俺の推しが妹!?

百瀬三月

第1話「始まる」

「今日は初配信なのに、こんなにたくさん来てくれてありがとう〜!それじゃあ、またね〜」

配信が終わった。

配信時間は30分程度だったが、最終的に同接は500人を超えていた。

“この新人ちゃん、面白いな“

 今日は、とあるVTuber事務所の新人がデビューする日だ。

SNSでも面白さが話題になっていたが、これは予想以上の子だった。

 名前は桃瀨 まるる。 

 モデルは全体的にピンクな可愛らしい風貌。

髪型はウルフカットのような少し長いショートボブに、先端にパーマ。

服装はメイドのようなメイド服に、ドレスのようなフリルがついていた。

 まるると同時に二人の新人が同じ事務所からデビューしたが、その二人はまるるとは対照的にSNSの活動は消極的だった。

 まるるの魅力は何か特別なものがあった。

 彼女の配信は楽しさと笑いに満ちているのと同時に、彼女のリスナーを配信に交えた気さくなペースに引き込まれていった。

その結果、まるるの配信は短時間で多くのファンを獲得する事になった。

 そんなことを考察していると、本人のSNSから投稿があった。

“今日はたくさんの人が配信に来てくれてありがとう!“

“とっても楽しかったよ!“

“また明日も同じ時間に配信するから、よかったら来てね〜!“

「おっと、もうこんな時間か。飯作るか」

 俺はキッチンに行き、軽い夕食を作った。

大架はその後、配信中に友人から来ていた連絡を見た。

“なあ、今度高校の同窓会が地元であるんだけど、どう?“

“日程は来週の土曜なんだけど“

“とりあえず、行けそうだったら連絡してくれ“

 大架は所謂ブラック企業に高卒で入社しており、月平均残業時間は70時間を超えている。

 大架は旧知の友人の同窓会の招待状を見ながら、予定を確認した。

 その日は、妹である紗倉の様子を見に行く日だった。

妹は大学に進学するために最近上京してきた。

とゆうのは建前で、実際は両親の虐待から逃げるために上京してきた。

 大架も同じ理由である。

 引っ越しも大架と紗倉の二人で深夜に行い、気づかれずに抜け出すことができた。

深夜の引っ越しを終えた大架と紗倉は、新しい生活を始める準備が整った。

 彼らは両親の虐待から逃れるために、地元を離れる決断をしたが、その決断は彼らに新たな希望を与えた。

 このことを鑑みて、大架は友人に返信した。

“すまん。色々忙しくて“

“また誘ってくれ“

 大架はそう返信した。

 友人からはすぐに連絡が返ってきた。

“そりゃあそうだよね“

“また落ち着いたら連絡くれよ“

“東京行ったらまた連絡するわ“

 大架は申し訳ない気持ちを抱えながらスマホをベッドに放り投げ、風呂に入った。

風呂から足早にあがった大架は、寝る前に紗倉に電話をかける事にした。

 電話をかけると、すぐに紗倉が出た。

「お兄?こんな時間にどうしたん」

「ちゃんとしてるか気になって。飯食ったか?」

「ちゃんと食べてるから大丈夫やって。お兄心配しすぎ」

「それなら安心した。じゃあ切るね」

 大架は電話を切り、ベッドに入った。

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