ささくれ立つほど好きが勝つ

くらんく

第1話

 最近、あんずの様子がおかしい。

幼稚園から中学までずっと一緒で、家も結構近所だし、一番仲の良い女友達だと思っていたのに。


「あんずー、部活決まったー?」

「まだだけどそれが何?決まったら言わなきゃいけないわけ?」


 こんな感じでトゲトゲしている。中学までは一緒に遊んだり、一緒に帰ったり、同じ高校に行こうって約束して一緒に勉強したりしていた。


 それなのに高校に入学して違うクラスになって、たった1週間の間にあんずは変わってしまった。

悪い友達ができてグレてしまったのか。

それとも、反抗期が遅れてやって来たのか。

はたまた、俺が怒らせるようなことをしてしまったのか。

まったく見当がつかないが大切な友人がクラスで浮いてしまってはいないかと心配でしかたがない。

だが、過度に鑑賞すればそれこそ嫌われてしまう。


 そこで俺は、こっそりあんずの事を観察することにした。

ひとまず今日の朝は機嫌が悪かった。

いつものように家に向かいに行ったのに隣ではなく前を歩こうとする。

まるで俺から離れたいかのようだった。


 それから休み時間の度に隣のクラスをこっそりと覗いている。

しかし、すぐに見つかってしまうため、あんずのそばまで行って少し話して帰るというのを繰り返している。


 昼休みは一緒に弁当を食べようと誘ったが断られてしまった。


「私以外にもたくさん友達がいるんだからその人たちと食べれば」


 あんずのつれない一言に俺は肩を落として教室を後にした。

でも俺はその程度でめげるつもりはない。

いくら邪険に扱われようとも必ずあんずと仲直りして、今までみたいに一緒に過ごす。

そのためならどんな努力も惜しまないとここに誓おう。


「って思ってるんだけど、どう思う?」

「重い」

「まじか」

「大体そのあんずちゃんって彼女じゃないの?」

「彼女じゃないよ」

「その子のこと好き?」

「大好き」

「その事を彼女は知ってる?」

「毎日言ってる」

「あ~~~、お前が悪いわ」

「なんで?」


 * * * * * * * * * *


「な~んで彼ぴっぴとお昼食べなかったの?」

「彼氏じゃない。ただの幼馴染」

「え~、いいじゃんイケメン幼馴染。付き合っちゃいなよ~」

「だって向こうが意識してないもん」

「毎日あんなに好きって言われてるのに?」

「あれはライクの好きなの!私が欲しいのはラブ!!」

「ちなみにあんずちゃんの気持ちは?」

「スーパーラブ」

「わーお」

「そんな相手から毎日好きって言われてみてよ!恥ずかしくて顔もまともに見れないし、緊張して言葉もきつくなるし、もう最悪……」

「そんなあんずちゃんにお姉さんからアドバイスだよ」

「同い年じゃん」

「気持ちは言葉にしなきゃ分からないんだぜ」

「こっちは言葉にされて困ってんだよな~」


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