第9話再会

海軍兵学校を卒業した勇二が予科練の教官に

挨拶をするため訪問した直後。

「曲がり角少尉殿、本日入隊し海軍予科練練習生に為りました二等兵の小沢満田(おざわみつた)です!」

 最敬礼した小沢の右口角にナイフ傷が生々しく3針の縫合痕があった。

「貴様、あの時の・・・。」言葉に詰まった勇二の脳裏に幽かな面影が小躍りしていたが、すぐさま我に返り憎しみの感情が溢れ還って来るのを両拳を握り抑制していた。

「そうであります!何時ぞやご無礼いたしました!」背筋を伸ばし反動で反っくり返って後ろに倒れそうだったが、何とか堪えていた。

が、右手がプルプルとしていた。勇二を恐れていた。

 5年前・・・。

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