46-掲示板効果

スマホのアラームで目を覚ましては大きな欠伸をしながら雷亜はベッドから身体を起こす。

ゆっくりと体を伸ばすと背中の骨が鳴るのを聞いてさすがに昼間に外に出無さすぎかと思ってしまう。

最近は夜にしか外に買い物に出ていないし週に一度くらいはArcaを休んで出掛けるのも有りかと考えつつベッドを降りては昨日の投稿がどうなったか確認しておこうとデスクに向かう。

PCの電源を入れ立ち上がるまで少し時間がかかるのでその間に眠気覚ましに珈琲を入れてトースターに二枚の食パンをセットする。


「なんか、やらかした気がするんだよな…。何かやったっけか」


なにか引っかかる感じに小首を傾げつつ冷蔵庫からマーガリンとイチゴジャムを取り出すと焼き上がりトースターから出てきたパンを手に取り表面に塗る。

一枚はマーガリンのみ、もう一枚はジャムとマーガリンを塗った物を皿に乗せ珈琲片手にデスクへと向かう。

電源が入り光を放つモニターを見ながら椅子に腰掛けると履歴から昨日利用した掲示板を開く。

テラベルタの攻略掲示板の書き込みが増えているのでリンクをクリックすると一部のユーザー同士がやり取りをしているので目を通す。


〈名前:巨乳は神 情報:テラベルタ

>>*** この内容、どうせ嘘だろ?

それらしく地図とか作ったんじゃね?〉


〈名前:ロリどこ? 情報:テラベルタ

>>*** ロリはどこですか?〉


〈名前:合法ショタどこ? 情報:テラベルタ

>>*** ロリよりショタが一番でしょ〉


〈名前:神楽 情報:テラベルタ

>>*** いや、それなりに高レベルのユーザーがテラベルタに友人を迎えに行くついでに確認したらしいが砂地にサソリ型の敵がいるのを見つけたらしい〉


〈名前:貴腐人 情報:テラベルタ

>>*** 今、砂地を抜けた川辺の敵を検証班が確認したらしいわよ!スライム…イケメン達が服を溶かされてあんな事やこんな事…ゲヘヘ〉


〈名前:巨乳は神 情報:テラベルタ

>>*** おい、貴腐人!自重しやがれ!そこは巨乳の女が服を溶かされて羞恥に顔を染める所だろうが!〉


〈名前:神楽 情報:テラベルタ

>>***,>>*** お前達が自重しろ。

まぁとにかく、このお陰で見つかってなかった武器の素材とかが発見されるかもしれないな。匿名の奴に感謝だ〉


一部関係の無い書き込みが混ざってはいるが情報が上手く拡散されているのを確認できたのでヨハネに貼り紙を早めに掲示させるようインしたら伝えようと考える。

片手間にトーストを食べながら眺めていたが、履歴からもう一つ確認していた掲示板のリンクをクリックする。

書き込みが異常な程に増えているのが気になるが内容に目を通すと思わず目を手で覆ってしまった。


〈名前:ラブリーキャット

>>*** 何この真っ白で可愛い生物!猫好きだけどこれはキュン死するわっ!〉


〈名前:爬虫類は世界を救う

>>*** そちらも可愛いがこの蛇と蜥蜴の二匹を見ろ!鱗の光沢、肌の瑞々しさ!信頼関係を築けているからこそ見せる油断した姿!!俺も欲しい!!いや、俺の狼型の使い魔に罪は無いが爬虫類タイプが居るならそっちが良かったよォォォ!!〉


〈名前:小動物愛好者

>>*** 真っ白なおチビちゃんかぁいいよぉ!飼い主にこんな愛嬌たっぷりに甘える姿撮れるの羨ましぃよぉ…ウチの子のデレも見たぁいよぉ!〉


〈名前:新たな世界を開いた

>>*** 小動物と爬虫類って組み合わせ的に食うか食われるかの関係なのにこの子達、そんなこと関係ないって感じで仲良さそうでいいわー!〉


〈名前:箱推しします

>>*** 是非とも生で見たーい!というか、この投稿者さん例の攻略掲示板に書き込んだ人と同一人物みたいな話題があるんだけど…〉


〈名前:ラブリーキャット

>>*** ま?でも、あの地図に書いてあった絵を見たけど確かにこの子達の飼い主かも…?てか、うちの子達も描いて欲しい…画力ないから…〉


〈名前:神楽

>>*** この人が同一人物の線は濃厚そう。

この首周りの鬣みたいな毛、触らせてくんねぇかな…大抵の小動物、俺を見ると逃げちゃうから…羨ましい。

……じゃなくて、この投稿者さん見掛けたら情報をくれって大手ギルドが騒いでるみたいだぞ〉


マオと白銀、黒鉄の評判がいいのを見て思わず口元がにやける雷亜だったが少しマズイ事になったなと同時に思う。

プレイヤー名などは隠しているがこの三匹を連れていると発見される可能性が高い。

かと言って、アルマに貰った指輪に白銀や黒鉄を入れるのは気が引ける。

取り敢えず相談してからだなと思いながら皿の方に手を伸ばすも、まだあると思っていたトーストは無くなっている。

何かをやりながら食べたり飲んだりしていつの間にかないという経験を久々にしつつ、コーヒーを飲み干してはPCの電源を落とすと皿を洗いに台所へ向かう。


「そういえば、俺が居ない間はミュラの送り迎えは誰がしてくれたんだ?」


ふと思い出したように呟けばソアラにちゃんと少しの間、ミュラの傍に居られなかった事への謝罪もやる事リストに加え皿洗いの他にも家事をこなしてから雷亜はArcaにログインするのだった。

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