2.
西山のむこうの
村のおばあさんは
ひとりで暮らしている
(どれくらいか前は
よにんもごにんもいましたのに、)
風のゆるんだあいまの
硬いぴかぴかした縁側で
白木蓮の菓子を出し
水にうたれる
むかしの僧の話をした
(あそこの石碑、苔のあお、)
わたくしたちは
その曲がった指さきの
すこし震えるのを見た
その優しい諦観をみた
(お花が好き、ね、あなた、…)
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