな魔女さん。」


 その目は涙ぐんでいるようにも見えた。


「では、きっとご期待に添えられるように、しばらくお預かりします。」


「ええ、あなたたちの成長と活躍を祈っているわ。」


「しかし、これ、どうしたもんかな。」


 陳列部屋の方を見てウィザードが頭をかく。


「すまねぇ、ええと、リリーお姉さま。」


「あら、いいのよ。ここにあるのは金にはなるけど値打ちなんかないがらくたがほとんどだからね。あんたたちが、このホールであいつらとやりあってくれたおかげで、肝心の Jewelry Division と乙女のひ・み・つは手付かずですんだわ。あれさえ無事なら、あたくしの商売はいつでもどこでもなんとでもなるもの。」


 4人の表情からいくばくかの緊張が解けた。


「さてと。そうは言っても、しばらくは休店せざるを得ないわね。したがって、あなたたちとの雇用契約は今日、この時までよ。全員クビね。ご苦労様でした。」


 そういって5人は大いに笑った。それは実にすがすがしい笑顔であった。


「リリー・オー!」


 そう言って、彼女たちはスターリー・フラワーを後にした。


 わずかな期間であったが、4人はこの店と、そしてその風変わりな店長、もといリリーお姉さまにこの上ない愛着を感じるようになっていた。リリーに見送られて店を後にしたとき、すでに時刻は正午を回っていた。あれだけひどかった豪雨はいくぶんましな小降りになっていたが、それでも、この季節の雨が冷たいことに変わりはなかった。彼女たちは荷物からローブを取り出し、それを雨合羽がわりに頭からひっかぶってアカデミーへの帰路につく。考えるだけで気が重いが、アカデミーに戻り次第、例の場所に出頭して、3通目の報告書よりも1日早い、イレギュラーの口頭報告をしなければならないのだ。不可抗力とはいえ、それは任務失敗の報告であり、パンツェ・ロッティ教授の叱責と懲罰が待っていることは想像に難くなかった。4人はアカデミーまで、雨の中を駆けていく。


 * * *


 そして今、4人は例の場所で、パンツェ・ロッティ教授の前に一列に整列していた。ウォーロックから一通りの説明を聞いた後で、怒号が飛ぶ!


「誰が、そんな危険な真似をしろと言った!殺されていたかもしれんのだぞ!!」


「しかし、あの場でそれをしないのは愚かであったかと。」


 ウォーロックは毅然と応じる。彼女には相応の覚悟があるようだ。


「ほほう。つまり浅慮による軽挙妄動ではなく、熟慮の末の勇敢であったと、そう言いたいのだな?」


「はい。」


 その瞳はまっすぐに教授を見据えている。


「よかろう。それについては、君たちの無事に免じて今回に限り不問に付す。何事もなく、本当によかった。とにかく、今日の出来事を中心にして詳細に内容をとりまとめ、3日のうちに最終報告書を提出したまえ。よろしいか?」


「わかりました。」


 4人は声をそろえて返事をした。


「その最終報告書の提出をもってこの度の特命は完了したものとみなす。よくやった!」


 教授の机の上には相変わらずあの破廉恥な魔術記録が散乱している。その数は一層増しているようだ。どうにも懲りない性格の御仁のようである。


 4人はその後、いったんめいめいの部屋に戻って重苦しい荷物を置いたあと、着替えを済ませると、報告書作成のために、ソーサラーの寮室に集合した。久々のパジャマパーティーである。若く張りのある楽しそうな声が、部屋の外まで漏れ聞こえていた。


 最後までまともに意識があったのはウィザードだけであったため、最終報告書はウィザードが執筆することになった。また、リリーがくれた『ガラドリエルの恵み』については、「店内のその他の箇所は損傷軽微」とだけ記して、あえて事実を伏せることにした。


 ソーサラーとネクロマンサーが用意してくれた夕飯を囲みながら、ウィザードの筆は進んでいく。3日あれば十分に仕上げられそうだ。


「約束だからね。」


 ふたたびウォーロックがウィザードに向けて愛らしいウィンクを送る。それに対して、ウィザードは、両目が動くぎこちないウィンクらしき動作で応えてみせた。


 寒さはいっそう増してくる。冬がもうすぐそこまで来ているようだ。来週には暖房器具を出さねばならぬであろう。短くも充実した、ここしばらくの思い出話に花を咲かせながら、乙女たちの軽やかな声は冷たく空気の張りつめた晩秋の夜空にリズムと潤いを与えていた。


 夜が静かに更けていく。


 * * *


「『ガラドリエルの瞳』の回収に失敗したようだな。」


「申し訳ありません…。」


「可愛い娘のために、私は大きなリスクを冒して君の研究への協力を続けている。厚生労働省もアカデミーの衛生部門も、いつまでも情報を遮蔽しておけるほど手ぬるい組織ではない。もう一度自分の本分を思い出し、成果を急ぎたまえ。大口をたたいていた拡張型も結局はこの様だ。本当にできるのかね?」


「P.A.C. の強化と制御はもうすぐ完成します。しかしそれには…。」


「そうも時間がかかるものなのか?手ぬるいのではないか。今回のことにしても、なぜそのような魔法使いが4人もそこにいたのだ!リリーだけだと言っていたではないか!」


「それが…、どうやら、アカデミー最高評議会に動きがあったようでして…。」


 ふぅ、と大きなため息がする。


「君は、この私を失望させる才能だけは存分に持ち合わせているようだな。いいかね?娘のためでさえなければ、私はもうとっくに君のことを見限っている。そのことをくれぐれも忘れぬことだ。」


「心得ております。」


 そう言って頭を下げた男の手は、血がにじむほどに固く握りしめられていた。

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