①-10 後日談
とある家から手紙が届いた。簡単に内容を説明するとクレームだった。クレーム先は、Aさんの家族からだった。
【先日、魔法について相談しましたAの保護者です。Aは、そちらに相談してからどんどんと辛さが増していって、................近くの建物で飛び降り自殺をしました。.....私は......つらい........悲しい.........なんで『人を幸せにする魔法』を勧めなかったのか.......】
と言った感じだ。要は、魔法使用するなと言ったがそのせいで死んだと言ってきた次第だ。
ここで私は、シェーマンさんの言葉がよぎった。彼女は魔法を使用したとしても、幸せのために何かが起きたと考えられるその事象こそ生活状況や状態からの幸せである。だが、魔法を使わないで死を選択したAさんは果たして、家族が言う“悲しい“と言う単語が合うかどうかだ。確かに魔法を使ったら死なない可能性があるが、使わないが故に至った死という選択をそう簡単に悲嘆な言葉で終わらせて良いのか....結局、どんなことであれ人は自分の想像できない範疇を自分の尺度でしか測れないのだろう。
「なんとも哀れだ」
と私は呟き、彼女の選択が勇敢なる選択だと称賛したいとも思った。
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この事件の後、私の相談所には『人を幸せにする魔法』の話でいっぱいとなった。私は相談者に毎回こう言う。
「あなたの選択こそが1番幸せな行動になりますよ」
シェーマンさんには怒られるだろうか。まあ、彼女なら仕事として怒るだろうが、彼女自身としては笑って許してくれるだろう。
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