第3話 田舎王子撮影される


・・・・どうにか目的の場所についたが俺は助手席でぐったり・・(注:法定速度は守って運転してます)

けろっとしてる鳳さんは首を傾げて、時間が無いからと俺を強引に助手席から引っ張りあげる・・・やめて;;吐きそう・・・


そんな中で連れていかれたのは、竜崎撮影スタジオという所で建物に入ると、少し年配の男性が出迎えてくれて鳳さんがすこし話があるからと俺には、控室と書いてある部屋を指さしそこで待機してる様にとの事だった。

控室には4方に鏡が置いて有り四隅には見たことのない派手な服やスーツや普段着るような服が沢山掛けられていた。

「ほへーー、こげんなキラキラしたべべ、見た事ないだよーーこれどげんしてきるんだ?」

派手な装飾のされた服を手にして眺めてると、コンコンとドアをノックされたので返事をすると、鳳さんと同じくらいの年齢のこれまた綺麗な女性が3名部屋に入ってきた。


「!?!?、いや・・すいま、申訳ありません!ちょっと服を見てただけで!!!触ったり・・・は、ちょっと・・・しましたけど・・・もし・・・ダメ?」

女性スタッフA「いえーー構いませんよ?気に入った衣装あればそれも今日の撮影に来ちゃいましょう!w」

「あ、でもさわったらダメって事なら・・弁償・・??撮影・・・?今日・・・・?誰が?」

混乱して頭の上に【?】マークを出す俺に女性スタッフは手を口に充ててコロコロ笑い出した。

「えーやだなーーw一堂さんの撮影じゃないですかーー凄いですよねーー新人がいきなりNEWの表紙とか!」

余計混乱するこれに、若い女性スタッフが自己紹介を始めた

女性スタッフA「私は衣装を担当する 青木 冴香といいます!」

女性スタッフB「うちは、へアーメイクの赤坂 翔子だよ、今日はまかせとき!」

女性スタッフC「あのーー わ、わたし・・は・・・メイクを担当します・・・き・・黄瀬・・・唯奈・・です」


3人の美女からの自己紹介を受けて、緊張から条件反射的にお辞儀して一応の自己紹介をした。


「でも、一堂さん初めてみたけど、表紙飾るのも納得だよねーー」

「やっぱそうやな、そうやんな!?うちもこんな髪質みたことないわ!」

「お、お肌も・・モチモチプルプルで・・うふ・ふふふ・・ファンデが撫でるだけで・・・うふ・うふ・・・」

何やら、スタッフの方々は俺が張り切れるように持ち上げてくれるけど、俺みたいな田舎くさい学生には荷が重いと思っているのだろう。

かれこれ20分椅子にすわらされて、目を瞑って3人の美女にされるがままされてる俺・・・もうなんか諦めの境地だ。


「撮影まで後20分しかありませんからねw!」

「うちらのコンビネーションの見せ場やで!」

「ふ、ふ・・・この肌・・・お持ち帰り・・した・・い」

何やら一人、怖い事を言っている様だがあえて聞こえないふりをすることにした。


・・・・・・10分後・・・・

「めっちゃ髪質がええね・・・・どんな手入れしてんのや??マジ最高なんやけど!!」

「まつ毛、綺麗・・・天然で・・こんな完璧とか・・・眉毛も整えたら・・・左右均等と・・・マジ神・・・」

「はぁ、なんで裾延ばさなきゃいけないのよw足長すぎ!何頭身よって感じwモデルする為に生まれてきたの?」


なにやらブツブツ言う3名のスタッフの声を聞き流して、俺は自分の情けない姿を鏡で無表情で眺めていた・

(・・・・いくら人助けとはいえ・・・・これは・・情けない・・・・派手な服に寝ぐせみたいな髪型・男がメイクとか・・・恥ずかしい・・・音野ばあちゃん見たら腰ぬかすだろうな・・・)


一通り終わったのか3人それぞれ道具を片付けてると、コンコン『そろそろ、お願いしまーーーす』

「「「了解でーす」」」と答えた3人の女性に背中を押されて控室から押し出された。

男性スタッフから案内された場所は真ん中にポツンと青い布が張られた場所で撮影に使うのか見たこともない大きなカメラと照明そして何人ものスタッフだ。

辺りをキョロキョロしてると鳳さんと一緒に知的な眼鏡をかけた美女が首から高そうな一眼レフのカメラを掛けて現れた。

「へぇ・・・茜・・・すごいの見つけたね・・・こりゃ今回の4月号は荒れるねーw」

俺の事を上から下まで何度も頷きながら見られて、苦笑いするしかなかった。

俺をよそに、手を叩きながら自分がほめられたように鳳さんが喜んだ。

「でしょ、もう初めて見てびっくりよ・・・この私の事務所の初めての男性モデルはこの子しかいない!って思ったら思わず声かけちゃったw!」

鳳の様子に、呆れたのか腰に手を置きもう片方の手で眼鏡と額を押さえてちぃさく溜息を吐いた。

「あんたねぇ・・来月号のモデルの為に何回オーディションしたのよ・・・たっく!せっかく最終選考に残ってもあんたが気に入らないって事で結局決まらずに撮影当日になったのわすれてない?」

呆れた様には、さすがにバツが悪かったのか慌てて鳳が取り繕った。

「で、でも!ほら!ちゃんと青葉も納得する逸材みつけてきたでしょ!」

そういう鳳に背中をおされて、再び眼鏡美女の前に立ち尽くす形になった俺の顔を今度は顎に手を置き鋭い目つきで眺めてきた。

「まぁ、確かに期待以上・・・というか、まだこんなオーラ持ってる子がいたんだ・・・久しぶりに驚いたよ!」

年上の美女二人に挟まれての展開に唯々俺だけが状況が呑み込めてポカーンとしていた。

「あ、、あの・・・えーーと、、、これはどうなって・・・」


混乱してるこちらを察したのか眼鏡美女は自己紹介をしてくれた。

「ああ、ごめんなさい自己紹介がまだだったわね、私 竜崎 青葉(りゅうざき あおば)っていうの、NEWって雑誌の専属撮影班責任者兼カメラマンしてんだよね、今日は、というかこれからどうぞ宜しくねw」

そう挨拶をしてくれて、手をさし出す竜崎さん、知的な眼鏡美女で長い黒髪を頭の上でお団子にしてまとめてる、服装はラフな白いブラウスにジーンズという動きやすい服装に武骨な一丸レフが少しい歪な雰囲気を出している、スレンダーな鳳さんとは違い出るところは出てへこむところはへこんでる一目で美人と判る容姿だ。

慌てて差し出された手を握り、挨拶を返す。

「こちらこそ・・・・よろしくお願いします!・・これからも??」

少し言葉に違和感を感じてたが、竜崎さんは特に気にした様子も無かったので、こちらも気にしない事にした。


二人の自己紹介も済んだところで鳳が手を叩き

「ささ、時間も無いし話はあとで!!撮影始めちゃうよ!、ほら青葉も準備してして!」


竜崎は肩を竦めてため息交じりに、鳳を睨んで

「はぁ、まったくそもそもアンタが時間通りにだな・・まぁいいか・・・皆はじめるよーーー!!」

スタッフ全員「はい!!」

竜崎の号令にみんなが同時にせわしなく動き出した、俺は竜崎さんの指示通りのポーズを取りながら表情の要求や目線の指示を細かく言われただただ指示に従うだけだった。

何枚か撮影すると衣装を変えてまた撮影、その度、青木さん赤坂さん黄瀬さんが崩れたところを手直ししてくれた。



・・・・・3時間後

「はい、一堂君お疲れ様!」

そういうと鳳さんは冷たいコーヒーをもってきてくれた、砂糖とミルクはお断りしてコーヒーを一口いただく

「ふぅぅーーーーモデルの撮影ってすごく大変なんですね・・・・俺知らなかったです・・・・色んな人が一人一人自分の仕事全力でこなして・・・プロって感じしてすごいですね」

椅子で休憩させてもらってる俺以外のスタッフはまだ後片付けや機械の整備やらで、せわしなく動いていた。

そんな様子の俺に鳳さんは背中を叩いて

「なーーにいってんのw今日一番頑張ったの雅君だからね!ほら」

視線の先には最初に準備をしてくれた青木さん赤坂さん黄瀬さんと他の女性撮影スタッフが俺の方をチラチラ見ながら恥ずかしいそうに談笑していた。

「???なんでしょう?、みなさんなんか言ってるようですが・・・??」

俺の疑問に鳳さんは微笑んで答えてくれた。

「雅君、みんな貴方と記念に写真撮りたいんじゃないかな?せっかくこうして一緒に仕事出来たわけだし嫌じゃなかったら一緒に撮ってあげれば?」


確かに青木さん赤坂ん黄瀬さんには俺が撮影の最中に崩したセットを直してくれたり衣装を合わせてくれたりお世話になった、また女性すた

他の女性スタッフも気付かいしてくれて照明で暑くなってる俺に扇風機をもってきてくれたり水を用意してくれたりう自分の仕事以外でも配慮してくれた。

この仕事を通じて仕事をする人への尊敬の気持ちと感謝の気持ちが強くなったのは確かだった。


「僕なんかで良いんですか?まだ僕は時間ありますから皆さんさえよろしければ是非こちらからお願いしたいです」

鳳にそう伝えると女性スタッフの方に向かって手で大きく丸を作って笑顔で頷いた。

スタッフ達は大はしゃぎで、各々のスマホを別の人に渡して俺との撮影会をはじめた。

一通り撮り終えた頃、竜崎さんが奥にあるパソコンの前からこちらに移動してきて、自分のスマホを鳳さんに渡すと俺の腕に自分の腕を絡ませ顔を肩にのせてウインクした。

その様子を見た女性スタッフ全員からは猛抗議で撮影のやり直しを要求されたが、そろそろ寮入る時間が迫っている為、今日の所は許してもらった。


・・・・帰りの車の中

「・・・8時半か結構ギリギリだね・・・雅君ギリギリまで付き合わせて御免なさいね」

暗くなった道の為を今度はサングラスをしてない鳳さんは申訳なさそうにしながらどこか晴れやかな顔で謝罪してくれた。

「いえいえ、僕も初めて都会にきて初めて同年代の人とお話し出来てすごく刺激になりました」

思いだ出せば、今日の朝方にはまだ井の中村に居たのだと思うと今日一日が目まぐるしくて少し可笑しな感じがした。

笑ってる俺の表情は薄暗い社内からはわからないのか鳳さんは普通に返事してくれた。

「そう?そう言ってくれると助かるわ、明日も午前から予定空けてくれてるって事で良いんだよね?事前に電話するね」

そう運転しながら自分のスマホを振って見せた。

「ええ、撮影の残りと、鳳さんの事務所で使う広報用の写真でしたっけ?そのあと、今回の写真決めなんですよね?」

俺が内容を理解してるが嬉しかったのか、何度も嬉しそうに頷いて納得してくれた。

「そうそう、もう発売まで2週間無いから色々ギリギリなのよ・・・初日から急かして御免ね・・あと契約書の件おじい様に郵送するから事前に連絡お願いね」

そう、俺の保護者からの契約書同意がないと俺の写真は使えないのだ。

「わかりました、こちらからおじいちゃんには連絡しておきます、明日はお電話お待ちしてます。」

そう話してるといつの間にか寮の入り口に到着した。

「へぇーそれにしても、転校先が東皇高とはね・・・すごい名門じゃない・・あなた何者?転入出来るような学校じゃないんだけどね・・・」

鳳は疑問に思いながらも雅に挨拶すると自分も帰宅すると言って真っ赤なスポーツカーで帰っていった。

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