第4話 国王様とのご対面
大きな扉の奥には大きな空間が広がっており、中には多くの人がいた。
ローマ風と言ったらいいのか、極太の石柱が等間隔に立っている。
部屋の中央には王様に続いている大きな赤い
そして絨毯の向かう先に座っている王族の3人。
俺はコロネの後ろをついて行き、コロネが王様の前で片膝をつけ、頭を下げるのを見て、すぐさま同じ行動をとった。
「おお、そなたが勇者シエロ殿か。シエロ殿、頭を上げてくれ。頭を下げねばならないのはこちらの方なのだから。楽にしてくれ」
王様は俺の行動に驚き、立ち上がる。
そして頭を下げてくれるなとソワソワしながら言う。
俺は王様の言葉に甘えることにする。
頭を上げ、立ち上がり、胸に手を添えて話をする。
「初めまして。私は地球という星から来ました、シエロ・ギュンターと申します。以後お見知り置きを」
俺は俺のできる最高の敬意を払って自己紹介をする。
言葉遣いなど合っているのか不安であったが周りの反応は好感触のようだったので、とりあえず最初の難関は乗り越えたみたいだ。
「シエロ殿。コロネから聞いておると思うがわしの口からもお主に頼みたい事がある」
来た来た、王様という立場であるのに頭を下げて
王様に頭下げられちゃって俺、どう返したらいいんだろう。
……そんなことを思ってました。
しかし実際の王様は俺の思っていた威厳など
「シエロよ〜。今な、国が危ないんじゃよ〜。じゃからな、じゃからな、魔王倒しに行って欲しいんじゃよ〜〜〜」
と俺の足元に頭をつけて土下座しでくるのであった。
正直白髭のおっさんにこんなことされても気味が悪いと思い、俺はドン引きして
……え?王様ってこんな威厳ないの?
周りの貴族っぽい人たちも驚く様子はない。
椅子に座ったままの王妃様も王女様もいつものことのように見ているだけであった。
「とりあえず頭を上げてください。俺は勇者として女神に連れられて来たのです。そんなことまでしなくても大丈夫ですよ」
俺は今の状況を客観的に見ると、なんだか恥ずかしくなり、すぐさま王様の土下座を辞めさせる。
そして王様は俺の言葉に
「勇者シエロよ。そなたがウレールを救ってくれると言ってくれるのはありがたい。じゃがわしも一国の王。そなたが勇者足りあるかを見極める必要がある。すまんが勇者として送り出すためにはそなたの持つ可能性を示して欲しいのじゃ」
王様は少し落ち着いたトーンで俺に勇者の力を見せて欲しいと言ってくる。
しかしこれが俺の予想した中で1番最悪な展開なのだ。
力を示せ、どうやって?
今はなんの装備もしていない、半袖短パンの俺にできることは何か?
とりあえず今持ってるのはスキルが3つだけ。
このスキルが何かはわかっていないが俺の示せるものは今それしかない。
「俺は女神からハートの加護、ウレールの加護、そして勇者の加護の3つを頂きました」
俺は自分のスキルを包み隠さず皆の前で話す。
すると周りの貴族たちはすぐさまざわつき始めた。
「勇者の加護、初めて聞きましたぞ」
「
「ハートの加護は回復ができるのだろ?前線で戦える上に回復ができるなど戦力として申し分ない。勇者とはこれほどなのか」
俺の想像を遥かに超える好感触。
持ってるスキル話しただけでここまで騒ぎ立ててくれるものなのか。
やばい、こんなに尊敬の眼差しを向けられるのは生まれて初めてだ。
……これ、気持ちいーわ。
「このスキルを女神なら
俺は周りのざわつきに乗じて話を続ける。
するとどうだろう。案の定、俺の魔王打倒宣言は周りの貴族たちの心を
皆大声を上げ、助かった、もう怖いもの無し、勇者万歳と大いに盛り上がってくれた。
だがこの俺を気持ち良くしてくれる大はしゃぎは長くは持たなかった。
王様に言われた一言が俺の立場を一気に危ういものとしてくれることになる。
「そうかそうか。スキルを3つも持っておるとな。ちなみにそなた自身のLvはいくらなのじゃろうか?あとスキルのLvとアーツについても聞きたいのじゃが……聞いてよいかの?」
……………はい?
俺は王様の言葉にフリーズしてしまった。
俺のLvは1。
それについては王の間に来る前から問題になりかねない1つの要因だと思っていた。
はっきり言って魔王軍を倒すやつのレベルじゃないからだ。
でもそこは転生の条件でLv1になってしまったなどと言えばどうにでもなるとたかをくくっていた。
だが今王様はおかしなことを言っていた。
スキルのLv、そしてアーツ。
なんのことかさっぱりわからない俺は頭を回転させて何を言えばいいかを試行錯誤してみる。
しかしその2つについては女神にも聞かされてないことであるため、どう考えても言葉が思いつかなかった。すると
「分かんないならとりあえずステータスプレート見せてみたら?ステータスプレートは見せる意思が有れば他の人にも見せれるわよー」
俺のやるべきことを指示する声がした。
王様や周りの貴族達ではない。
今聞こえてきたのは女の声であった。
かと言って椅子に座っている王妃様や王女様が話しかけてきたそぶりもない。
……なら一体誰が?
少し動揺していると俺の考えを読んだかのようにまた声がする。
「私よ、わ・た・し。ア・リ・ス・さ・ま」
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