期間限定の、俺の恋人

D.J.Soramin

期間限定の、俺の恋人

きっかけは、文化祭だった。

ノリと勢いだけで決まった、メイド喫茶。幼馴染である須藤凛音が、男が、女ものの服を着ている。

普段はゲームとかして遊ぶ仲なのに、俺の中で、何かが弾けるような音がした。

──美しい。

今まで、着飾った女子たちを可愛いと思ってきたけれど、それは結局、自分を飾るためのものに過ぎなかったのだ。

しかし、その価値観を根底からひっくり返す存在が、目の前に現れた。

可愛いとか綺麗とかじゃない。俺は凛音のことを美しいと感じてしまったんだ。そして、それに気づいた瞬間……俺は恋に落ちていた。

いや、分からない。俺も女子からはモテるほうだ。何回も告白され、まずは友達から、と返答し、そして友人と呼べる女子はいなくなった。

まあそれはいいんだよ。だって男友達と遊ぶ方が楽しいし、最後に女子と遊んだのは小学校に入る前にキャッチボールをしたことくらいだ。

成長が早かった俺は、その子を泣かせてしまい、もう女子と遊ぶのはこれっきりにしよう、と決意した。

そのつもりだった。が、しかし。

今俺の心は、凛音を求めていた。

凛音が文化祭でメイド服を着てからというもの、俺の目にはそのメイド服が焼き付いて離れなかった。


「ごめん。お前のことが好きだ」

その日、俺は凛音に告白した。

「え、あ、あの……嬉しいんだけど……」

凛音は顔を真っ赤に染めながら、俺を見てそう言った。

「でも、俺、男だよ?ほら、男子の制服着てるし……」

凛音は不安げに俺に言う。

そんなことは分かってる。でも俺は、もう凛音から離れられなくなっていたんだ。

俺が一番可愛いと思った女の子は、男で。しかし、それでも好きだった。

だから、俺は覚悟決めたんだ。

どんなに罵られても、どんなに嫌われても、凛音と仲良くなりたい。そう心に決めた。

「正直嬉しいよ。でも……」

でも、文化祭が終わったら凛音が女装する理由がなくなる。

「わかった。じゃあ文化祭が終わるまで」

凛音はそう言った。


そうして。俺と凛音の秘密の交際が始まる。

手を繋ぐのなんて、男同士じゃ当たり前なのに、どうしてだか凛音の前だと汗をかいてしまう。

こんな手汗だらけの手で、彼を汚したくない。

そう思うと、付かず離れずの距離が丁度よかった。


デートらしいことといえば、毎日のように俺の部屋に上げて、彼を女装させるものだった。

母さんも凛音のことは知ってる。詰襟姿の彼を家に招くのも毎日のようにしている。

が、恋人関係なのは流石に言えなかった。

こっそりと姉の服を着せて、男に興奮する。

俺は変態なのかもしれない。

気づくと、彼の前で勃起していた。

スラックスに納まりきらないほどの膨らみ。

凛音はまじまじとそれを見ていた。

「やめろよ恥ずかしい……」

弱気になる俺に、彼は。

「いいよ。君のあそこ、見たい」

そう言ってスカートをたくし上げた。

かわいい女子のぱんつ。そこに似合わない小さなアレ。

何故か勃起は止まらない。

「なあ。見ても、いいか?」

「うん……でも君のも見せてね?」

そう言って互いに相手の腰を掴む。

彼の手は男らしく骨ばっていたが、同時に柔らかさも持ち合わせていた。

動くのは凛音のほうが早かった。カチャカチャとベルトを外し、スラックスを下げた。

「わぁ……」

水色のトランクスからはみ出したそれを見て、凛音は驚いたような声をあげた。

トランクスをずり下ろすと、反動で俺のモノがはじける。

ぶるんっ!と勢いよく跳ね、俺の腹を叩くように反り返った。

それは凛音の目線の高さだ。

生々しい男のそれを見せるのは、凛音が初めてだった。

彼は顔を近づけ、匂いを嗅ぐ。

くぅぅ……と腹が鳴った。

空腹なのだろうか。俺はこのタイミングで腹が減っていないことに驚いたが、凛音はそうではなかったようだ。

鼻をスンスン鳴らしながら、俺のモノに鼻を擦り付けた。

そして、ゆっくりと舌を出す。

ちゅぷっ……と音がした。

凛音の小さな舌が、俺のモノを舐めている。その倒錯的な光景に、俺は興奮するしかなかった。

優しく、しかし丹念に俺のモノを舐める凛音。

咥えるのではなく、亀頭を口の中で転がしていた。

刺激は弱い。でも、それがまた気持ち良かった。

俺のモノも負けじと跳ね上がる。そして、凛音の頬を打った。

その反動で凛音は少し咽せてしまうが、それでも彼は俺のモノから口を離さなかった。

舌が裏筋を這い回る。ザラザラとした舌の表面が、俺のモノを刺激した。

やがて、凛音の動きが変わる。

優しく舐めていた舌が、一気に力強くなる。

カリの部分を舐め回し、尿道を舌先でほじくった。

射精を促すような動きに、俺は歯を食いしばる。

もう限界だ。そう思った瞬間、凛音が口を離した。

そして、俺のモノに顔を近づける。

ふわっとした熱い息がかかると、俺は射精した。

びゅるるるっ!と勢いよく飛び出した白濁は、凛音の顔にかかった。

──初めて、顔射しちゃった……。

俺は凛音の顔を白く染め上げる。

凛音は顔についたそれを指で拭うと、ペロリと舐めた。

彼の口から俺の精液が垂れる。それも掬って舐めとった。

しかし、まだ満足していないようだ。今度は口を大きく開けると、亀頭を咥えた。

ゆっくりと口内に入っていく。口の中は熱く、ねっとりとした感触で俺のモノを包んだ。

上顎に亀頭が触れると、凛音は軽く咳き込んだ。

そして今度は頬の内側に亀頭を押し付けた。

頬がぽこっと膨らむのを見ると、それだけでも射精しそうになる。

頬をすぼませ、凛音は俺のモノを吸い上げる。

そして、カリの裏まで舌で舐め回した。

鋭い刺激に、俺は腰を浮かせる。

それに気づいた凛音はすぐに口を離した。

「僕のも見て……?」

俺はふらふらの頭のまま、スカートを下ろす。

小さなふぐりは少しだけ固くなっていた。

よかった。興奮していたのは俺だけじゃなかった。俺は嬉しくなる。

そして、彼のモノをそっと掴んだ。

それは小さく、柔らかい。しかし、その大きさから想像できないほどの重さがあった。

握った瞬間、凛音がピクリと動く。

が、すぐにまた俺のモノを掴んだ。そして同時に、自分も俺のを掴む。

互いのものを重ね合わせ、凛音は両手で俺と自分のモノを扱き始めた。

まるでセックスをしているような動きだ。

俺の手に擦り付けるように、彼は腰を動かす。その反動で彼のちんちんが揺れた。

先端から先走りがこぼれる。それを潤滑油代わりにして、凛音は手を動かし続けた。俺は凛音にされるがままに、彼のモノを扱く。

その手は次第に早くなる。

そして──

俺と凛音は同時に果てた。

互いの手の中に、熱く白い液体が溢れる。

彼はそれを舐めとった。

はぁ……はぁ……と息を整えながら、俺たちは見つめ合う。

凛音は俺を抱きしめて、言った。

「好き……」

こんな変態な俺を好きだという。そして、女装までしてくれた彼のことを改めて美しいと思った。

抱きしめ返すと、凛音は俺の耳元に口を寄せる。

そして、小さな声で囁いた。

「僕の童貞、貰ってくれる?」

俺は首を縦に振ることしかできなかった。


それからというもの、俺たちの関係はますます親密になった。

学校では友達として接し、放課後になれば俺の家に行くのが当たり前になった。

女装した凛音は、それはそれは美しい。しかし、女性的な見た目とは裏腹に彼は男なのだ。

そのアンバランスさがとても愛おしく思えた。

でも、そんな日々も長くは続かない。

文化祭が終われば、彼が女装する理由がない。女装は文化祭まで。その約束だ。もうすぐ女装した凛音と過ごす日々が終わってしまう。そう考えると、悲しかった。

凛音が俺を好きだと言ったのは文化祭までだ。俺とのこの関係が終わってしまったら、きっと彼は俺のことを忘れてしまうのだろう。

いや、それならまだマシか……

行為をして、凛音の心に傷を負わせてしまったことに違いはない。

例え好きだと言われても、期間限定の恋なのだ。

俺は……この関係に終止符を打ちたくなかった。

凛音のこと、諦めたくない。でも、どんな手を使っても凛音と別れずに済む方法なんて、俺には思いつかなかった。

それに、女装をしてほしいなんて理由で好きになるなんておかしい。だから文化祭が終わればさよならなんだと思った。

──それなのに、文化祭が終わった後も俺たちの関係は続けた。

その日は母さんも家にいて、俺たちは二人きりだった。

俺の部屋で一緒にゲームをしている時、凛音が身を寄せてくる。そして、軽く唇を合わせたのだ。

俺はそのキスを拒まなかった。それどころか……俺の方から舌を出す。凛音はそれを受け入れてくれた。

ひとしきり互いを味わった後、凛音は俺に尋ねる。

「僕のこと、好き?」

俺は迷うことなく答えた。

「好きだよ。君の女装は好きだし、女の子っぽいところも好きだ。でも……俺が君を好きなのは、君が男だからじゃないんだよ。君だからこそ好きになったんだ。君は綺麗だよ。それも女の子っぽいからって意味じゃない。君が君だから、俺は好きになれたんだ」

凛音は俺の告白を聞くと、にっこり笑って言った。

その笑顔は女装していなくてもとても可愛らしい。

そして、彼の口から俺が望む答えが返ってきたのだ。

「これからも一緒に居てくれる?僕と付き合ってくれる?」

彼は俺の返事を聞くと、ゆっくりとスマートフォンを取り出した。

「今度、池袋の水族館が学生割らしいんだ。カップル割も併用できるらしくて。一緒に行かない?」

俺には断る理由が見つからなかった。

「あ、でもさ。その前に服、新調したいんだ。ほら、これみんな姉ちゃんの勝手に着てるだけだからさ」

それはつまりショッピングと水族館デートがしたいというわけだろう。

「俺に任せろ。金ならあるし、凛音に似合うコーディネートしてやるよ」

そう答えると、凛音は嬉しそうに笑った。

そして、俺の耳元で囁くのだ。

「……ありがとう。大好きだよ」

その声で俺は興奮していた。女装した凛音に愛されるのではなく、男としての凛音を愛していることに改めて気づいたからだろう。

もう女装癖なんていらないほどに、俺は凛音が好きだった。

女装した彼を好きになる理由はもうなかった。けれど、彼が女装をしてくれるのは……彼の好意でしかなかったけれども。純粋に嬉しかったし、俺もそれに応えたいと思ったからだ。

だから……この関係を終わらせたくない。俺はずっと変態のまま……いや、凛音のためなら何て言われたって構わない。

女装した彼を好きなのではなく、彼そのものが好きなんだ。

俺は凛音の手を握ると、そのままベッドに押し倒した。

そして──


その日になった。

待ち合わせは午前十時。いつもとは違う凛音を見れると思うと胸が高鳴った。

待ち合わせ場所であるいけふくろうの前に行くと、すでに凛音の姿があった。

男物の服装に、帽子とメガネ。意外とボーイッシュな格好をしていた。

俺が凛音に近づくと、彼は俺に気づいたようで軽く会釈する。それに合わせるように俺も頭を下げた。

「待ったか?」

「ううん。でもなんかごめんね。もっとかわいい服がよかったんだけど……僕、あんまりそういう服持ってなくてさ」

とりあえずサンシャインシティの前に行き、量販店で服を見繕う。

歩行者天国で混雑していたけれども、身長の高い俺と低身長の女装男子という組み合わせはそれほど悪目立ちしなかった。

凛音の服装はどちらかというとユニセックスで、女の子らしさというよりは少年らしいかっこよさがあるものだ。

変装用のメガネも相まって、ボーイッシュな印象を受ける。俺好みだと言えるだろう。

「最近、寒くなったよね」

俺たちは防寒のジーンズやダウンジャケット、キャミソールが売られている場所へと避難する。

モデルが着ているような衣装の周りには人気なのか、人だかりが出来ていた。

「俺的にはもっと女の子らしい服の方が似合いそうなんだけどな」

つい本音が漏れてしまった。凛音はというと顔を赤らめ下を向いてしまった。しまった、と俺は後悔した。今のは俺が悪かったな……

でも俺が好きなのは、文化祭でメイド服を着ていたあの凛音であり、今横で値札を見ている少年なんだ。

女の子になりたいんじゃなくて、女の子の格好がしたい。それはおかしなことではない。好きな服も着ていいはずだよな。

そんなことを考えているうちに、人だかりはなくなっていた。どうやら品切れのようだ。

店内の奥に行くと、男物のコーナーがあった。メンズショップの割には女性物が多い場所だけれども、凛音が着るような服もちゃんとある。

俺は凛音に合う服を選んでみるが……どれも少しサイズが大きい気がする。まぁ、着れなくもないか……

一通り見た後、俺たちは試着室に行くことにした。

女ものの服を持ったままで試着室に入ってもらうのは、周りの目が気になるが仕方ないことだと割り切るしかないだろう。

着替えを待つ間、俺は一人で服を見ることにした。

凛音は何を着るのかな……

そんなことを考えていると、すぐにカーテンが開く音がした。どうやら着替え終わったらしい。カーテンの向こうで凛音が待っている。

俺はドキドキしながらカーテンを開ける

そこには女の子がいた。

しかもそれが彼女だなんて……なんだか嬉しかった。

凛音は恥ずかしそうに俯きながら、俺に聞く。

女装用のウィッグ越しに見える顔はやはり女の子そのものだった。

でも、下は短めのスカートとニーソックスという格好だ。

俺は凛音……いや、彼女に話しかけた。すると、彼女は恥ずかしそうにスカートの裾を摘む。

その仕草が可愛らしいと思った。

そして俺は彼女に向かって手を伸ばす。凛音……いや、彼女は俺の手を取ってくれた。そのまま手を繫ぎながら、店の中を歩いた。周りの目が気にならないわけではないけれども、手を繋いで歩くことは普通だと考えているから気にしないように努める。

手を繫ぎながら、俺たちは店内を回った。

凛音……いや、彼女は嬉しそうに笑顔を向けてくれる。それがとても嬉しかったし、女装しているという背徳感のようなものも手伝ってか俺も興奮していた。

「それじゃ、水族館、行こ?」


もう予約は済んでいるらしく、時間まで建物の中をぶらぶらする。

凛音には申し訳ないな……

とりあえず喫茶店でもいいが、地下にたしかラーメン屋とかあった気がする。

ああでも彼……彼女が行きたいとことかあればなぁ。おなか減ってるかな?そんなことを考えながら、俺たちは水族館の受付に行く。

すでにチケットは用意してあったのか、係員がすぐに手渡してくれた。そして入場ゲートを通り館内に入る。

魚がたくさんいる水槽を見ながら、凛音ははしゃいでいた。そして、いろいろと俺に話しかけてくるのだ。その姿は男らしいというよりは、無邪気な少女のように見えた。

そんな姿を見ていると、自然と笑みがこぼれる。

ふと、凛音は俺の手を握りしめた。そして顔を近づけてくると小声で俺に言うのだ。

彼の頰は赤く染まっていたけれども、彼は俺の目をまっすぐ見つめながらこう囁いたのだ。

「僕は君のことが好き……これからもずっと一緒にいたいって思っているんだよ」

そんな甘い言葉に俺は思わずドキッとした。

水族館の中を一通り見て回ると、凛音……いや彼は俺の手を引っ張るように足早に進んでいった。そして、ある場所に着くと足を止める。そこはペンギンのいるトンネルのような場所だった。

凛音は子供のように目を輝かせて青空を泳ぐペンギンたちを見つめていた。

まるで子供のようにはしゃぐ彼に思わず笑みがこぼれる。

「すごく綺麗だね!」

と子供のような笑顔を向ける彼を見て、俺は……なんだか複雑な気持ちになった。

写真を撮ることも忘れ、トンネルを抜けた後もしばらく館内をウロウロしていた。そして、紫色に輝くクラゲたちやカワウソ、そして名前も知らない魚たちがのんびりと泳ぐ姿を見た後、水族館を出たのだが……ちょっと困ったことになった。

「おしっこ……」

凛音がトイレに行きたそうにしていたからだ。え、この場合どっちに行けばいいんだ?

仕方が無いのでとりあえず多目的トイレが空くのを待つ。その間に俺は凛音の手を引いて、少しだけ震えていた。

しばらくするとトイレが空いたので中に入る。そして個室に入り鍵を閉めるのだが……

「絶対に開けないでね」

凛音は念を押す。それはもちろんわかっているのだけれども……何かドキドキしてしまう自分がいた。

しばらくして。

「うぅ……」

スカートを下ろす方法が分からなくて少しだけ漏れてしまったらしい。幸いにも下着は脱いでいたようで、なんとかなったらしい。

「ごめんね。せっかく買ってもらったのに」

俺も少しだけ催しそうだ。凛音にちょっと待ってもらうように言い、俺は普通に男子トイレで用を足すが……正直ドキドキしていた。

あの狭い空間の中で凛音が用を足していたのかと思うと頭が沸騰しそうなほど熱くなった。

や、いや、俺にそんな趣味はない!でも、女装した彼と付き合うってこういうことなんだよな……そんなことを考えていると、俺は勃起してしまったのだ。まずいと思って慌てて個室に戻り凛音に謝るが彼は笑顔で許してくれた。

その後はしばらくスカートの上から股間を触っていたようだったので相当我慢していたのかもれない。

それにしても……なんか興奮してしまったな。

「ねえ、大丈夫だった?」

自分のことをよそに、凛音は俺の心配をしてくれた。

「ああ。ありがと」

「ところで、それ……」

彼は俺の股間を指さした。

慌てて取り繕うとするが、彼は俺の手を引いて空きっぱなしの多目的トイレの鍵を閉めた。

「ちょっと漏らしちゃったんだけど、いいよね」

彼は俺を便器に座らせ、その状態のまま両脚を開き、跨いだ。いわゆる素股の体位。

前後に動く。擦れて気持ちいい。

半勃ちのそれと、彼の小さなモノが当たり、刺激される。

彼のスカートと下着はおしっこで濡れていたものの、不思議と嫌な気分はしなかった。むしろドキドキしている自分に驚きを隠せない。

そんな時だった。俺のベルトが外れてしまったのは。そして中から白濁した液体が飛び出す。

その途端だった、凛音は少しだけ嬉しそうな声を漏らすのだ。

凛音は一旦俺の上から降りると、俺の前に立った。そしてスカートをたくし上げるとそこには大きくなった男性器があった。

俺はつい驚いてしまったが……この状況で興奮するのは彼も同じだということがすぐにわかった。

彼は自分のモノを手を使って扱いていたからだ。その姿を見た瞬間、俺も再び興奮してしまった。

すると、彼は再び俺の上に乗ると自分のモノを俺にあてがう。そしてゆっくりと腰を落としていった。

彼の小さな蕾に俺自身が入っていくのがわかる。

痛いのか……凛音の顔が苦痛で歪むのがわかった。だがそれでも、彼は俺のことを受け入れようとしてくれていたのだ。

そんな健気な彼に興奮してしまう。

俺は彼を抱きしめるように身体を動かすと、彼のモノを優しく掴み擦った。すると彼はくすぐったそうに身をよじるが、その顔は嬉しそうなものに変わっていた。

しばらく続けた後、凛音から抜くように言われ……彼の蕾はぽっかり穴が開いたままになっていた。

俺は立ち上がると彼をトイレットペーパーで拭き取ってあげる。

凛音は自分のモノをふき取ると、俺に言うのだ。

少し恥ずかしそうにしながらも笑顔でこう言ってくれたのだった。

「ありがとう……嬉しいよ!」

その瞬間、俺の心臓がバクンッと跳ね上がるのを感じた。

ああもうだめだこれ……我慢できるか……いや我慢しなくちゃいけないんだ! 俺は必死に堪えた。そんな俺の気持ちを察したのか、彼は俺の手を掴むと自分の胸に持っていったのだ。そしてこう言うのだった。

「ねえ、まだ時間あるし……しない?」

俺たちはトイレでセックスをしてしまった。凛音は女装した自分に興奮しているのか……それとも俺だからなのかはわからないが、いつもより感度がよかった。

俺もそんな凛音が可愛くてつい張り切ってしまったのかもしれない。でも凛音も喜んでいるみたいだしいいかな?そんなことを思いながら。

彼は男物のパンツの中から自分のモノを出すと、それを俺の目の前に差し出した。

俺はつい、まじまじと見つめてしまう。そしておそるおそる触ると、それはとても熱く硬くなっていた。

これって……もしかして俺で興奮してくれてるってことだよな? そんなことを考えているうちに、凛音は俺の口に近づけてきたのだ。だから俺は咥えてあげたんだけれどさ……やっぱり小さい。

口の中でそれを転がして遊ぶと、凛音は可愛い声を出してくれたんだ。それがすごく嬉しかったのを今でも覚えているよ。

俺は少し強めに吸うと凛音はさらに強く感じてくれたようだ。そのまま手で扱くとすぐに果ててしまったみたいだがそれでもまだ勃起したままだった。

その姿を見て、俺も興奮してしまう。

俺は自分のモノを出すと彼の蕾にあてがい……ゆっくりと押し進めるように入れたんだ。すると彼は身体を仰け反らせて反応する。温かい。

ああもうだめだこれ我慢できないよ……激しく動く俺を凛音は優しく受け止めてくれるのだった。そして、俺たちは同時に果てたのだ。

その後……俺がイク前に凛音は先にイッてしまったみたいで、俺のお腹に白い液を出していた。それを舐めてあげるととても嬉しかったみたい。

そんな凛音が可愛くて仕方なかったな。

しばらくして落ち着くと、俺は凛音に聞いてみたんだ。どうして女装した自分を好きになったのか、ってね。すると凛音は笑顔でこう答えたんだ。

「君のことが好きだからだよ!」

ただそれだけなんだってさ。ちょっと嬉しかった。

「ねえ、今ここに君のが入ってたんだよ?」

凛音はそう言いながら自分のお腹を摩っていた。その姿がとてもエロかったなぁ……

少しだけ彼の女の子の部分が見えた気がした。


帰りの電車の中でも女装した彼と手を繋いで帰ったわけだけれども……幸せだったと思うし後悔もしていない。

今日は本当に楽しかったなぁ……そんなことを考えているうちに眠ってしまったようだった。そして目が覚めた頃には最寄り駅に到着していたんだ。

手を繋いで降りる俺たちを見て周りの人たちは変な目で見ていたけれどもそんなことは気にならなかったよ。だって大好きな凛音と一緒にいられるのだから……

デートを終えた俺たちは、それぞれ晩御飯があるからって別れたのだが、それからは毎日のように女装した彼と電話やメールでやりとりをしていた。

もちろん女装している彼も可愛かったし、俺と凛音は順調に関係を深めていったと思う。

そんな楽しい日々が続いたある日のことだった。

放課後。俺はいつものように凛音に近づこうとしたのだが、彼の様子がおかしいことに気づいたんだ。というのも妙にそわそわしていたからだ。

「どうした?」

そう聞くと、凛音は恥ずかしそうに答えたんだ。

どうやら昨日、女装した姿で男とデートしてしまったらしい……相手はネットで知り合った年上の男の子好きの変態。

まあ変態なのは俺も同じなのだが……

「どうして何も言ってくれなかったんだ!」

自分でもわからない。激昂してしまった。

「だって……心配かけたくなかったから……」

そんな凛音に俺はつい怒鳴ってしまった。

クラスの中が騒然とする。

女装した彼とのデートを楽しまれた後、ホテルに誘われついていったことを……

それで色々あってやられてしまって嫌なはずなのに身体は感じてしまったそうだ。

この感情は何だ? 嫉妬、なのか?

……気がつけば彼の手首を引っ張って、屋上へと続く階段の踊り場で押し倒していたんだ。

そして気がつくと彼の腕に両手をかけていて。慌てて手を離すがもう遅かった。

恐怖に怯えた目で俺を見つめる凛音に対して、罪悪感が込み上げてくると同時に興奮してしまった自分がいた。

違うんだ……俺はこんなことするつもりは……! 必死に言い訳しようとするけれど言葉が出てこない。ただただ時間だけが過ぎていくだけだった。

「ごめん」

どうせ文化祭が終われば彼が女装する理由が無くなる。

期間限定の恋、それが少しだけ早まっただけのことだ。


文化祭当日。女装した彼とは会えないだろうから……俺はクラスのシフトも適当にこなして一人寂しくぶらぶらと歩いていた。

幸いにも、凛音とは会わなかった。

そんなときだった、声をかけられたのは。

振り返るとそこには女装した凛音がいた。一瞬、誰かと思ったけれど間違いなく彼だった。彼は俺に向かってこう言ったんだ。

「ねえ、今日一緒に回ろうよ!」

いいのか……? 断る理由など無いので了承したのだが……二人で歩き出した後もずっとドキドキしていたな。

俺は彼と喧嘩別れしたようなものだ。それに女装しているとはいえ、彼にあんなことをしてしまったのだ。

嫌われてもおかしくはないはずなのに……それでも彼は一緒に居てくれるんだ。

そんな優しい彼のことがますます好きになってしまったのは言うまでもないだろう。

お化け屋敷や体育館でのバンドを見たり、気がつけばあっという間に文化祭も終わりを迎えようとしている。

楽しかった時間はあっという間でもう終わってしまうんだ。そう思うと寂しい気持ちになってしまうな……その後、俺たちは二人で文化祭の片付けを手伝っていた。こうして二人きりになれる機会なんてなかなか無いからな。

そんな時のことだった。突然彼がこんなことを言い出したんだ。

女装した自分を愛してくれる人がいないことが辛いと……彼は泣いていたのだ。

だから俺は彼を人目のないところに移動させ、思わず言ってしまったんだ。

「君が好きだ」

ってな。でもそれは俺の本心だ。女装した凛音のことも好きだけど、男の格好をした凛音も好きなんだ。

たとえ期間限定の恋だとしても……この気持ちは変わらない。

凛音を抱きしめてキスをした後、こう告げる。

「さよなら」

もう彼が女装する理由がないのだ。そして俺の恋も終わりを告げたのだ。

最後に見た彼の顔はとても悲しそうだったが……きっと俺も同じ顔をしていたのだろうと思う。

そんな思い出を振り返りながら、俺は目を閉じたんだ。


文化祭が終わり、彼と凛音は別れた。凛音は大学に、俺は高卒で商社に就職することになった。

「凛音......」

またあの頃の思い出が未だにフラッシュバックする。

「すいません、この書類なんですけど」

「ああ確認して判子捺すよ。定時だし、君はもう上がっていいから」

「はい! お疲れ様です」

仕事も四年経つと慣れてきた。今では少しづつ責任のある仕事も任されるようになり、新入社員の愚痴を聞いたりと中々忙しい。

「今日も残業かなぁ……まあ一時間くらいいいか」

幸い今日は水曜じゃないので、キリのいいところで終わらせよう。

デスクで少し欠伸をしていた時だった。

「君、ちょっといいかな?」

部長に肩を叩かれた。

「なんでしょうか?」

初老と中年のちょうど中間くらいの、少し白髪の生えた、ピシッとアイロンがかけられた白いワイシャツが似合う男性が笑みを浮かべて声をかける。

「いや。大した用じゃないんだけどね。来週大卒向けの面接があるんだ。もしよければ同席しないかな。ほら、君も人事に携わってみると、視野が広がるかもよ。あ、もちろん強制じゃないけどね」

「別に……部長命令みたいなものですし、参加しますよ」

「ありがとね。いやーよかった。じゃ、僕も失礼するね」

似合わないネクタイを翻し、タイムカードを打刻する音が聞こえた。

「お疲れ様です」

妻子持ちは大変なんだろうか。彼が残業をするところを見たことがない。

まあその代わり、煙草休憩をしながらでも俺の何倍もの仕事をこなし、部下の教育も熱心だ。もちろん人望も厚い。よく結婚指輪のことについてどうこうって雑談が給湯室の秘書や事務の女の子らには人気だ。

ふう、と一つ溜息を漏らし、手元の資料を確認しつつ缶コーヒーを飲む。

よく出来てるな。細かいところは気になるが、ビジネス文書としては問題ないし、これなら修正で差し戻しする必要はないだろう。

デスクの引き出しから判子を取り出し、押印した。

さて、どうしようか。

帰っても一人だし、まだ時間はある。飲みに行く金は無いが。

すると突然メールが飛んできた。

「……誰だよこんな時間に」

メーラーを開くと、人事部からの転送メールだった。

いつの間に CC に入れられてたんだ。いや、おそらく部長は俺が話を断らないことを知って根回ししたんだろう。

「狡猾だなぁ」

まあ引き受けてしまった以上しょうがない。

内容は面接の場所が職場の会議室であること、あとは時間やら注意事項らが書いてあった。

履歴書や評価基準シートなどは当日人事の者が用意するので、特に準備は必要ないとのこと。でも。

「事前に情報無いと困るなぁ……」

おそらく出身大学や性別でバイアスがかかるのを最小限に抑えたいんだろう。まあ、部長も参加するらしいし、俺は金魚のフンみたいに同席してればいい。

まさか当日、あんなことになるとは。今の俺には予想がつかなかった。


そう、俺はまだ知らなかった。

面接当日。部長とともに会議室へと入る。

中には人事部の男性と、リクルートスーツに身を包んだ女性が一人、席に着いていた。

軽く会釈をし、俺と部長は腰を下ろす。

この会社は業界では有名だが、ほとんど名前だけの商社なので採用人数は多くない。彼女はおそらく例の人事の人だろう。女性も俺と同じタイミングで入社したので顔くらいは知っている。ただ名前は憶えていないが……まあ今回あまり関係ないだろう。

そんなことを考えていると人事の女性が資料を配る。

「本日はよろしくお願いいたしますね。自己紹介とか省いてもいいよね」

部長と俺が席から立ち上がり、まず部長が軽く会釈した。そして俺もそれに倣う。

その時、突然扉の向こうから声がした。

透き通るような美しい声だ。

思わずドアを開け声のする方を振り返る。するとそこには……

長い黒髪、整った目鼻立ち。そして吸い込まれるような瞳の……凛音がいた。

呆然としていると凛音は、席に戻りながら隣の部長に小声で挨拶をする。

彼女は俺の方を一瞥して少し驚いたような表情を見せたが、すぐに前の二人に向かってお辞儀をした。

面接は滞りなく進んだが、正直あまり覚えていない。ただただ隣に座る凛音のことが気になっていたし、まさかこんな所で再会するなんて夢にも思わなかったからだ。

面接は二時間ほど続いた後、無事に終了した。

いや、まさか。凛音が。

こんなこと、あり得るのだろうか。

会議室を出て、人事部の女性を呼び止めた。

部長とともに話を聞くと、どうやら彼は内定をもらっているらしい。採用人数が決まっている以上……俺は何も言うことができない。

あの後凛音と顔を合わせるのが気まずかったというのもあるが、何より驚いたからだろう。きっと彼女は俺がいることには気付いていなかったはずだし、部長たちは俺と凜音の関係を知らない。俺は彼の内定を……喜べなかった。

まさかの再会が、よりによってこんな形だなんて。

彼女が帰ろうとしているところを、俺は引き留めた。今思うと間違った判断だったかもしれない。

相変わらず凛音は美しく、可愛らしい。変わったところといえば髪型と化粧くらいだろう。彼女の長い髪は今は首のあたりで切り揃えられ、ナチュラルメイクが施されていた。それに昔より大人っぽく見えるし……いや、凜音は昔から大人びてはいたが、少女というよりは大人の女性といった雰囲気だった。

そして凛音は俺に気付き、少し驚いたような様子を見せた。

「覚えててくれたんだね」

凛音は、俺のことを知っていた。

彼女はこの会社に入社するつもりは無かったそうだ。志望理由は……わからないとはぐらかされた。しかし俺がいたからとかではないらしいが、結果こうして内定を貰ったのだ。正直ショックだったし、今でも納得していない部分はあるが、それを口に出す権利は俺にはない。

「ねえ」

凜音は俺の手を取ると、自分の胸に当てた。

「おっ、おい!」

柔らかくて温かい。でも、確実に誰かに見られたらアウトだ。

「いまホルモン治療を受けてるんだ。少しは女の子らしくなったかな」

ああ。こういった少し強引な面は昔から変わってない。

「ホルモン……?」

「うん。君と付き合って、えっちなこともしてから、自分が男である確証が持てなくて。最初はお姉ちゃんに相談してみて、女性として生きるか、ずっと悩んだんだ」

彼は、いや、彼女は文化祭の日に俺と別れてから、そんな悩みを抱えていたのか。

「両親にもカミングアウトして、仕事してお金が貯まったら海外で手術受けるつもりなんだ。性転換手術」

もちろん両親は、最初は反対してたけどね、と彼女は少し笑った。

「君がこの会社にいることは少しだけ想定外だったけど……でも君なら僕のこと……ううん、私のこと秘密にしてくれると思ってるよ」

きっと、凛音は俺に期待してるんだ。その期待に応えようと俺は頷く。

そういえば、凛音はどうしてこの会社を受けようと思ったのか。それは聞けずじまいだった。ただ彼女曰く、何社か受けたが今のところここが本命らしい。

一体どんな心境の変化があったんだろうか……

そんなことを考えていると彼女は俺に向かって囁くように言った。

俺の心臓がどきりと跳ねる。

それはまるであの時と同じで……ああ、全く変わらないなと少し安心する。

そして彼女は俺を真っ直ぐに見つめて、言った。

「私はね……君のことが好きなんだ」


帰りの電車の中で、俺は凛音の言葉を反芻していた。

彼女は確かにこう言ったのだ。俺のことを好きだと。ずっと好きだったと。

凛音は俺を束縛しないし、もちろん所有物のように扱うこともない。そんな相手が恋や愛といった感情を向けるのは一体どういう理屈なんだろうか。いや、それよりも問題なのは俺がどうしたいのかだ。俺は凜音をどう思っているんだろう……? そんなことを考えているうちに家へと帰ってきた。鍵を開けて、家に入る。

玄関には就活用に買った靴が綺麗に並べて置かれていた。

まだ気持ちの整理がつかない。俺は一旦考えるのをやめてリビングへと向かうと、ソファに倒れ込むようにして横になった。

……

…………

……………………寝てしまっていたようだ。時計を見ると、もう夜の十一時を過ぎている。三時間ほど寝ていたのか。明日も仕事だというのに情けない話だ。俺は身体を起こすと、ソファに座ってテレビをつける。ニュースを見ながら俺はため息をつくと、ふと思い出すようにつぶやいた。

結局凜音のことが好きなのかがわからなかったのだ。いや、わかってはいるのだが……その気持ちが本物かどうかわからなかったのだ。確かに凜音は魅力的な女性だ。それは認めざるを得ないし、恋人だった頃は彼女に対して欲情したことだってある。

でも……それは本当に恋と呼べるのか? 恋だと思っていたものが、ただ性欲に支配されていただけではないのか? 俺にとって凛音は大事な存在だし、それは今でも変わらない。ただそれが恋愛感情なのかというと自信が持てなかった。

俺は凜音のことが異性として好きなんだろうか……? それともただの遊び相手……? いや……そうではないと思いたい自分がいるのは確かだった。そしてもしその答えを出すならば、俺は凜音の気持ちに応えるべきだろうと思う。でもそれができない。俺には、凛音と付き合う資格なんて無いからだ。

俺は凜音のことを友人としか思っていなかったし、何より……あんな形で終わらせてしまったんだ。それにもし付き合えたとしても、結局また傷つけてしまうのではないかと思うと胸が苦しくなる。だから俺は……彼女に対して好意を持とうとしてこなかった。持つべきではないと思っていた。

そんなことを考えているうちにどんどん眠れなくなっていき……ああ、もう仕方ない。明日のことは明日の自分になんとかしてもらおう。そんな投げやりなことを考えながらシャワーを浴びてベッドに潜った。


翌朝、目を覚ますと酷い頭痛が襲ってきた。完全に考えすぎだ……久々にこんな目に遭った気がする。とりあえず出社の準備をしながら、これからどうするかを考える。

……とりあえず今日はゆっくり休もうか。幸い有給は結構残っているし、それくらいの休暇は許されるはずだ。そう決めて家を出ると、そのまま会社へ連絡しようとスマホを手に取る。するとその瞬間、突然着信音が鳴り響いた。電話の相手は……部長だ。俺は慌てて電話に出る。

スピーカーに耳を当てると、部長はいつも通りのテンションで話し始めた。

彼は俺に向かってこう言ったのだ……今日は来なくていいと。代わりに有給を消化してこいということらしい。俺は驚きつつもそれを承諾したが、正直ほっとしたというのが本音だった。昨日のことで頭は回らないし、この状態で仕事をするのは大変だろうから助かったという訳だ。とはいえ何も連絡しないというのはまずいから、ひとまず体調不良だとだけ伝えておくことにする。部長は心配していたが、俺は大丈夫だと告げて電話を切った。

さて、これからどうしたものか……特に用事があるわけではないのだが……なんとなく家にいたくない気がする。

とりあえず散歩でもしようかと思い、俺は家を出た。外は快晴で心地よい風が吹いている。そんな陽気の中、俺はあてもなくふらふらと歩いていた。

……そしてふと思いついたのだ。そうだ、久しぶりに映画館に行ってみるのもいいかもしれないと。そういえば最近は全然行っていなかったな……なんて思いながら街を歩くうちに自然と映画館へ足が向いていたようだ。

目的の劇場に着くと、ちょうど上映される映画のポスターが目に入った。恋愛モノのようだし丁度いいかとチケットを買って中に入る。中に入ると、中は人で賑わっていた。やはり人気の作品なんだろうと思いつつも、俺は劇場へ入っていく。高校の頃はよく学割で映画に行ったものだ。凜音と付き合ってからは中々行けなかったが。


……恋愛モノといっても内容は中々にハードで、上映終了後はなんだかどっと疲れてしまったが面白かった。映画を見終わるとちょうど昼時だったので近くのファミレスで昼食を摂った後、せっかくなのでショッピングモールや洋服店なんかを見て回ることにする。久しぶりにゆっくり買い物できた気がするし、なんだかリフレッシュできた気がするな。たまにはこういうのもいいかもしれない。休日を満喫した後、俺は自宅へと帰った。そして夕方くらいには体調が戻っていたので、ついでに買い出しに行って夕ご飯を作ることにする。今日は肉じゃがを作ってみたのだが……我ながら上出来だ。味がよく染み込んでいてとても美味しいと思う。自分で言うのもなんだが、なかなか上手にできたんじゃないだろうか? さて……そろそろ寝ようかと思った時のことだった。突然家のインターホンが鳴る音が聞こえたのだ。こんな時間に誰だろうと思い、ドアを開けるとそこには……凛音が立っていたのである。なぜここにいるのか? どうして家を知っているのか? そんな疑問が頭に浮かぶよりも先に、俺は彼女を家の中へと招き入れる。そしてリビングのソファに座らせると、コーヒーを淹れて差し出した。

すると彼女はクスリと笑って口を開く。

彼女は本題に入り始めた……そう、昨日の俺の言葉を聞いてどう感じたか……だ。あの時凛音は本気だった。本当に俺のことが好きだったんだなと思うと同時に、なぜ俺にあんなことを言ったのか不思議だった。

凛音はずっと俯いてその表情は見えないが、彼女の手が震えていることはわかった。

彼女の話を黙って聞き終えた後、俺はしばらく考え込んだ後……静かに口を開いた。

俺は彼女に自分の気持ちを伝えることにした。そしてそれは全て本心だということを伝えることにする。すると彼女は顔を上げると……涙を流しながら微笑んだのだ。そして俺に抱きついてくると同時にキスをする……舌と舌が絡み合う濃厚なキスだった。

しばらく経って唇を離すと、唾液が糸を引いたままお互いを見つめ合う形になる。

その目にはうっすらと涙が浮かんでいてとても綺麗だと思ったし、表情もどこか切なげで、艶めかしさを感じさせるものだった。

それからはお互い何も喋らなかったが、それでも彼女の目は真っ直ぐこちらを見つめていて……俺は目を逸らせなかった。そして彼女は再び俺にキスをしてくる……今度は軽く触れる程度のものだったけど……それだけでも十分すぎるほどの満足感があった。

そして最後に彼女は言うのだ……貴方のことを愛しています、と。

ああ、俺もだよと返すと彼女は嬉しそうな顔をして俺の胸に顔を埋めてきたので優しく抱きしめてやった。すると凛音はさらに強く抱きしめ返してくる。ホルモンのせいなのか、彼女の身体は細く、柔らかかった。

「学生の時の続き、しよ?」

と彼女は言う。

俺は少し躊躇ったが……結局受け入れることにした。

服を脱ぐと、彼女の白い肌が露わとなる。胸は以前に比べて少し大きくなり、ウエストのラインもより美しくなったと思う。そして何より一番変わったのは下半身だろう。女性らしく丸みを帯びて丸みを帯びていて柔らかそうなお尻や太ももから目が離せなくなるほどだ。さらにその下に伸びる脚も細くしなやかで美しいもので……俺は思わず見惚れてしまったほどだ。その脚の付け根にある男性器からは透明な液体が流れ出ていて、その匂いで頭がクラクラしてしまうほどだった。

彼女はベッドの上で仰向けになると、両脚を大きく広げて見せる。俺はそこに顔を近づけると舌を伸ばし、割れ目に沿って下から上へと舐め上げた。その瞬間凛音はビクンッと身体を跳ねさせ声を上げる。さらに何度も繰り返していると彼女の声はどんどん大きくなり最後には絶頂を迎えたようだったが……どうやら潮吹きだったようだ。勢いよく飛び出した液体は俺の顔を濡らすだけでなく勢い余ってベッドからも雫れ落ちてしまいカーペットを濡らしてしまっていた。

彼女はビクビクと身体を震わせている。その姿を見て俺は思わず笑みを浮かべてしまった。

それからはお互いの身体を愛撫し合ったりして時間を過ごした……そしてついにその時がやってきたのだ。

俺がゆっくりと腰を前に押し出すと、彼女の膣に俺のものが入っていくのがわかる。彼女の中はとても熱くて柔らかく包み込まれるような感覚を味わった後、根元まで入りきったところで動き始めた。最初はゆっくりだったペースも徐々に速くなっていく。肌同士がぶつかり合う音が響き渡り、その度に彼女は甘い声を上げた。

そして遂にその時がやって来る……俺は彼女の一番奥へと押し込んだ瞬間、亀頭が触れた。その瞬間、凛音は今まで以上に大きく身体を震わせると絶頂を迎えたようだ。激しく痙攣し俺のものを強く締め付けてくる感覚に耐えられず俺も絶頂を迎えてしまう。大量の精液が彼女の中に注ぎ込まれた。

それからも俺たちは何度も体を重ね合った……朝になるまでずっと抱き合っていたと思う。

最後の方は意識が朦朧としていて記憶が曖昧だが……それでも凛音への愛情は強くなっていく一方だった。

こうして俺たちの関係は再び始まったのである。

「今度は期間限定じゃないからね」

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期間限定の、俺の恋人 D.J.Soramin @iamyuki_t

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