第三章 ~『降格の圧力』~
数日後、
「
「心配しないで。私は元気だから……」
「ですが……」
「本当に、私は大丈夫だから」
(もしかしたら私のせいでしょうか……)
上級女官からの圧力が強くなり、
どうすることもできないまま
「
「ごめんなさい。もう少し仕事を片付けたいの」
廊下を進み、大食堂へ向かう途中、
「丁度、
「私に何か用事でもあったのですか?」
「後宮内で君の評判が高まっていると聞いてね」
「天翔様の耳にも届いていたのですね……」
「僕も慶命から聞いただけさ。彼が言うには、君は上層部でも評判になっているそうだよ。もしかしたら歴代最速で上級女官に出世するかもしれないとのことだ」
「それは困りましたね……私は今の立場で十分なのですが……」
「進むべき道を選ぶのは君自身だ。慶命も無理に上級女官にはしないだろうしね」
「本当ですか!」
「彼を良く知る僕が言うんだ。間違いないさ」
天翔の言葉は
しかし、光明を得た直後に天翔は、更なる真実を明かす。
「慶命からもう一つ、君の上司である
「――ッ……その話、詳しく聞かせてください!」
「実は
「慶命様はなんと?」
「真っ向から降格に反対しているね。他にも彼女を長年知る者からは擁護の声が挙がっている……ただ後宮は表面的な成果が重視されがちだからね。
(
それはまるで長い暗闇を歩いた末に、前方にふと現れた一筋の光を見つけたかのような感覚に似ていた。
「その顔は妙案が浮かんだようだね」
「はい。これも天翔様のおかげです」
膳は急げと、
扉を開けると、
「あら、
「天翔様から事情はお聞きました……」
「知られちゃったのね……残念だけど、私は降格になるかもしれない。そうなれば
「諦めるのはまだ早いです。悪評を跳ね返す成果さえ挙げれば良いのですから」
「無理よ。私は凡人、何の特技もないもの」
自信が欠如しているためか、
「
予想外の言葉だったのか、
「ここで管理されている文書は後宮運営のための機密情報が中心ですが、それ以外の公知の情報も含まれています」
「確かに、管理する場所がないからと押し付けられた書類もたくさん眠っているわね」
「その中には私が気づいただけでも、伝承や神話、過去の英雄譚などの娯楽性のある文書が含まれていました……きっと他にもあるはずです。ですが、私では膨大な文書の山から必要なものを選別できません。それができるのは後宮内でただ一人。
「
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