Out of the Blue.

猫野 尻尾

第1話:プロトタイプ。

一話完結です。


ある日、会社からの通達で私は一人の男性を預かることになった。


私の名前は「有島 美来李ありしま みくり 」バイオロイド研究所の職員。

新しい企画で、今までとは違うバイオロイドが誕生した。


バイオロイドは人間じゃない・・・人工に作られたものだから自由もないし

戸籍もない。

会社は大量にバイオロイドを製造して販売して儲けようって腹らしい。

あと人口が極端に減った人間「男女」の補填も必要って名目で・・・。


プロトタイプは社会に適合できるよう教育していかなきゃいけない。


そこで、私が個人的に面倒をみたくてはいけなくなった。

会社からの命令ならしかたない。

まあ、それに新しいバイオロイドには私も興味があったし・・・。


プロトタイプのバイオロイドの名前は「真理守まりす


髪が真っ白で長く、色白のいい男・・・そりゃざわざブサイクには作らない

わよね。

真理守は男性のいいところだけDNAに取り込んで理想的に生まれてきた。


私は真理守を連れてマンションに帰った。


さて、家族が増えたわけだけど・・・はっきり言って私の役目は真理守が、

男性としての機能をちゃんと果たせるかどうか・・・もし世間に出した時に

彼らが女性のパートナーといてちゃんと役目を果たせるか・・・。

要は私は会社から真理守のモニターを頼まれてってことよね。


ああ、憂鬱・・・好きでもない相手と義務的にセックスしなきゃいけないなんて。

これも仕事だって言われても・・はいって進んでやりたいとは思わない・・・

かと言って仕事辞めますってほどでもないし。


「真理守・・・はい、ここに座って」


「なにか飲む?」


「私は・・・コーヒーを・・・ブラックでお願いします」


「コーヒーが好み?・・・それって誰のDNAだろうね?」

「あなたの遺伝子には、いろんな男性の個性がごっそり入ってるんでしょ?」


「私は私ですよ・・・美来李みくりさん」


「まあ、私の名前まなたに教えてないのに知ってるなんて、やるわね」


「会社ではじめてお目にかかった時あなたの白衣の胸の名札を見ましたから」


「まあ、油断できない人」


人?・・・私、真理守のこと、今人って思った?・・・錯覚した。

意識だは真理守はバイオロイドだって思ってたはずなのに・・・

それほど真理守は自然体だったからだろう。


その夜、私は真理守に抱かれた。

これも仕事と割り切った。

嫌だって気持ちがマリスに伝わったんだろうか?


真理守はとても丁寧に優しく私に気を使ってくれた。

私は真理守を見くびっていた。

忘れていた・・・真理守にはセックスに関するあらゆるテクニックが

備わっていることを・・・。


私にとってその夜は夢のような時間だった。

あまりに素敵すぎて私は何度、気を失ったか覚えていないくらい。

たしかに真理守に対して愛なんかなかった。


でもその一晩で私は真理守の虜になった。

めくるめく極上の営みは毎晩続いた・・・私の体が壊れるんじゃないかって

くらい。

彼はいつしか真理守を離したくなくなっていた。

真理守に恋していた。

彼と別れたくない。


でも、期間が過ぎると真理守は会社に戻さなくちゃならない。

そのことを忘れるかのように、私と真理守は連日連夜身も心もひとつになった。


そしてやがて別れの時が来た。


真理守を連れて会社に出社した。

もちろん真理守のデータも会社に渡した・・・彼がどれほど、すばらしい

バイオロイドであるかを提示した。


そして上司に言われた・・・。


「有島くん・・・君は、とてもすばらしいバイオロイドだと彼から報告を受けたよ。

「ご苦労様・・・君のデータは今後の参考にさせていただく」


「は?・・・それはどう言う?」


美来李みくり・・・騙した形になってすまない・・・すべては極秘だったからね」


「真理守・・・」


「他社のスパイが我が社に潜り込んでたことが発覚したため、君がバイオロイド

だってことは秘密にしなきゃいけなかったんだ」


「美来李、私は会社にお願いして君と一緒に暮らす許可をもらったよ・・・

僕の素敵なパートナーとしてね」


おしまい。


一応、美来李の願いは叶えられそうなのでハッピーエンドってことで。(=^x^=)











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