第6話 田舎王子女性2名に捕まる
二人に背後から両手首を掴まれて振り返り確認すると、二人の女子学生は顔を真っ赤にして怒っていた。
「ちょっと!お礼くらい言わせてくれてもいいじゃない!まだ自己紹介もしてないし!」
「そ、そうです!せめて貴方のお名前だけでも教えてください!」
恵美という子はさっきまで凛さんの背中で怯えていた様子から打って変わってグイグイと俺の手を引っ張った。
そんな積極的な恵美に驚いた凛はあわてた様子で恵美と向き合った。
「?!ちょっと?恵美??私が先に話してんだから後にしてよね?!」
しかし、さっきまで大人しい雰囲気に見えた恵美も引かず凛とにらみ合った。
「後とか先とか決まって無いよね?!私だって助けてもらったんだから!お名前聞く位いいいでしょ!」
今度は美人女子高生二人で言い合いが始まってしまった。
周りに誰も居ないとは言えここは歩道だし通行人が来たら邪魔になるかと思い溜息をこぼしながら、二人をなだめて邪魔になるからと奥の駐車場横でお互い自己紹介する事にした。
まずは場所移動を提案した自分からということで二人の前で自己紹介した。
「僕は、一堂 雅といいます、数日前にここから少し先に引っ越してきました、田舎暮らしだったので都会に馴染めなくて今は色んな方にお世話になってます」
そう自己紹介して、頭を掻きながらおどけてみせた。
二人は、顔を赤くして俺の話を聞いていた、さっきの男達への恐怖と怒りが収まらないと見える。
「一堂 雅さんですね!雅さんとお呼びしてよろしいですか?私 三宗 恵美(みつむね えみ)と言います!4月から東皇高の2年です!」
そう自己紹介した恵美は、小柄で140センチ位で俺(190センチ)と並ぶと胸くらいまでしかない、髪型は亜麻色のセミロングで少しカールしている少し垂れ目で右目にある黒子が印象的だ、おっとりした雰囲気に似合わないスタイルの持ち主で小さい背丈と胸の大きさはすごいギャップだ。
そんな恵美が間髪いれず自己紹介をしだした事に再び驚く凛、またその内容にも驚いた様子で
「!?え?恵美??いきなり名前呼び!?え、あ、コホン、私は、五十嵐 凛(いがらし りん)恵美と同じで来月から東皇高の2年よ」
そう自己紹介した凛は黒髪のストレートロングで恵美とは対照的に涼やかな立ち振る舞いの似合う女性だ特に、その大きな瞳は左右で青と黒になっており、少し掛かった前髪から覗きすごく魅了的だ、スタイルは恵美とは対照的におとなしめだがスレンダーでスポーティなイメージのする美少女だ。
二人とも俺と同じ年で、東皇高生という事は来月から同級生になるようだ、そこで少し疑問に思ったので二人に質問した。
「えーーと、お二人は今春休みなんですよね?どうして制服でお出かけされてるんですか?部活か何かですか?」
二人は東皇高のエンブレム鳳凰の刺繍の入ったブレザーを着ていたので聞いてみた。
俺の疑問に恵美が答える
「私しは生徒会なんです、凛ちゃんは風紀委員で今日は合同での会合があったんで参加してきたんです、」
恵美の説明に凛が補足する。
「そうそう、もうじき新入生の入学式もあるし、なにより今年は学校創設以来初の転入生が来るのよ!歴史的なタイミングで記念の式に関われるなんて名誉な事だわ!」
そういう凛はなにやら得意げに胸をはった。
浮かれる凛の腕を取って、浮かれてる場合じゃないよ!と恵美
「もーーぉう、凛ちゃん?転入生の子は超VIPなんだから、生徒会も風紀委員もキチンと式を進めて東皇高校の歴史的な式に泥を塗らないようにしないと!」
それでも、妄想する凛は両手を組んでうっとりしながらそのVIPとやらの補足をする。
「しかも頭脳明晰でスポーツ万能、それで日本有数の名家の出自で唯一の跡取りっていうしね~」
そんな凛の姿をみて、呆れながら恵美も転入生の情報を入れる
「そうそう、なんかお父さんの話だと、西王学園とうちの高校で取り合ったみたい、どっちの転入試験も満点だったって聞いたよ?」
転入試験?そういや、学校のテストで同じような問題のテストが3日続いてでたような?おれ先生に【毎日同じようなテストしてませんか?】って指摘しちゃったけど、あれ別々の高校の転入試験だったのか・・・・
(ん?でも3日って事はもう1校も試験受けたんだよなぁ?まぁ3校全部受かるとは思えないし転入試験で落とされたのかもしれないね。)
「そういや、恵美あんたのお爺さん・・うちの理事長だっけ?その転入生をどうやって引き入れたの?」
「うーーーん、私も良くしらないんだけど、向こうのOBとこちらのOBでどうも水面下でだいぶ揉めたみたい、そんで今の与党の総理と幹事長が仲たがいして現役幹事長が離党する事になったってお父さんからは聞いたよ?」
「ええええまじで?前にニュースで何度も取り上げてたやつじゃん!なんか幹事長が半数以上つれて離党したから次の選挙で与党じゃなくなる的な事いいってた!」
なにやら、自分の事でとんでもない事態になってる感じがして、苦笑いと冷や汗がでてきた。
しかし、頭脳明晰、スポーツ万能とか話が大きくなりすぎてるし、名家の出とか・・・たしかに俺の家は古くからあるみたいだし両親も祖父母もいなくて俺が名籍は継いでるが・・・」
「・・噂って怖い・・・ね・・」
ボソボソつぶやく俺に凜が尋ねる。
「ん?雅君?なにか言った?聞こえなかったーもっかい耳元で言ってー」
と凛は顔を近づけて髪をかき上げ耳をちかづけて来た
「!?ちょっと!凛ちゃん!?さりげなく名前呼び!しかも顔近い!はなれなさい!」
そう言うと俺と凛の間に入り凛と俺を引き離した。
「それはそうと、雅さんは今おいくつですか?どこの高校に通われてます?お住まいはどこですか?好きな食べ物なんですか?彼女さんはいますか?」
巻くしたてるように、恵美にプライベートを聞かれ、後ずさりしていたら凛が恵美を両肩を掴んで止めてくれた。
「はい!ストップ!雅君が困ってるでしよ!あと、質問多すぎ!1つにしなさい!1つに! それで?雅君?彼女はいるの?」
ただでさえ女の子に馴れないのに、なにやら二人からの圧が凄すぎてさらに顔色が悪くなり変な汗も止まらない
「いませーーーーん!」
そう叫びながら、急いでその場から走りさった。
二人はなにやら呼んでいたが、いまは振り返らずそのまま走りさった。
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