ヨメヨメ!~余命を読め!力を合わせて人を助ける⁉~

こよい はるか

0. プロローグ

 学校の白い壁って、なんでこんなにうっとうしいんだろう。

 人の多い廊下では、嫌でも人にぶつかってしまう。

【9:126】

 俺の頭の中に、そんな数字が浮かんだ。


 小学三年生の始業式の日。

 まだ大きいランドセルを背負い、俺は通学路を歩いていた。

 歩道を走っていた自転車に乗っていた女の人の手が、俺の手に触れた。

【0:0】

 どっちも0って、初めて見た。なんでこれは少ないんだろう。

 それにしても自転車漕いで歩行者の手に当たるとかやめた方がいいと思う。自転車は両手で漕ごうよ。

 三年生にしては大人っぽいと言われていた俺は、そんなことを冷静に考えていた。

 もう、なにしてるんだ、あの人は。そんな妬みの目で、その人を追っていた。


 すると、次の瞬間。


 その女の人は、大きなクラクションと共に、車に跳ね飛ばされていた。


 一瞬、見間違いかと思った。でも、何度瞬きをしても、目をこすっても、見る現実は同じだった。

 居ても立っても居られなくて女の人に駆け寄った俺は、その人の体に触れた。

 冷たかった。

【0:0】

 また、その数字が浮かぶ。

 もう、見たくない。こんな数字、見たくない。

 気づいたら俺は学校に向かって駆け出していた。


 ――――その瞬間、俺は、触れた人の余命が見えるんだと、確信した。

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