オンラインオナニー

D.J.Soramin

オンラインオナニー

疲れた。

毎日毎日僕らは……何だっけ?

まあ残業続きなのは間違いない。

恋人もいない、職場も恋愛のれの字もない。ちょっとでも何か言うとセクハラだと言われる世間だ。

「あ~世知辛いよ~助けて~」

まあ丸の内でオフィス勤務なのはいいかもしれない。でも現状はあちこちに電話かけて、現場がトラブったら謝罪して、何度も何度も企画書作って……

こんなのが大人の世界なのか。夢も希望もあっちゃない。

電車内の広告は美人が意味ありげな微笑。紅い口紅が印象的だ。

たしかこんな歌詞の曲あったよね。

初任給で奮発して買った限定の腕時計は、カチコチと午後十時を指してる。

今日もお風呂入って寝るだけか。

「どこかに出会いとかないのかなぁ……」

誰にも聞こえないほど小さな声で呟いた。


広告代理店がこんな感じだと最初に気づいていたら、こんなとこ就職しなかったよ。

手柄はデザイナーのもので、そのためにあちこち頭下げた営業の私たちは使い捨ての駒。

それで報われるのは役員とか株主たちだけ。

ああでも給料はいいな。

まあそれもこの激務に対して支払われる対価だろう。

「はぁ……」

どうでもいいこと考えてたらもう家に着いた。

今日は風呂も……いいか。

シングルベッドに横たわる。だからといって眠気もなければやることもない。

ふとスマホを弄ると……

「オンラインオナニー?」

たまたまちょっとえっちな広告が出てきた。

興味は……ないこともない。

だって男の人怖いし、そんな感じの性的サービスをする店があることも知っている。大人だし。

ただ自分がされる立場になると……寒気がする。

「でも……」

オンラインだったら直接顔を合わせることもないし、いいかも。

そんな淡い感情のままアプリを入れ、十八歳未満禁止とか規約とかそのへんスキップして会員登録画面に辿り着いた。

「うわぁ……めんどい……」

適当でいいか。身長は160センチ、スリーサイズはえと……自分の体型に近い適当なプロフを入力していく。

顔は……まあ分からないからいいか。

どうせ誰かに見せるわけでもないし、適当に自撮りアプリで盛って完成っと。

顔写真を貼り付けて完成。

あとは生年月日とパスワードを入れてログイン完了。

するとなんかよくわからない画面になった。

あなたのタイプは? とか。

こんなのもわかんないんだけど……とりあえず適当に決めて進める。

するとピコン、と通知音が鳴った。

どうやらマッチングしたらしい。自己紹介の欄を見ると……

名前:ユキ

年齢:19歳

身長:158センチ、体重:秘密

スリーサイズ:上から79、55、88

血液型:O型

趣味・特技:料理。掃除。お買い物♪

好みのタイプ:優しい人♪ちょっと怖いけどいい人だと嬉しいな♪


19歳って……まあギャルっぽい感じなのは分かった。

お買い物が趣味なんて可愛いとこあるじゃないか。

それに料理できるなら十分いい子だ。

ただ好みのタイプが変わってるね……優しくって……誰だろう。

まあ優しい人ならここにはたくさんいるだろうけど。

ピコン!とまた通知が来たので見ると、さっそくメッセージが届いていた。

「初めまして!マッチングありがとうございます♪」

うん、元気は良さそう。

というか年齢が……めちゃくちゃ下だ。

ピコン!ピコン!と立て続けにメッセージが来たので、アプリを一旦閉じた。

はいはいちゃんと見ないとね。メッセージの内容を見てみる。

初めまして!マッチングありがとうございます♪ お料理も好きだけど、お掃除とかお買い物も好きなんです~♪ ちょっぴり怖いけどいい人だと嬉しいな(^_-)-☆

んー……まあ悪い子ではなさそうだ。

ただ年齢がすごい気になる。まあ成人してるし別に本人の勝手だけど。

とりあえず返信しよう。

「初めまして。マッチングありがとうございます♪ こちらこそいい人だと嬉しいです(笑)」

優しくていい人ですね! そんな当たり障りのないメッセージを送ると、すぐに既読がついた。

ピコン! ん?もう返事来たの?早いね。

ピコン!

「はーい♪お料理もお掃除も好きだし、お買い物も大好きです~♪ あとは優しい人なら嬉しいな……えへへ♡ 」

なるほど……これがいわゆる構ってちゃんか。

うーん……まあ悪い子じゃないみたいだから、とりあえず友達になろうかな。

というかマッチングアプリってこんな変な感じで会うものなのか。

とりあえずメッセージを続ける。

うんうん、優しい人が好きってわかるよ!

「それじゃあまずはマッチングありがとうってことで、ご飯食べに行かない? お料理もお掃除も好きって言ってたよね?私も料理は結構好きなんだ~(^_-)-☆ 」

ピコン! おおっ、良い反応。さてお返事は……

ピコン! うんうん。これは了解の返事かな? するとすぐにまた通知が来た。

「お料理も好き♡嬉しいな~(* ́▽`*)」

「やったー!楽しみです~♪」

ピコン! おっ?いいね!ん?写真……添付?……ん?んんんんんんんんっ!? これは……これはぁ……犯罪じゃなかろうか。

そこにはセーラー服を着た童顔の女の子が写っていた。

っていうかモロにパンツ見えてるんだけど……これ本当に同じアプリでやりとりしてる人? ピコン! さらに写真が送られてきた。

いやっ、これはさすがに犯罪だ。でももしかしたら違うかも……そんな淡い期待を込めて写真をよく見る。

今度はエプロン姿だ。しかし普通胸元も大きく開いていてちょっとえっちなやつ。いわゆる裸エプロンってやつだ。

そして極め付けは……お風呂上がりなのか少し濡れた髪と上気した顔。

うん、まあ間違いなくアウトだな。でも思わず保存してしまった。

これもう完全にアウトじゃん。犯罪だよ! ピコン! 今度はメッセージじゃなくて通話だ。相手はもちろんマッチングアプリを使ってる子。

どうしようか迷ったけど、とりあえず通話ボタンを押す。

するとすぐに可愛い女の子の声が聞こえた。

ちょっとアニメ声っぽいけど嫌いじゃない。

そんな声がスマホから聞こえてきた。

そして甘ったるい喋り方でこう言ったのだ。

「は~い♪初めまして♪マッチングありがとうございます☆ それでお料理とかお掃除がすごい好きって言ってたけど……私料理もお掃除も大好きなの♪ 特にお料理は……愛情いっぱい込めて作っちゃうから♡ あとえっちなことも好きだよ♡優しくしてくれるなら、すっごく気持ちよくさせてあげるからね~♡」

そのセリフに思わずドキッとした。この写真を見た後だ。

というかそういうものなのか?

写真の体つきは完全に女だった。や、私は別にレズってわけではないんだけど。

でもえっちなことも好きって……つまりそういうことなんだよね……?

「あの、どうかされました?もしもし~?」

電話の向こうの相手は少し不安そうな声だった。

そういえば通話中なんだっけ。

とりあえず何か言おうかと思ったけど……ん?待てよ? これはもしかして……めちゃくちゃいい機会じゃないのか? 私みたいな冴えない三十路女が、これからの人生でこんな可愛い子と関わりあるなんてまずないだろう。

「ええと……何て呼べばいいですか?」

アニメ声が電話越しに聞こえる。

そして甘ったるい声でこう答えたのだ。

ちょっともったいぶったような声で……

これは私の悪い癖だ。つい、メッセージを返すのに時間がかかってしまうのだ。

ええと、本名はまずいよなぁ。

「アキです。よろしくお願いします」

とりあえずこう送っておいた。

するとすぐに返信が来た。

「ねぇアキさん、アプリ越しにえっちしたことありますか?アキさんなら優しいし、きっとめちゃくちゃ気持ちいいと思うんです♡」

思わず生唾を飲み込んでしまう。アプリ使ってるくらいだから欲求不満なのかも……

いや私も最近はしてないな……

「し、したことないです!」

既読がついてから三十秒ほど。

「じゃあ、自分のおっぱい、触ってみましょうか? まずは服の上から……優しく揉みほぐします。そしてゆっくりと揉んでると……だんだん気持ちよくなってきますよね? その気持ちいいまま、今度はお洋服の中に手を滑り込ませていきます」

お胸が敏感な人は直接触るとすぐにイッちゃうこともあるんですよ♪ なんて言いながら彼女は続けた。

「胸全体をマッサージするように揉みしだきます♡ そしてその手は徐々に下に行って、お腹を撫でて……どんどん下に……♡」

心臓がバクバクとうるさい。

緊張と興奮で手に汗をかいてきた。

もう止まらないかもしれない。私はゆっくりと胸に手を伸ばしていく……

「お洋服、邪魔ですよね。脱いじゃいましょ?ゆっくりと一枚ずつ脱いでいって、おっぱいがぷるんと顔を出すんです♡おへそ辺りまでブラウスのボタンを外して……ちょっと胸元を開けます。そしてブラを取って♡ もうここまできたらブラジャーいらないですよね? それで両手で自分の胸を揉みしだいていきます。時々乳首も弄ってあげますよ♡ だんだん気持ちよくなって……乳首も固くなるでしょ? 指でコリコリってすると、すごく気持ちいいですよね♪ 」

私も同じように自分の胸を揉み始める。

もうすでにかなり勃起してる乳首を摘まんでみると、ビリッとした快感が体を走り思わず声が出てしまった。

「ふふっ、かわいい声出ましたね♡ そのまま乳首を弄って……気持ちいいですよね?じゃあ次はスカートをたくし上げて、下着の上から指を這わせていきます。大事なところは触らないで焦らします……♡」

私もスカートの中に手を入れて、ゆっくりと太ももを撫で上げる。さらに股間に指を持っていき優しく摩りはじめた。もどかしい快感がどんどんと体の奥から溢れてくる。

布越しの刺激はどこかもどかしく、それが逆に私を興奮させるのだ。

そして私はパンツの中に手を入れ……自分の割れ目にそっと触れてみた。

するとそこはもうぐちょぐちょで、少し触れただけで軽くイッてしまった。

しばらく放心していたが、すぐに続きを再開する。

割れ目を少し開き、直接クリトリスに刺激を与えると今まで以上の快感が襲ってきたのだ。

あまりの快感に私は腰を浮かせながら絶頂を迎えた。しかしそれでも手の動きは止まらず、さらなる快感を求めてしまっている自分がいた。

そんな私の姿を見たのか電話越しに声が聞こえた気がした。

えっちのリードをしてくれる相手は年下で、女の子で……もはやそんなことはどうでもよかった。

私の頭の中にはもう気持ちいいことしかなかったのだから……

私は結局その後三回も絶頂に達してしまい、息も絶え絶えになっていた。

ピコン!とまた通知音が鳴ったので見てみると、通話ではなくメッセージだった。

慌てて出ると相手はさっきの相手……ユキちゃんだ。息を整えながらメッセージを開くと、そこにはこう書かれていた。

アキさんとっても可愛かったですよ♡ アキさんもアプリ使ってるんですよね?だったら今度はえっちなこともしたいですね♪ お返事待ってますよ~♪」

どうしよう。これ、ハマってしまうかもしれない。


でもアプリはもう止めよう。これ以上使うと抜け出せなくなってしまう気がする……

私はそう思いながらも、そのメッセージをそっと保存したのだった。

ピコン!とアプリから通知が来た。

マッチングアプリからのメッセージだ。もう嫌な予感しかしない……

恐る恐るそのメッセージを開くと……やっぱりユキちゃんからだ。

内容はこんな感じだった。

「アキさんお久しぶり~♪登録したばかりで右も左もわからない私に優しくしてくれたの、とっても嬉しかったです♡ もうアキさんのこと忘れられなくて……♡今日とかって空いてますか?よければ一緒にご飯でも食べに行きませんか?あっ、もちろんエッチなことも……♡アキさんがよければですけど♪ もちろんすぐにお返事くれなくてもいいですよ!でももし大丈夫だったら……早速ですが明日の夜にでもどうかしら?」

やっぱり。アプリはアンインストールしてしまおうか……

私は悩んだ末、ユキちゃんの誘いにOKの返事をすることにした。

結局誘惑に負けてしまったのだ。こうなったらとことん楽しんでやろうとさえ思ってしまっている自分がいた。

ピコン!また通知が鳴る。どうやら待ち合わせ場所と時間が決まったらしい。

そのメッセージを見て、私は思わず吹き出してしまった。

指定された場所はなんとラブホテルだったのだから……


そして今、私はラブホテルの前に立っている。もちろん一人だ。結局誘いに乗ってしまった私は、約束の時刻よりも早めに来て覚悟を決めようとしていた。

本当にこんな所に待ち合わせで来るのかな?まさかね……

そんなことを考えていると後ろから声をかけられた。

振り向くとそこには可愛らしい女の子が立っていた。

アニメ声のその女の子は、こちらを見つけると嬉しそうに手を振ってくる。

それに答えるように私も手を振り返すと、彼女は私に近づいてきたのだ。

彼女の名前はユキちゃんというらしい。見た目は完全に美少女だが、年齢は私よりも下のようだ。

そういえば職業とか聞いてなかったな。

「初めまして……かな? アキさんこんばんは!」

年下の笑顔が眩しい。同僚は皆死んだ目をしていたから。

「こ、ここ、こんばんは。アキです」

「知ってますよ~♪ じゃ、行きましょ?」

「あ、あのこの場所って……」

「えっちなことするんでしょ? あ、年齢? よく言われるんですよね。もう十九なのに」

世間話をしながら受付をすませ、タッチパネルの前に立つ。どうやら部屋を選べるらしい。

隣に立っている女子は、専門学校生らしい。服飾デザイナーになるのが夢とのこと。ユキちゃんらしいな、と思う。見た目とのギャップが違い、しっかりした芯を持っている。

そして私達は部屋を選んだのだ。

部屋にはキングサイズのベッドが一つあり、枕元にはコンドームの箱があった。他にも大人の玩具なんかも置いてあったりする。

いや、どんだけやる気満々なのよ……とツッコみたくなるがとりあえず置いておこう。

シャワールームは寝室から丸見えで、ガラス張り。

明らかにエッチなことをする部屋って感じだ。

隣を見るとユキちゃんも興味津々のようで目を輝かせていた。しかしすぐに我に帰ったようで顔を赤くしてしまったのだった。

私は正直もうその気になってしまっていて、我慢できる自信がなかった。だから自分から行くことにしたのだ。

それを見たユキちゃんは嬉しそうな表情を浮かべていたのだった……

その後はお互いに疲れたこともあり、一緒に寝ることにしたのだが私を抱き枕のように抱きしめてくる彼女にドキドキしながら眠りにつくことになった。しかしなかなか眠れない……何故なら彼女が私を抱きしめながらモゾモゾと動いているからだ。何をしているんだろうか?そう思っていると突然下半身に何か違和感を感じた私はハッとして目を覚ますとその視線の先には私の股間に顔を埋めているユキちゃんの姿があった。

驚いた私だったが、それ以上に驚いていたのはユキちゃん自身である。どうやら無意識の行動だったらしい……私は彼女を引き離した後優しく頭を撫でながら今日はこれで終わりにしよう?と言うと素直に従ってくれたのだった。

私は満足気に微笑むと再び眠りにつくことにしたのである。

翌朝目が覚めると隣にはまだ裸のままのユキちゃんが寝息を立てていた。私は彼女の寝顔を見ながら幸せな気分に浸っていたのだが、同時に少し申し訳ない気持ちにもなっていたのである……なぜなら行為を思い出すだけで顔から火が出そうなほど恥ずかしい思いをしてしまうからである。

それでも私は彼女と繋がれたことに感謝していた。初めてがユキちゃんで良かったと思っている。だからこそきちんと責任を取らなくてはいけないとも思っていたのだ……

それからしばらくして目を覚ましたユキちゃんに私は昨日の出来事を振り返ってもらい、お互いに気持ちよくなれたか確認を取ったのである。彼女の話によれば満足してもらえたようでホッと胸をなで下ろすことができたのだ……

「とりあえず汚れちゃったし、一緒にシャワー浴びよ?」

私の提案にユキちゃんは喜んで賛成してくれた。

浴室はかなり広く、マットやローションなどエッチなグッズが沢山用意されていた。

私はユキちゃんと一緒にシャワーを浴びながらお互いの身体を洗い合ったりしていた。そして一通り終わったところで今度は湯船に浸かりのんびりとした時間を過ごすことにしたのだ。

その間も私達は手を繋ぎ合っていたし、時折キスをしてみたりしていた……

そろそろ出ようかという頃になって彼女が話しかけてきた。

彼女はなんと私のことが好きらしい……そう言われた時私はとても嬉しかった反面、どう返事を返したらいいか困ってしまったのだ。

私にはまだ恋愛というものがよくわからない……でもユキちゃんとなら付き合ってもいいかもしれないと思った。だから私は彼女に自分の気持ちを伝えることにしたのだ……

それからしばらくして私達はホテルを出た後、駅へと向かったのである。そしてそこでお別れすることになったのだが最後にもう一度だけキスを交わしたのだった……

その後数日間は何事もなく平穏な日々が続いていたが突然ユキちゃんからメッセが届いたのである!内容はこうだった。

どうやらまた私とえっちなことがしたいらしい……

私は承諾する旨を伝えると、楽しみにしながらその日が来るのを待ったのである……


数日後、待ち合わせ場所である駅前に着くと既にユキちゃんが待っていた。彼女は私を見つけるなり駆け寄ってくると嬉しそうに微笑んでくれたのだった。そんな彼女を見た私も自然と笑みがこぼれてしまうのだった……それから私達は手を繫ぎながら目的地へと向かうことにする。今日行く場所はホテルではなくカラオケボックスのようだ。部屋に入るなり防音になっていることを確認したユキちゃんは早速私にキスをしてきた。私はそれを受け入れるように目を閉じて彼女に身を委ねたのである……

それから数時間後、私達はカラオケで歌い続けていた。初めはお互いに緊張していたものの、時間が経つにつれて打ち解けていったようで今では普通に話せるようになっていたのだ。

それからさらに時間は流れていき、気付けば日が暮れかけていたため帰る時間になっていたのである……しかしユキちゃんはまだ物足りない様子だったのでどうしようかと考えていると不意に彼女がこんなことを言い出したのである! 彼女は私の耳元で囁くようにこう言ったのだ……もっと気持ち良いことしない? 私は一瞬躊躇ったが、彼女の甘い誘惑に逆らえずに頷いてしまったのだった……そして私達は近くのホテルへと移動することにしたのである……

部屋に入るなり、お互いの服を脱がせ合った私達は全裸になるとそのままベッドへと倒れ込み激しい口づけを交わしていた。舌を絡め合い唾液を交換し合うような濃厚なキスに頭がボーッとしてしまい何も考えられなくなるほど蕩けてしまっていたのだ……しばらくして口を離すとユキちゃんの口元からは涎が垂れておりトロンとした表情を浮かべている彼女の姿があった。その姿はとても淫靡で美しく見えたのだ……そんな彼女を見ていた私も下半身が疼き始めてしまうほどだったのだがどうにか我慢して平静を装っていたのである。すると今度はユキちゃんの方から誘ってきたのである。ベッドに仰向けに寝転がった彼女は両手を広げておいでと言わんばかりに微笑んでいたのだ……その姿を見た瞬間、私の理性は完全に崩壊してしまい本能のままに彼女を求めることにしたのである……

まずはキスから始めようと思い彼女の唇を奪うように吸い付くと舌を差し入れお互いの舌を絡め合う濃厚なディープキスをしていたのだが次第に息苦しくなって口を離すことになったのだがその時には既にお互いの身体は火照っており準備万端といった感じだった。

そんな状態で見つめ合っているとユキちゃんが突然こんなことを言い出したのだった!

「今日の衣装はセーラー服とブルマだよ! さぁどっちがいい?」

私は迷わずセーラー服を選んだのである。理由は単純明快で私が大の制服好きだからだ!そんな私の反応を見たユキちゃんは嬉しそうな表情を浮かべながらスカートを脱ぎ始めたかと思うと一気に脱ぎ去ってしまった。そして下着姿になった彼女が恥ずかしそうにもじもじとしている姿がとても可愛かったので思わず見惚れてしまっていたのだ……それからしばらくして覚悟を決めたのか、彼女はゆっくりとスカートの中に手を入れていくと徐々に捲り上げていったのである。するとそこには純白のショーツが顔を覗かせていたのだ!その純白さに見惚れていると彼女はさらに続けてこう言ったのである……

次はブルマも脱ぐね! そう言いながら今度はショーツに手をかけるユキちゃんだったのだが、私はその手を掴むと制止したのである。これ以上はいけないと思ったからだ。しかし彼女は残念そうにしていたものの素直に従ってくれたようでホッと胸をなで下ろす私だった……それからしばらくの間はお互いの身体に触れ合っていたのだが、そのうちに興奮してきた私達は行為に及んでしまったのである……! まずはキスから始めようと思い彼女の唇を奪うように吸い付いたのだった! ユキちゃんの唇は柔らかくてマシュマロのようでとても気持ち良かった。いつまでもこうしていたいと思えるほど幸せな時間だった。しかしそれは束の間のことであり、次第に物足りなさを感じるようになっていったのだ……そこで私は意を決して彼女の口の中に舌を入れたのである!するとユキちゃんは驚いた様子だったがすぐに受け入れてくれたようで私の舌に自分のものを絡ませてきたのだ。最初はぎこちなかった動きも徐々にスムーズになっていったのだが、途中で苦しくなったため一旦口を離すと唾液が糸を引いたままになっていたのである……!それからもキスを続けていた私達だったが、次第に息が上がってきたため一旦中断することにしたのだった。しかし休む暇もなく今度はユキちゃんの方から舌を入れてきたので受け入れるしかなかったのである!最初は軽いものだったのだが徐々に激しさを増していき最終的にはお互いの口の中を貪るように求め合っていたのだ……

しばらくして満足した私達は唇を離すとお互いに見つめ合ったまま呼吸を整えていたのである。しばらくすると私の身体に変化が現れた……なんと体が火照り始めているのだ!原因は間違いなく目の前にいる少女であることは間違いないだろう……!どうやら興奮してくると私の体は熱くなりやすくなってしまうらしいのだが、今は特に酷い気がするのだ! その様子を見たユキちゃんは嬉しそうに微笑むと私を押し倒してきたではないか……! そしてそのまま覆い被さってくるようにキスをしてきたのだ!舌を入れてきたのでそれに応えるように絡め合わせてあげるととても機嫌が良さそうにしていたのである。その様子を見ていると何だか可愛く思えてくるほどだったため思わず頭を撫でてしまったのだ……!すると彼女は喜んでくれたようでさらに強く抱きしめてくるのだった……! しばらくすると落ち着いたのか、身体を離した私達は再び見つめ合いながら微笑んでいた。それから私達は交互にお互いを求め合った挙句、とうとう本番行為にまで発展してしまったのである……! セーラー服に着替えたその衣装の上からユキちゃんの豊満なおっぱいを揉んであげたり舐めたりしたのだが、その度に甘い声を上げてくれるものだから余計に興奮してきてしまう。そして彼女のスカートの中に手を入れてパンツ越しに割れ目をなぞるようにして触っているとだんだんと湿ってきているのがわかったため思わずニヤリとしてしまいながらも更に激しく攻めていった……

すると彼女はビクビクッと身体を痙攣させながら絶頂を迎えたのである!どうやら軽く達してしまったようだ……その様子を見届けた私は満足気に微笑むと今度は自分の番とばかりにショーツを脱ぎ去り下半身を晒したのだ。そしてそのまま彼女の太ももの間に割って入り、その割れ目にそっと触れた後ゆっくりと挿入していったのである! すると彼女は顔を紅潮させながらも嬉しそうな表情を浮かべつつ腰を動かしてきた……!その刺激により私もすぐに絶頂を迎えてしまったがそれでもなお行為は続くのであった……!その後も何度も体を重ね合った結果疲れ果ててしまい最後は二人で抱き合いながら眠りについたのである……


翌朝目覚めると隣にはユキちゃんがいた。どうやら昨夜のことは夢ではなく現実だったようだ。そんなことを考えながらお互いの顔を見つめていると急に恥ずかしくなってきてしまったのでとりあえずシャワーを浴びることにしたのだった……

シャワーを終え着替えを終えた私達はホテルを後にすると駅へと向かって歩き始めた。その間も会話はなく沈黙が続いていたのだが、気まずいという感じではなかった。むしろ心地よい空気感だったと言えるだろう……そして駅に着くと別れる間際に頬にキスしてくれた。

「アキさんのこと、世界で一番愛してます」

そう言って笑う彼女の表情は今まで見たどんな笑顔よりも輝いて見えたのだ……

それからしばらくして、職場内でも私の噂が聞こえるようになってきた。女社会というものは恋愛に関しては筒抜けだ。

どうやら私に彼氏ができた、とのこと。

まだ直接聞くようなバカはいないが、私も誤解だというつもりもない。面倒くさいから。

まさか、ラブホテルやカラオケボックスでセックスした相手が年下の女の子だってことがばれたら中々厄介かもしれない。

アプリも、ユキちゃんが生理になったらしく会えてない。でも、また連絡をする。アプリで。

「ねぇ、今晩どうかな?」

ユキちゃんとは違う男性とマッチしてしまった。でも、アプリ上のやり取りでは悪い人でもない。

いいよと返事をすると、場所や時間を決める。

それから彼と合流してカフェで話す。彼は医師らしい。彼の仕事の話も聞いたし私の話もした。

そして、映画を観てからラブホテルへ着いたのである……

もう慣れてしまったけど初めての日は緊張したなぁと思い出しながら抱かれたのだった……彼のプロフィールは、特に語ることもない。ただ、会ってみて普通の男性だった。

もしかすると、マッチングアプリというものは私に合っていたのかもしれない。結婚相談所に行かなくても、こうして、アプリでやり取りをして何度か会ううちにその男性と付き合うことになったのだから……

結局、セックスしまくってしまった私ですがユキちゃんとも継続的な関係は保っていました……

流石に5歳も年下の女の子をキープしたままというのは、性交渉もした間柄、罪悪感はあったのだが。

ユキちゃんは 喜んでるみたいだったし、私も私で性欲を満たすことができたから結果的には良かったかもしれない……

何より私には彼氏が出来て余裕が出来たからセックス以外のことにも気を回せるようになったのだった。仕事も上手くいくし前よりも成績が上がった気がする。上司からも頼りにされるようになったのだ!このアプリは私に良い影響をもたらしてくれたのである……しかし、そんな平穏な日々も長くは続かなかった。

ある日のこと私は仕事の帰りに駅のホームで電車を待っていた時だった。

スマホを見ていた私の視界に突然入ってきたのはユキちゃんだった。どうやらうちの駅に遊びに来ていたらしいのだが、ホームで偶然私を見つけて話しかけてきたのだ……

まさかこんな場所で鉢合わせするとは思っていなかったから、かなりびっくりした。私はどう対応すれば良いか分からずアタフタしていたところにユキちゃんがさらに話しかけてきた。

ユキちゃんによると、今日は私の自宅も知りたいという。

嫌だけど……でもこの状態のユキちゃんは何をするか分からない。

家に到着するとユキちゃんは興味津々といった様子で部屋の中を見て回っていたが、特に変わったものもなくつまらないと言った様子だった。

「なんか普通って感じ。ぬいぐるみとかないの?」

確かにユキちゃんの部屋ならぬいぐるみが沢山ありそう……と思いながらも、私は興味がないからって伝えた。

「高校の時は友達とか彼氏にプレゼントされたけどね。今は実家に置いてあるんだ」

私は正直に答えた。するとユキちゃんはいきなり私の膝の上に乗っかってきたのだ。

驚きのあまり私は固まってしまったけど、ユキちゃんは構わず話しかけてきた。

「じゃあ、私がプレゼントしてもいいんですよね? だって殺風景ですもん」

たしかに今の職場の近くに引っ越してからは寝具とかけっこう高くてそういった嗜好品にお金を使うことがなくなった。自炊もしないからフライパンとかも持ってないし。

お金は貯まっていくけど忙しすぎて遊びに行けないんだよね。

ていうか、なんかこの距離……近すぎる気がするんだけど……

私は距離をあけようと後ろに下がろうとしたら、ユキちゃんが抱きついてきて離れられなくなってしまった。私は必死にユキちゃんを引き剥がそうとしたけど、全然離れてくれない。

「じゃあ、今度デートしましょ!」

えっちなこともしてもいいんですよ? と言われるも、ユキちゃんは何故か自信に満ち溢れていた。

私が嫌だと伝えるも、ユキちゃんは全く聞く耳を持ってくれない。それどころか、強引に迫ってくる始末だ。

このままではまずいと思い、私は逃げようとするも結局捕まってしまいそのまま押し倒されてしまった。

「仕事、忙しいから時間取れないかも……」

なんとか断ろうとするも、ユキちゃんの押しに負けてしまった。

「じゃあ、別にいいですよ。おうちデートしましょ。私、動画のサブスクなら色々加入してるんで」

どうやらユキちゃん、かなりの映画オタクらしい。

でも家に来られたら絶対にえっちなことされる気がする。なんとか阻止しないと。

一度断った手前、また断るのは少し心理的に難しいが……

「じゃいいです。お風呂入りましょ? 先に入っててください」

それからしばらくしてお風呂の準備をしていた時に突然ドアが開いた音が聞こえたので振り向くとそこには全裸のユキちゃんがいた。驚いて固まっていたら彼女がいきなり抱きついてきてこう言ったのだ……

私も一緒に入ると言うので仕方なく彼女に背中を流してあげた後、一緒に湯船に浸かることになったのだが……

私はユキちゃんの身体を見て思わず驚いてしまった。

すると彼女は私の下半身をまさぐり始め、私は抵抗せずにされるがままになっていたら、今度は自分の胸を私の前に突き出してきたのだ……なので私は本能のままに彼女の胸を舐め回したのだった。

うう。私はレズじゃないのに……と思いながらも彼女の胸の感触を楽しんでいるうちに段々と気持ち良くなってきた。そして、今度は下半身の疼きが抑えられなくなってきた。

私は無意識のうちにユキちゃんを抱きしめてそのまま彼女と繋がったのだった……

結局その後、私はユキちゃんを抱きしめながら何度も果ててしまったようだ。

目が覚めた時には朝になっていたが隣には裸のユキちゃんがいた。どうやら昨日はあのまま寝てしまったらしい。とりあえず服を着て会社に出勤することにしたのだが、私の頭の中は混乱していた。

仕事中も昨日のことを考えてしまう始末だったがなんとか乗り切って帰宅することができた。

家に帰るとユキちゃんが待っていたのだが、彼女は私の顔を見るなりいきなり抱きついてきた。そして私をベッドに押し倒して覆い被さってきたのだ……

私は抵抗しようとしたのだが力が入らなかった。するとユキちゃんはそのまま私の服を脱がせ始め、私も結局されるがままになってしまったのだ……それから数時間後、私達は疲れ果てるまでお互いの身体を求め合ったのだった……

次の日も仕事があるのであまり時間はなかったが、それでも良かったみたいだ。私は自分がこんなに性欲が強いとは思わなかったがそれ以上にユキちゃんの性欲が強かったのだろう……結局、その日は夜までずっと交わり続けていた。

それからというもの、私とユキちゃんは頻繁にセックスするようになったのだが……私はその度に彼女に夢中になっていった。

セックスをしている間、私は理性を保つことができなかった。彼女のことしか考えられなくなってしまうのだ……

彼女とのセックスは本当に気持ちが良くて、ついつい何度も求めてしまうほどだった。何度イってもすぐに復活してしまうほど私の性欲は高まっていたのだ。もはや手遅れなのかもしれないと思いながらも私は彼女との快楽に溺れていったのだった……

そんな日々を過ごしていたある日のこと、同僚から合コンの誘いがあった。どうやら私とユキちゃんの関係を怪しんだようで、彼氏がいないなら一緒にどう?と誘ってきたようだ。私は最初断ったのだが、同僚の押しに負けて結局参加することになった。

当日、指定された場所に行くと既に男性陣は集まっていたようで全員揃っているようだった。どうやら参加女性は私を含めて4人らしい。私は男性陣に軽く挨拶をした後席についた。それからしばらく談笑が続いた後、飲み物が運ばれてきて乾杯となったのだ……

私は緊張していたが隣に座る女性に話しかけられたことで少しだけ気が楽になった気がした。彼女は私と同じく彼氏がいないらしい。私達はお互いに励まし合いながらも会話を楽しんだのだった……

時間が経つにつれてお酒も進み、私はだんだん酔いが回ってきたようで頭がボーッとしてきたのだが、隣に座っている女性は私よりも酔っているようだった。私は彼女の身体を支えてあげると彼女は私に抱きついてきたではないか……! どうやらかなり酔っているようだけど大丈夫だろうか?でも彼女からはすごく良い香りがするし柔らかい感触もあるから正直興奮してしまう……それからしばらくたってから彼女が私の耳に息を吹きかけてきたのだ。私は思わずビクッと反応してしまったが、彼女は気にせずそのまま私の耳に舌を這わせてきたのだった。

うう……くすぐったいけど気持ち良いな……そんなことを考えているうちに今度は首や鎖骨辺りをペロっと舐めてきた。私もお返しとばかりに彼女の首筋を舐め始めるとくすぐったがりながらも喜んでくれているようだったのでしばらく続けた後、私達は互いの唇を重ね合わせて舌を入れた濃厚なディープキスを始めたのだった……

それからしばらく経つと私達は完全に発情してしまいお互いに相手の身体を求め始めたのだ。そして抱き合いながら激しく求め合った後、私達は疲れ果ててそのまま眠ってしまったのだった……

翌朝起きると隣にいたはずの彼女がいなかった。

「ここは……家?」

私は慌てて服を着て部屋から出るとキッチンの方から声が聞こえてきたので行ってみることにした。どうやらユキちゃんが朝食を作っているようだ。私は制服姿の彼女の元に駆け寄り後ろから抱きついた。すると彼女は驚きながらも振り向いて微笑んでくれたのだ。どうやら怒ってはいないようだったので安心したのだが。彼女は私に抱きついたまま言ったのだ。

「昨日何していたの? 帰りは遅いしタクシーだったから」

「あ、ごめんね。仕事の付き合いで合コンしてて……」

私が謝ると彼女は不満そうな顔をしていた。

「えっちなこと、してないよね?」

ユキちゃんの目が怖い。駅で見たあの目と一緒だ。

「もう誰にも邪魔はさせない。ねえ、アプリ消して? やましいことないならできるでしょ?」

私は彼女の言葉に従いたくなかった。あのアプリはユキちゃんと出会って一緒にオンラインオナニーした履歴が残っている。それが消えることが嫌なのだ。しかし、ユキちゃんの悲しそうな顔を見たら断ることはできなかった。私はアプリを消してから彼女に謝った。

「彼氏なんていらないよね。だってあたしがいるんだもん」

バレている。彼女にマッチングアプリで知り合った男性がいることを知られている。

「でもこれで安心だよね! じゃ、学校行ってくるね」

バタンと閉まる扉。少しだけ恐怖を感じた。


それからというもの、彼女は私の家に居座る時間が増えていった。ユキちゃんは自分が作ったご飯を私に食べさせ、私はそれを口にする。彼女はそんな私を見て微笑んでいた。まるでペットのように扱われている気がする。でも、彼女と一緒にいられる時間は幸せだった。

でも。成人しているとはいえ五歳も年下の女の子をいつまでも家に置いておくわけにはいかない。私はユキちゃんにこう言った。

「今のままじゃダメだと思う。私は働いているし、いつまでもここにはいられないよ」

ユキちゃんはそれを聞いて絶望の表情を浮かべていた。しかし、すぐに笑顔を作り私に抱きついてくるのだ。

大丈夫だよ! あたしはずっとここにいるからね? 私がそう言うとユキちゃんの瞳からぽろぽろと涙が溢れていった。それと同時に彼女の小さな身体が大きく震え始めたのだ。そんな彼女を優しく抱きしめると彼女は私の胸に顔を押し付け泣き続けた。

「ごめんね、大丈夫だよ、大丈夫……」

そんな言葉をかけながら彼女は私がいなくなることを恐れている。


私たちの関係は少し変わった。ユキちゃんは以前よりも私に依存するようになった。何をするにも一緒で、寝るときも私がいないと不安なようだった。でもそれが心地よかったのだ。私はもう彼女のことが好きだったし、彼女も私のことを好きなんだと思っていたから。だからもっと彼女を大切にしたかったんだ。

しかしそんな生活が長く続くことはなかった。ある日突然終わりを迎えてしまったのだ。その日はユキちゃんの誕生日だった。私は彼女を喜ばせようとケーキを買ってきたりプレゼントを用意したりしたのだが彼女はあまり喜んでくれなかったのだ。それどころかなぜか悲しそうな顔をしているように見えたのだ。

どうしたの? 何かあった? 私は心配して尋ねたのだがユキちゃんは何も答えずただ涙を流すだけだった。一体何があったのか分からず困惑していると、彼女は急に立ち上がったかと思うと私に抱きついてきたのである。そしてこう言ったのだ。

「私はまだ必要だよね? もう捨てられたくないよ……」

と。その時初めて彼女の心の声を聞いた気がした。彼女はただ寂しかっただけなのだ。私を信頼してはいるが、それでも誰かに傍にいてほしいと思っていたのだろう。その気持ちに気付いてあげればよかったと思うと同時にユキちゃんが愛おしくなった。だから私は、彼女の話を聞くことにした。

「実は私……いじめられてるんです。それに、実家暮らしだから。両親からも叩かれたりしてて、辛いんです」

彼女の口から語られたのは想像もしていなかった事だった。私は驚きつつもなんとか冷静を保ちつつ話を聞くことにした。

彼女が言うには、最近学校でイジメに遭っているらしいのだ。同級生たちから酷い言葉を投げかけられたり、暴力を振るわれたりと辛い日々を送っているのだという。さらに実家に帰ると両親からの暴言や暴力に悩まされているようで、それが心を痛めつけているようだった。だから私と一緒にいることで少しでも救われていたのかも、と聞いているうちに胸が痛くなった。私は彼女にそんな思いをさせてしまっていたのかと後悔しているのだ。

私は彼女を抱きしめてあげた。そして優しく頭を撫でながらこう言ってあげたのだ。

大丈夫、私があなたを守るから、安心していいんだよと。すると彼女は安心したような表情を浮かべてくれたので私はホッとしたのだった。

それからというもの、ユキちゃんは私に甘えることが多くなった気がする。学校で嫌なことがあった時や寂しい時は私の胸に飛び込んでくるのだ。そんな彼女を愛おしく思うと同時に守ってあげたいと思った。だから私はできるだけ彼女の傍にいるように心がけたのだった。

駅でストーカーされた時は怖かったが、彼女も専門学校の学生なのだ。私と違って課題も頑張ってるし、服飾デザイナーとしてのセンスも良いらしい。

私には仕事で一緒になったデザイナーさんを思い出すが、それよりも彼女の作るものはクリエイティブで、美しいのだ。素人の私にも理解できる。だからそんな才能を持っていながら、彼女がイジメられるのはとても悲しいことだった。

ユキちゃんには幸せになって欲しいと思う反面、彼女の傍にいることが私の役割だと思ってしまっている自分がいた。彼女の笑顔を見る度に心が温かくなるし、何よりも私を必要としてくれていることが嬉しかったのだ。だから私はこれからも彼女を守り続けるのだろうと強く感じたのだった。


私は仕事帰りの夜道を歩きながら考えていた。ユキちゃんのことだ。最近、彼女の様子が少しおかしいのだ。今までならすぐ抱き付いたりキスしてきたりしてくるのに最近はそれが無い。むしろ避けられているような気がするくらいだった。

私は思い切って尋ねてみる事にした。

どうしたの? 元気ないみたいだけど何かあったの? すると彼女は戸惑ったような表情を浮かべながら答えたのだ。あのね、実は私……あなたの事が好きなのかも知れないの……と。その言葉を聞いた瞬間胸がざわついたような気がしたが私はあえて触れないようにした。しかし彼女はそれ以上何も言わなかった。

次の日。私は出勤前にユキちゃんと話をする事にした。昨日のことについて詳しく聞きたかったからだ。だが彼女は何も答えてくれない。それどころか、私を避けているようにも思えるほどだった。そんな態度を取られて悲しくないはずがないが、それ以上に心配だったのだ。彼女の身に何かあったのではないかと不安で仕方なかったのだから。

そんなある日の事だった。仕事が終わって家に帰るといつものようにユキちゃんが出迎えてくれたのだが……何故か彼女は泣いていたのだ。どうしたの? 何かあったの? と聞いても首を横に振るばかりで答えてくれなかったのだが、しばらくするとぽつりと呟いた。

私、このままあなたに嫌われたくないよ……と。

私は胸が締め付けられるような思いがした。どうしてそこまで思い詰めているのに何も言ってくれないのか分からなかったのだ。しかしユキちゃんはその後も涙を流し続け、やがて泣き疲れたのか眠ってしまったのだった。私はそんな彼女の寝顔を見ながら心の中で呟いた。大丈夫だよ、私がいるからね……と。そして彼女を優しく抱きしめてあげながら眠りにつくのだった。

だがそれからというのもユキちゃんの様子がおかしかった事は言うまでもないだろう。以前よりも私の行動を制限するような言動が増えてきたからだ。

「やだ……別れたくない……私をひとりにしないでよ……」

と言ってみたり、 私はユキちゃんに対して感じていた違和感を無視できなくなっていた。私は彼女に尋ねた。どうして急にそんな事ばかり言うの? と。すると彼女は悲しそうに微笑みながらこう言ったのだ。

私があなたと一緒にいたいのは愛しているからなんだよ、と……そして彼女の口から紡がれる言葉たちはどれも私への想いが込められているものだったのだ。だから私も真剣に受け止めなければならないと思ったし、だからこそ彼女に問い詰めようと思ったのかもしれない。だがそれは逆効果だったようで彼女はまた泣いてしまったのだ。私は慌てて彼女を抱きしめてあげたが、それでも泣き止まなかった。だから私は彼女が落ち着くまでずっと傍にいてあげることにしたのだ。

私がユキちゃんの本当の気持ちを知ってからというもの、彼女は今まで以上に私を求めるようになったように思う。一緒にいない時間はスマホで連絡を取り合うようになり、私の帰宅時間が遅くなると待ち伏せをしていたかのように家の前に立っていることもあった。

そのたびに私は彼女を優しく抱きしめてあげたのだが、それでも彼女の不安は拭えないようだった。

そこで私は思い切ってユキちゃんに提案してみた。

「一緒に住む?ルームシェアならできるだろうし、お金もかからないけど……どう?」

私が提案するとユキちゃんは驚いたような表情を浮かべたが、やがて満面の笑みで頷いてくれたのだった。

そして数日後には新しい家に引っ越しをする事になったのだ。二人だけの生活が始まる事に私は胸を躍らせていたのだが、それと同時に不安もあったのだ。彼女が私を依存しすぎているような気がしたからだ。だから私はある一つの決断をしたのだった。それは彼女を自立させることだ。いつまでも私が面倒を見てあげるわけにもいかないし、彼女自身も辛いだろうと思うから。

それからというもの、私は彼女に積極的に仕事を与えることにしたのだ。最初は戸惑っていた彼女だったが次第に私の意図を理解してくれたようで、少しずつ仕事に打ち込むようになった。その甲斐もあってか彼女の生活が徐々に変化していくのを実感できたし、ユキちゃん自身も自信がついたようだった。

そんなある日のこと。ユキちゃんは私に話しかけてきたのだ。

「ねえ、私のことどう思ってる?」

と聞かれたので素直に答えたのだ。

「好きだよ」

と。すると彼女は嬉しそうな表情を浮かべた後、再び私を抱きしめてきたのだった……

それが、彼女の、ユキちゃんの最後の姿だった。


彼女は私に何も言わずに出て行った。私は混乱しながらも必死に彼女を探した。電話をかけても繋がらない。メッセージを送っても返事はない。それでも諦めきれなくて街中を探し回ったけど結局見つけることはできなかった。

それから数日間は何も考えることができず、ただ呆然と過ごしていた。そしてある日、ふと彼女の言葉を思い出したのだ。

彼女は最後に言った言葉……

『私のことどう思ってる?』

その言葉を聞いた瞬間、涙が溢れ出したのだ。今までずっと気付かないふりをしてきた自分の気持ちを認めざるを得なかったから。私は彼女を愛していたんだと気付いたから。でももう遅いのだ。彼女は私の前から消えてしまったのだから。

私は心にぽっかりと穴が空いたような感覚を味わいながらも日々を過ごしていた。そんなある日のこと、仕事の休憩中にある動画を見つけたのだ。それは彼女が遺した映像だった。そこには彼女が一人で語り始める姿が映っていた。

その映像を見た時、私は驚きと戸惑いを覚えたが同時に嬉しさも感じたのだ。彼女がまだ私のことを想っていてくれたんだと感じたから。彼女の想いを感じ取れたから。だから私も覚悟を決めたのだった。この続きを見ようと決意したのだ。そして私は再生ボタンを押した。

動画が再生されるとそこは駅のホームだった。そこに一人立っている彼女はゆっくりと話し始めたのだ。

私はユキちゃんが遺した動画を見ている最中だった。そこには彼女が一人で語り始める姿が映っていたのだ。その映像は今までとは全く違う雰囲気のものであり、まるでお芝居を観ているような気分だった。だからだろうか、妙に緊張してしまったのだ。でも同時に期待もしていた。彼女の言葉の中に何かヒントがあるのではないかと考えていたからである。

でも。ヒントなんてなかった。

彼女は通過する電車に飛び込み、散った。


私は絶望した。そして怒りを覚えたのだ。なんでここまでして彼女は私の事ばかり言うんだろう?どうしてそこまで依存するんだろう?私は彼女にとって何だったんだろうか? そんなことを考えていた。

私はあれからしばらく仕事を辞め、家で過ごしていた。彼女と過ごした日々を思い出しながら泣き続けた日々だった。何度も死にたいと思ったし、自分自身を呪ったりもした。それでも諦められなかったのだ。彼女のことが忘れられなかったから……

通勤で使う駅のホームで、彼女が遺した動画を思い出してしまうから。彼女が自殺したフラッシュバックで苦しんでしまうから。

ユキちゃんにとって私は何だろう。アプリで知り合っただけの、言うなればセフレだ。アプリは消してしまったし、彼女との関わりも何もない。ただ一度、彼女が病んだ時に泣きつかれただけだ。

でもそれで終わりなんて嫌だった。私はもうユキちゃんのいない人生なんて考えられないくらいに溺れてしまっていたから。彼女の愛が欲しくて仕方がなかったのだ。もう一度会って話がしたい。また一緒に過ごしたい。そんなことをずっと考えていたのだ……

それから数日後のこと。私は久しぶりに外出をした。特に目的があったわけではないけど何となく足が向いたのだ。街中を歩いていると広告が目に入ってしまう。そこには新作のコスメやスイーツの写真が載っていた。美味しそうな写真を見て、思わず立ち止まってしまった。その時、ふと彼女のことを思い出したのだ。

ユキちゃんも甘いものが好きだったなぁ……

と。

それと同時に思うことがあった。私が甘いものを好きなのは彼女が影響しているのかもしれないということだ。だって彼女と初めて出会ったのも喫茶店で食べたパフェだったし、私が本当に美味しいと思ったものは全て彼女と一緒に食べたものだったから……

それを思い出すとなんだか無性に彼女に会いたくなったのだ。会って話がしたい。ただそれだけを求めて私はまた駅へと向かった。電車に乗り込んで数分も経たないうちにまた思い出してしまったのだ。ユキちゃんが好きな曲、ユキちゃんがよく聴いていたアーティストの曲、そして一緒に観た映画の記憶……その全てが彼女との思い出なのだ。だから私は駅のホームで電車を待っている間に涙が溢れてしまった。

そこでハッと気付いたのだ。私の気持ちは変わらないんだと……彼女のことが好きでたまらないんだと……それなら行動しなくちゃ……!そう思うといても経ってもいられなくなり私はすぐに飛び込んだ。

快速の電車が通過する。

もうすぐ……もうすぐ会える……! その期待だけで胸が張り裂けそうだった。息が荒くなるのを感じたが、それでも興奮を抑えることはできなかったのだ。そしてついにその時がやってきた……!! 激しいブレーキ音と共に目の前を通過していく電車が私の頭を真っ白にする。その瞬間の残像だけが焼き付いていたのだ。だがそれも一瞬のこと……私の意識は遠のいた。


もし会えたなら。天国で彼女と会いたい。会って話をしたい。そして、この想いを伝えたい……

「ごめんね」「出会ってくれてありがとう」

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