「禁断の聖地」青木ヶ原に潜む落ち武者の謎

神崎 小太郎

プロローグ


 新春の訪れと共に、富士山の神秘的な美しさを求めて、本栖湖へと向かった四人の大学生の男女たち。彼らの目的は、自然が織りなす奇跡「ダイヤモンド富士」を写真に収めることだった。


 ところが、目撃したのは、ただの自然現象ではなかった。それは、古くから伝わる呪いと消えた旅人の伝説が息づく、禁断の聖地の深い謎だ。


 雪をかき分け、もやが晴れるのを待ちながら、彼らは撮影ポイントを目指す。


 けれど、その道すがらで遭遇するのは、不気味な鳴き声や、警告するような黒猫の姿。突然、目と鼻先に舞い込んでくる吸血鬼の蚊食鳥。


 そして、青木ヶ原の樹海に迷い込んだ大学生たちを待ち受けていたのは、歴史の怨念が渦巻く、ダイヤモンドのような氷柱で覆われた地下宮殿だった。


 関ヶ原の戦いの落ち武者が宿る洞窟で、彼らは恐怖と対峙する。


 しかし、そこで彼らは仲間としての絆を深め、「生き抜く」という強い意志を互いに確認し合った。亡霊の呪縛から逃れるための奮闘が始まった。


 この物語は、富士山麓で語り継がれる伝説と運命的に結びついている。彼らの体験が架空の物語と思われるかどうかは、それぞれの自由だ。けれど、我々が日常的に目にするものは、現実世界のほんの一部に過ぎないということを忘れてはいけない。


 それが、本栖湖の静寂な畔で起こった、大学生たちの世にも不思議な物語である。


 

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