第85話 田舎王子とシーン4テイク1
応接室に作られた家のリビングのセットの中で彩羽との撮影が始まる
「シーン4テイク1・・・スタート!!」亀山監督の合図で撮影が始まる
雅【ただいまぁ――】
彩羽【あっ!お帰りー義兄ちゃん♪試合はどうだった?】
原作では紫苑と公園に行ってて遅くなった言う設定だがここは台本が書き換えられてる
雅【あ、あぁ試合は引き分けだったよ】
彩羽【へぇ~試合は・・なんだ・・という事は試合以外で何かあったの?】
俺に向ける目線がキツイ・・・演技だよな?
彩羽【女ね、女絡みでしょ!私に正直に言いなさい!】
雅【おいおい、料理中に危ないだろ?フライパン持って来るなよ・・・】
雅【葉子・・実は俺・・・今日紫苑に告白されてよ・・】
【ガシャン!】(ここは効果音を後で入れる予定だ)
雅【おい!葉子大丈夫か!!】
キッチンのセットの方へ駆け寄ると、キッチンに手を付いて俯く彩羽の肩に手を置く
彩羽【義兄ちゃん・・は・・・なんて・・返事したの・・・】
そう言うと俺の胸に飛び込んでくる
雅【お、おい彩羽・・どうした・・】
彩羽【いいから!!答えて!】
雅【保留だよ!保留!!そんな直ぐに答えなんか出ないよ!】
そういうと俺の胸で泣いてる彩羽を離そうとするが
彩羽【絶対ダメ!!許さない!!】そう言うと俺を押し倒した
雅【てってて、葉子危ないじゃないか!】
そう言ってる間もなく彩羽に両肩を押さえつけられる
彩羽【義兄ちゃんは私のだから・・・誰にも渡さない!】
そう言うと俺にキスをしてきた、カメラワーク的に本当のキスをしなきゃならないシーンだがこれは・・・
(彩羽長いよ、長い・・)
彩羽【私も義兄ちゃんが好き!愛してるの!だから誰にも渡さない!!】
雅【お、俺達兄弟【義理の兄弟は結婚出来るって当たり前の事実だし!】でもな・・今までずっと妹として接してきたのに急に】
そう言うと彩羽はおもむろに上の服を脱ぎシャツのボタンに手をかける・・・
雅【ま、まて葉子!!分かった!葉子の気持ちはよく分かった、俺もこれからは葉子の事を真剣に考える!】
そう言うと彩羽はボタンに手をかけたのを降ろし俺の上からゆっくりと退くと
彩羽【義兄ちゃん・・・いや・・はじめ、私は本気だよ?初めて会った時から貴方を想っています】
そういうと再び俺に口付けする
「はぁぁい!カットぉぉ!!映像確認します!!」
「・・・・・なぁ彩羽カットだって・・」
「ええそうね・・」
「そろそろ良いんじゃないか?」
「ん?何が?」
「何がって・・・」
周囲のスタッフの微笑ましい物を見るような目線が痛い・・彩羽はカットになっても一向に俺に抱き着いたまま離れない
「はぁ?雅は嫌なの?」少し目が起ってる彩羽だが勿論嫌ではなく恥ずかしいだけだ・・
「嫌と言うか・・恥ずかしいんだけど・・・」
そう答えると「へぇぇ」と悪戯ぽく笑う彩羽・・この感じ初めて出会った頃の彩羽だ・・・
すると彩羽は俺の耳元に近づき
「じゃぁ家に帰ったらもっと近くでスキンシップする?」と小声でしゃべると背中がゾクゾクとする
そこに撮影の出番のないはずの藪さんが俺達の元にやってくると
「おい!良い気になるなよ?彩羽は俺の彼女になる女だ、その汚い手で触れんな!」
そう言うと俺を手で突き飛ばし彩羽と引き離した
「ちょっと!雅になにすんのよ!!第一アンタなんか眼中に無いって何回も言ったでしょ!ここはアンタの出番は無いの、出て行って!撮影の邪魔よ!!」
「ちぃっ!」
不満げにその場を後にする藪君だが部屋から出る時の目つきは明らかに殺気を伴っていた・・・
(彩羽に好意を持っているのは俺も同じだし、人を好きになるのは自由だが・・・彩羽や他の人に迷惑をかけるのは許しておけないな・・)
●???の一室にて
『それで?一堂の現当主様の実力はどうだ?』
『ああ、まぁ今のところは只の顔の良い優男って感じだね』
『優男はお前も同じだろ?フフフ』
『なんだぁ?喧嘩売るなら買うけど?』
『アハッハッ、上等だぁこらぁ!!』
『誰が勝手に私闘に許可をした?』
『ちっ!分かったよ・・すこし揶揄っただけだろうがぁ』
『・・・許せ、ターゲットが手に届く距離にいて指を咥えて見てる奴の気持ちも汲んでくれ』
『まぁ良いですけどねぇ・・こっちも主の命令で一堂以外の家の女共にも接触してるんでぇ正直一番お預け喰らってるの俺なんで、そこんとこお忘れ無く』
『けっ・・・言いたい事だけ言って出て行きやがった・・・』
『実際に俳優として潜入出来てるのは大きいと思うわ』
『あたしの狙いは七星だけだ、他はお前らにくれてやらぁ』
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