第80話 田舎王子 彩羽の弱点を知る

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「彩羽・・これはどういう事か説明してくれるよね・・・」


キョトンとして俺の部屋のリビングのソファーで寝そべってアイスを頬張りながら短パンにTシャツとうラフな格好でファッション誌を読む彩羽・・・


つい先ほど、当たり前の様に螺旋階段から降りてきて、俺の部屋の冷蔵庫を開けソーダ味のアイスを見つけ持ってきた雑誌を広げ、今の状態に至る


「え?アイス食べてファッション誌みてるんだけど?」


なに?俺の感性がまちがってるのかな?違うよね?違うよね!


「そこじゃない!どうして今朝学校に行く時に無かった螺旋階段が俺の部屋のリビングに設置されてるのかって事だよ!」


「え~、そんなの~雅の部屋に遊びに来るためじゃん?」


「いやいや、だってそこの詩織の設置した(勝手に)扉もあるじゃん!」


彩羽は目線だけ俺の指差したドアをチラッと見ると再び雑誌に目を戻し


「ああ、でもあそこベランダ出なきゃだし、ほら風強い日とか、夏の虫も困るし、何より下着で行来できないじゃない?」


・・・どうして下着で行来する必要が有るの???


「彩羽?なんで下着で行き来するの?お風呂あがったら寝たらいいじゃない?」


「え?そうだよ?お風呂入ったら寝るよ?勿論」


嫌な予感しかしない答えを聞くのが怖い・・・・



「ち、ちなみに何処で寝るつもり「雅の部屋で・「ダメェーーーーーーー」








今日は・・・・引っ越し初日で荷解きもあるだろうし


「ほら雅その荷物は置くの部屋に!!」


こうして、手伝っているのだが・・・・


「あのぉ~さっきから、彩羽さんて指示しかしてませんよねぇ?」


「ギクッ」


「いや、リアルでギクッて言わないですから!それよりも指示も大事ですが自分の服位自分でタンスに片づけてくださいよ・・・・」


「あ~~あぁ、かたづけ・・・片づけねぇ~・・」


目を泳がせて手を揉みながら焦る彩羽・・・


「もしかしてですが・・彩羽さん片づけ苦手ですか?」


「ギクッ」


2回目のギクッはスルーして、おれは白い眼を向ける


「はぁ~整理・整頓はすべての基本ですよ、キッチンも本棚もアクセサリーケースだって」


「は、はぁ・・・」


「良く使う物、あまり使わない物の仕分け、良く使うものを用途に合わせて何時でも取り出せて、しまえる様にするのが基本です」


「み、雅って、お婆さまみたい・・」


「お婆さまって、彩祖母ちゃんですか?」


「!?雅なんで知ってんの!?」


「いやー、もう今更でしょ、俺の住んでた村のお祖母ちゃん達が悉く許嫁の祖父母だって言われたら分かりますよ」


「そ、そうよね・・・でもお婆様・・懐かしいなぁ、ものすごく厳しい人なのよねーー」


「ん?彩祖母ちゃんは、片づけとかは厳しいけど、家が隣だったから何時もお手伝いに来てくれたよ?」


「いやいやいや!それ別人だって!お婆様がそんな甘やかす所なんて見たこと無い、同姓同名の別人じゃない?あれは本当に鬼ね・・」






「ほ~~彩羽・・・誰が鬼だってぇ~教えてもらおうじゃないか」


俺の部屋の螺旋階段から上がってきたのは 彩祖母ちゃんだった!


話しをしながらも手を動かす俺と、雑談して何も進んでない彩羽・・・俺らをの方をゆっくりと見渡し視線が彩羽で止まると蛇に睨まれたカエルの様に硬直し直立する彩羽


「い、いえ・・・お婆様!わたしも今から・・」


鋭い目線で彩羽を睨む彩祖母ちゃん・・・「ほう~今から?雅ぃ~アンタは、もう良いからここで座ってアンタの許嫁のお手並みを見てあげな」


変な汗をかいて目を泳がす彩羽に【バン!!】彩祖母ちゃんが机を叩く【【ビクッ!!】】驚く俺と彩羽


「あんたの今からは、何分後だい?」



彩は逃げるように自分の部屋にいき、バタバタと荷を解いている


「はぁ~~片づけが苦手とか・・・これじゃ・・・七星の娘と変わらんじゃないか・・・」


額に手を置いて俯き加減に溜息をつく彩祖母ちゃんに・・・「ん?静流は、お片付けも洗濯も俺より遥かに手際も良くて上手だし完璧だよ?」


「んなぁ!?本当かい!?あの暴力熊女の孫が!?」(暴力熊女・・・稲ばあちゃんの事なのか?)


「うん・・俺の利き腕が不自由な時に何度か代わりに洗濯掃除してくれて、ああそう言えば料理も上手だったよ?」


「・・・・・これは・・・本当に・・かなり七星に持っていかれてるね・・・」


「ん?何?なにかいった?」


俺の質問に貼り付けた笑顔で微笑むと、彩羽の様子を見てくると片づけに苦戦してる彩羽の部屋へ消えてった


【アンタは!!考えも無く箱から出して!!どうして入れるときに何を入れたか判るようにしとかないの!!】


【ええええぇぇぇん、お婆様~ごめんなさぁ~い~】


俺は様子が気になり彩羽の部屋をそっと覗くと・・・・


「雅、アンタは今日は良いから自分の部屋で休んどきな・・・「雅!!行かないで!!助けてぇ~お婆様に何とか言ってぇ~~」








・・・・・俺のその光景を忘れないだろう・・・高校生が本気でお尻を叩かれて泣いてる光景を・・・





俺は苦笑いして彩羽の部屋を後にした



風呂も終え部屋に戻り、広すぎるベッドに寝ころび本を読む 


【君の事を決して忘れない  亀山 鈴 著 】


-----------------

お知らせ


君の事を決して忘れない  のタイトルでスピンオフとして投稿しますので

是非読んで下さい!


https://kakuyomu.jp/works/16818093082599821708

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る